製造業のWEBマーケティングの始め方|確実に効果を出すための4つのコツ
どんなジャンルでもWEBマーケティングに取り組む企業が増加している昨今。対面営業が中心と思われていた製造業界でも、導入が盛んになり始めています。同業からWEBマーケティングで成功した話を聞いて、気になっている製造業の担当者も多いのではないでしょうか。
正しいノウハウや手順で進めれば、製造業のWEBマーケティングは高い確率で成功します。
本記事では、製造業のWEBマーケティングが成功する理由や、どこからどのように始めたらいいかなどを紹介していきます。WEBマーケティングの土台になるホームページ作りから解説しますので、ゼロから始める場合でも大丈夫!
ぜひご参考ください。
目次
製造業のWEBマーケティングで効果が出やすい理由
WEBマーケティングとは縁遠いイメージのある製造業。実は、BtoCの業態と比べると非常に高い確率で効果が出るジャンルです。バリューエージェントでの実績では、(既存のビジネスにおいて顧客ニーズが明確にある場合)「ほぼ100%」成功するといっても過言ではありません。
本章では「製造業のWEBマーケティングはなぜ成功しやすいのか」を紹介します。
ライバルが少なく、差別化しやすいから
製造業は個社単位でWEBマーケティングに本腰を入れている企業がかなり少なく、ブルーオーシャンな状況と言えます。製造業でもホームページを持っていることが当たり前になってきた昨今ですが、作ったホームページを運用している企業はまだまだ限られます。
そもそもSEOに強くなるようにホームページを設計し、コンテンツを作り、改善を繰り返しているような製造業の会社が少ないので、WEBマーケティングの基本である「SEOに強いホームページ」を作るだけでも、他社より多くのWEB流入を得ることができるでしょう。
また、製造業はBtoCと比べて各製品の市場が狭く、競合他社が少ない点も挙げられます。加えて、1社でさまざまな分野に展開しているケースが多いです。たとえばキーエンスでは、センサーや計測器、顕微鏡、ラジコンまで幅広い製品があることは広く知られているところです。
競合他社が比較的少ないなかで、会社独自の技術や差別化ポイントを製品ごとにはっきりと打ち出すことができれば、顧客が製品のことをよく理解し、問い合わせにつながりやすくなります。そのようなページはGoogle等の検索エンジンで上位表示されやすく(SEO効果が高く)、新規顧客開拓にも貢献するでしょう。
製品単価が高く費用対効果が合いやすいから
製造業のWEBマーケティングはコストパフォーマンスの面でも優秀です。
製造業はBtoCのサービスと比べて、1製品あたりの単価は高額になるケースが大半でしょう。1つの製品を売るためにかかる費用(広告費や人件費を含む)や、受注までのリードタイムも、BtoCの食品などとは比べ物にならないほど大きいと思います。
しかし、1製品あたりの価格はたいていの場合BtoCより大きく、1件の受注で会社の売上に強いインパクトを与えることもありますよね。その場合、掛けてきた費用や工数といったコストは十分にペイできるでしょう。
この考え方はWEBマーケティングにおいても同様です。製造業のWEBマーケティングで成功するためには、メニューごとに細分化されたホームページを作ったり、ブログ用のページを別立てしたりと、なにかとコストが掛かってきますが、長期的な目で見れば、費用対効果が高く、コストを回収できる可能性も高いと考えられます。
ポータルサイトが少ない・規模が小さいから
ポータルサイトとは、さまざまな情報を一つに集約したまとめサイトのこと。有名どころとしては、飲食や美容のホットペッパー、旅行のじゃらん、結婚のゼクシィ、不動産のSUUMOなどが挙げられます。
これら有名ポータルサイトの共通点は「すべてBtoCのビジネスである」こと。BtoCのビジネスでは、このような大手ポータルサイトが莫大な資金力やノウハウでWEBマーケティングを運営していることが大前提です。そのなかで各店舗はポータルサイトに広告を掲載したり、ホームページを作って運用したりして、激しい競争のなか、工夫して自社の売上を伸ばしていくことが必要になります。
一方で、BtoBかつ製造業の場合、まだまだポータルサイトの参入は少ない状況です。もちろんゼロではありませんが、BtoCのように同じ分野にいくつもの大手ポータルサイトがあるような状況にはなっていません。よって、BtoCと比べれば競争率は低めで成功しやすいと言えるでしょう。
製造業のWEBマーケティングが広がらない理由
製造業のWEBマーケティングが成功しやすい理由を3つ紹介しましたが、こんなにも成功率が高いのに、なぜまだ多くの製造業はWEBマーケティングに注力していないのでしょうか?
