【マーケティングVSブランディング】インターネット時代に押さえておきたいポイントとは?

webマーケティングVSブランディング

「マーケティング」や「ブランディング」という言葉、昨今よく耳にする機会が増えてきた方も多いのではないでしょうか。

広告やWEBマーケなどの業界人でなくとも、事業を始める・運営するうえでは無視できなくなってきたこの言葉。それぞれどう使い分けるのか、どんな風に活用すべきなのか知っていますか?

今回は区別がしにくいマーケティングとブランディングについて、それぞれの意味やケースごとの活用方法を紹介します。あなたの会社の事業内容やフェーズに照らし合わせながら、どんな考え方で進めていくべきか、ぜひ確認してみてください。

マーケティングとは「企業が売れる仕組みをつくること」

マーケティングとは

マーケティングとは、簡単なひと言で表すと「売れる仕組みを作ること」です。

一般的にマーケティングは、商品のプロモーションや販売促進の戦略立てを行うようなイメージをもつ方も多いかもしれません。しかし、実は商品を売る段階のみならず、商品が企画されて流通し顧客の手に渡るまで、すべての段階に深く関わっており、いわば根幹部分といえるでしょう。そのような意味ではブランディングより上位の網羅的な概念となります。

たとえば…

カフェの「スターバックス」は徹底的なマーケティングが行われていることで有名な企業です。おいしいコーヒーを提供するだけでなく、店内の音楽や椅子、設備等、すべての要素で顧客に上質な「スタバ体験」を提供できるよう、綿密に計算されています。

 

流行に敏感なターゲット層が好みそうなメニュー、通いそうな場所、手は届くがブランド感もある価格帯、マス広告を使わずに口コミ中心で拡散を狙うプロモーションなど、いくつもの戦略のうえで、私たちは「スタバっていいな」と感じたり、「フラペチーノを買ってSNS投稿しよう」と思ったりするのです。

マーケティングで成功している企業は、対象となる商品やサービスを深く分析し、「どんな商品を」「どこで」「いくらで」「誰に」「どのように」売りたいのかを明確にして、企業や事業としての方向性をしっかりと固めています。

その大方針の枝葉に、ブランディングやプロモーションなどが位置づけられます。なお、マーケティングのなかでも「WEBマーケティング」という場合は、WEBを使った販促プロモーション(有料広告/無料施策を含む)といった意味合いになります。

ブランディングとは「一貫したイメージを顧客に持ってもらうもの」

ブランディングとは

企業が主体となって売れる仕組みを設計し戦略を立てていくマーケティングとは異なり、ブランディングは顧客が主体となる概念です。

たとえば…

皆さんは「Apple」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?「iPhoneの会社」「シンプルでスタイリッシュなデザイン」などでしょうか。多くの方が少なからずこのようなイメージを持ったかもしれません。

 

「ルイ・ヴィトンといえば高級バック」「サイゼリヤといえばお手頃イタリアン」など、一般的に「○○といえば△△」というイメージが根付いている企業やブランドは多数ありますが、これらはブランディングによる結果です。

ブランディングが成功すれば企業がプロモーションを行わなくとも自然にファンがつき、口コミが広がり、集客はやりやすくなることでしょう。

なお、現在はインターネットの普及によって、中小企業や個人店でも小規模なブランディングを行いやすくなってきていますので、次章にて具体的に説明していきます。

WEBでのマーケティング・ブランディング、こんな場合はどっち?

こんな場合はどっち

マーケティング・ブランディングのそれぞれの意味や概念について紹介していきました。

かつては新聞やTVCMなど、マスメディアの力が大きかったマーケティングやブランディングも、現在ではWEB上で行うことができる施策も増え、小規模から始めやすくなっています。

今回は主にWEB上でのマーケティング・ブランディングにフォーカスして、5つのケースでの活用方法を紹介します。

なお、どんなケースでも「マーケティング/ブランディングだけをやればいい」と断言できるものはありません。企業やサービスの状況や課題感に応じて、バランスを加味しながら両軸で検討していきましょう。

①開業したばかりの飲食店の場合

飲食店の場合、コンセプト作り/出店場所決め/出店後の集客でとるべき施策が分かれます。

コンセプト作成にはブランディングが活用できるでしょう。得意な料理のジャンルや自分の個性・強みなどから、「どんな料理をどんな風に売るか」「お客さんにどんなイメージを持ってもらいたいのか」など、その店の根幹となる部分を考えます。

次に、出店場所決めはマーケティングが活きてくるでしょう。

たとえば…

おしゃれな雰囲気の若者向けカフェなのに、子連れ家族が多く住む住宅街の奥にあったら、なかなか若い人は行きにくいかもしれません。また、いわゆる「若者の街」といっても「原宿」なのか「渋谷」なのかで、訪れる人の雰囲気や趣味趣向は異なってきます。

「出店したい街の人口」「男女比」「年齢層」などのデータを事前調査していきましょう。また、コンセプトに基づくターゲットが来店しそうな立地か、データだけでなく実際にその街