主に以下のような理由が考えられます。
- WEBマーケティングを得意とする人材が自社にいないから
- 事例を記載すると、独自のノウハウが流出してしまうかもしれないと考えているから
- ニッチな分野でターゲットユーザーがいないから(いないと考えているから)
少数精鋭で経営をおこなう企業も多いなかで、WEBマーケティング専門の部署を置いている会社は少ないと思います。
しかし、本質的なWEBマーケティングは小手先のテクニックではなく、深い顧客理解や企業理解によって成り立つもの。答えはマーケティング会社ではなく自社内にあるものです。「うちには専門人材がいないから……」と尻込みせずに、自社内でできることからチャレンジしてみましょう。
「WEBになんでも書いてしまうとノウハウが流出するのでは?」という悩みも、製造業のWEBマーケティングならではかもしれません。次章では、ノウハウ流出を防ぎながらコンテンツを作るやり方も紹介します。
また、検索エンジンはユーザーが能動的にキーワードで検索してきた結果を表示するサービスです。どんなにニッチな分野でも、WEB上でならニーズの高い顧客が能動的に探してたどり着く可能性はあります。TVCMや新聞広告よりは、よっぽど「ニーズがある人に届ける」マーケティング手法と言えるのではないでしょうか。
WEBマーケティングの第一歩はサイトから!ホームページ集客4つのコツ
製造業のWEBマーケティングに取り組もうと思ったとき、まず必要になるのがホームページ。さまざまな施策の「受け皿」となるホームページをWEBマーケティングに強い仕様で作りこむことで、今後のSEOや広告、メルマガなど、すべての施策において成果率アップに寄与することでしょう。
今回は初めてホームページを作るときやリニューアルするときに気を付けたい、4つのコツを紹介します。
①制作前に顧客へヒアリング
ホームページを作ろうとするとき、いきなり「どんなデザインにしようか」とイメージしていませんか?WEBマーケティングに強いホームページにしたいなら、徹底的に顧客ニーズに沿った内容を作りこむことが重要です。
また、企業側が考えているサービスの強みと、実際のお客さんが魅力に思うポイントは、ずれていることもしばしばあります。ホームページを作るなら、ニーズを知るためにまずお客さんの声を聴きましょう。アンケート、インタビューなど、自社にあった方法であらゆる側面からヒアリングしてみてください。
【ヒアリングすべき事項(例)】
- サービスを利用する前に困っていたこと
- サービスに求めること
- サービスを継続利用している理由
- サービスの強みだと思う部分
- ホームページにどんなことが書いてあったら検討しやすいか
②競合優位性の高い自社の魅力を盛り込む
ライバルが少ない製造業のWEBマーケティングといえども、競合に負けない自社ならではの魅力をはっきり打ち出し、差別化することは重要です。
特に、ホームページのファーストビュー(最初に見える部分)はユーザーがページを読み進めるか、閉じるか判断する材料となります。ひと目で以下のような魅力が伝わるファーストビューを目指しましょう。
- なにをやっている会社なのか
- なにに強い会社なのか
- 他社となにが違うのか
- 自社の魅力はなんなのか
- 数字(実績〇件、見積〇分など)
たとえば、バリューエージェントでホームページ制作を担当させていただいた、株式会社ピーワン様では、ファーストビューで「エッチング加工の会社であること」「精度に強みがあること」「ピーワンならではの3つの特徴」がすぐに分かるような設計になっています。
月1件程度だったというWEB問い合わせは、こちらのホームページ制作後ほぼ毎日のように入ってくるようになり、1年で顧客が100件増加する結果につながりました。
また、バリューエージェントのホームページももちろん、ファーストビューで強みを打ち出していますのでぜひご参考ください。
ファーストビューはホームページの効果を左右する重要な要素のため、バリューエージェントでは定期的にビジュアル(写真あり/なし等)やキャッチコピーを見直し、さらなる効果改善を図っています。
③提供サービスや事例紹介は詳細に
大前提として、WEBマーケティングにおいては「やっていることを事細かく記載する」ほうが効果を見込みやすいです。
しかし、WEBマーケティングに力を入れるばかりに大切なノウハウが流出してしまっては元も子もありません。「競合他社が見ているかもしれないから、できるだけ詳細を書きたくない」と感じる製造業の方も多いと思います。ノウハウを隠しながら、分かりやすいホームページを作るにはどうすればいいのでしょうか。
実際の導入企業例などが見せられない場合は、「ケーススタディ」として「たとえばこんな課題があるとき、このような解決ができる」といった具体例の提示をしましょう。あくまで仮定の話になるので、実際の企業名や数字などをそのまま開示する必要はありません。
また、加工物や対応内容を見せられない場合も、「顧客インタビュー」で解決できます。たとえば担当者の笑顔の写真と「喜びの声」といった項目だけでも載せることで、顧客満足度の高い企業だというアピールにつなげることができるでしょう。
もちろん、事例は事細かに記載できるに越したことはありません。どこまでを自社のノウハウ部分として守るか考えたうえで、充実したコンテンツを作っていきましょう。
④SEOを意識したサイト設計
SEOに強いホームページを作りたいなら、商品の数・サービスの数だけページを用意しましょう。ECサイトでは1商品1ページが基本ですが、製造業のホームページでは見落としがちなポイントです。
各ページに狙いのキーワードを定めることで、SEO対策がしやすくなります。1つ1つのページがそれぞれのキーワードで上位表示できれば、より広範囲のユーザーが自社ページに流入しやすくなり、成果につながるチャンスも増えるでしょう。
たとえば、バリューエージェントでホームページ制作を担当させていただいた、BtoB向けにネイルの製造・販売をおこなう株式会社ナチュラルフィールドサプライ様。これまではパンフレットのPDFを掲載するのみだった商品案内を、1ページ1商品になるように細分化しました。
商品ごとに特長をアピールし、問い合わせの導線も作っています。なお、お客様ご自身で簡単に作成・更新できる仕組みにしているため、商品の入れ替わりがあっても新しい情報をすぐに反映することが可能です。結果、自然検索での流入は15.8倍、成果数は約6倍と、高いSEO効果を発揮しています。
また、さらなるSEO効果を狙うために、オウンドメディア(ブログ)を立ち上げることもあるでしょう。その際はホームページ(一般ページ)とオウンドメディアで狙うキーワードを分けましょう。
たとえば、バリューエージェントでは現在、「SEO対策 大阪」というキーワードをホームページで狙っています。
しかし過去には実験的に、オウンドメディアで「SEO対策 大阪」のキーワードを狙ったノウハウ記事をアップしたことがありました。すると、その記事は上位表示された一方で、ホームページの「SEO対策 大阪」を狙ったページは検索で表示されなくなってしまいました。
ノウハウ記事はSEOのやり方を知りたい人向け(潜在層向け)、ホームページは大阪のSEO会社を探している企業向け(顕在層向け)に作っています。本来の目的である、ホームページの自然検索流入が絶たれてしまうことで、問い合わせも減少してしまう結果となりました。(あくまで検証であり、現在は該当ブログページを削除のうえ本来のSEO効果を得ています)
キーワードが被って、本来問い合わせを獲得したいページが表示されなくなるという事態を防ぐために、ホームページとオウンドメディアのキーワードは注意して設定しましょう。
自社でどんなキーワードを狙うべきか考える際は、以下の記事もご参考ください。
製造業の会社がホームページを作ったあとにおこなうべき施策
製造業のWEBマーケティングはホームページを作って終わりではありません。すべての施策の土台になるホームページが完成したあとは、改善を繰り返すのはもちろん、その他の施策にも挑戦してみましょう。
ここでは、製造業に最適な5つのWEBマーケティング施策を紹介します。
資料ダウンロードでリード獲得
ホームページの成果地点は「お問い合わせ」や「電話」だけではありません。商品カタログやパンフレットなど、「資料ダウンロード」の導線を設置することで、優良な見込み顧客(リード)の獲得につなげることができるでしょう。
以下のような資料が例に挙げられます。
- 概要資料
- パンフレット
- ホワイトペーパー
- 商品カタログ
- 事例集
ダウンロードフォームには、メールアドレスや電話番号など連絡先の入力欄を作りましょう。資料をダウンロードしたユーザーは、少なくともあなたの会社に興味があるはずです。問い合わせユーザーより検討度は低いかもしれませんが、将来的に顧客になってくれる可能性は高いです。
取得した連絡先を活用し、営業やメルマガ配信などで定期的な接触を試みてください。ゼロからテレアポをおこなったり、展示会に出展したりするよりも、営業効率が高いかもしれませんよ。
製造業のポータルサイトに掲載
製造業にはポータルサイトが少ないと冒頭にて説明しましたが、まったくないわけではありません。掲載料がかかる場合が大半ですが、リード獲得に力を入れたいなら取り入れてもよいでしょう。
ポータルサイトはほとんどの場合、ユーザーがメールアドレスなどの連絡先を入力することで、カタログをダウンロードしたり、セミナーに参加したりできる仕組みになっています。掲載している企業はポータルサイトを通じて連絡先を確認することができるので、その情報をもとに営業をかけたり、メルマガを送ったりしましょう。
また、ポータルサイトに企業の情報を載せることで、興味をもったユーザーがホームページに遷移して、問い合わせや資料ダウンロードをする可能性も考えられます。流入導線を広げてよりたくさんの人に見てもらう手段としても検討してみましょう。
リスティング広告を始める
ここまで紹介してきたWEBマーケティング施策は主に、「ホームページを使ったSEO」ですが、SEOは成果が出るまでに1ヶ月~1年ほどの時間がかかるものです。「そんなに時間を掛けていられない!」と思う方も多いでしょう。そんな場合は即効性の高いリスティング広告がおすすめです。
リスティング広告は、特定のキーワードを検索したユーザーに対して検索結果の上部などに表示される広告です。いまニーズがあって検索行動を起こしている顕在層ユーザーに対して、能動的にアプローチできる手段であるため、高い効果が見込めるでしょう。
製造業などBtoBのリスティング広告については、以下の記事もご参考ください。
BtoB企業がリスティング広告を配信するメリット|効果を出すポイントも分かりやすく解説
オウンドメディアを作る
ホームページとは別に、オウンドメディア(ブログ)を立ち上げてSEO記事を投稿することも有効です。
なお、前述の通りホームページとオウンドメディアの狙うキーワードは分けましょう。ホームページは顕在層向け、オウンドメディアは潜在層向けのイメージで、メインとなるキーワードはホームページでカバーするようにしましょう。
オウンドメディアでは、主に情報収集段階のユーザーにアプローチします。たとえば、いまご覧いただいているバリューエージェントのオウンドメディアでは、一見弊社の事業とは関係なさそうな、「一次情報とは」「altタグとは」といったキーワードの記事も掲載しています。
これらのキーワードで検索してくるユーザーはバリューエージェントに直接の興味はないかもしれませんが、ユーザーの目に触れるきっかけを増やし、認知促進につながっています。オウンドメディアをうまく運用できれば、広告費を使わずに認知も得ることができるため、費用対効果の高いWEBマーケティング施策と言えるでしょう。
ウェビナーを開催する
WEB上でおこなうセミナー、「ウェビナー」もWEBマーケティング施策の1つです。問い合わせや資料ダウンロードといった導線に加えて、ウェビナー(セミナー)参加申込の導線もあると、より多くのリード獲得につながります。
もちろん、必ずしもオンライン開催である必要はなく、対面のセミナーを織り交ぜても問題ありません。しかし、ユーザーの参加ハードルの低さ、企業側の手間の少なさ(場所を確保する必要がなくどこからでも開催できる)を考えると、ウェビナーのほうが費用対効果は高いでしょう。
なお、ウェビナー申込の際も、メールアドレス等の連絡先は取得します。リードを獲得しアプローチをおこなう流れは、その他の施策と同様です。
製造業もWEBマーケティング導入で着実かつ効率的な売上アップ!
今回は主に、ホームページを使った製造業のWEBマーケティングの始め方について紹介していきました。
「ほぼ100%」成果が出ると言っても過言ではない製造業でのWEBマーケティング。SEOに強いホームページを作りうまく運用していけば、展示会出展費や営業工数を大幅に抑えられるかもしれません。
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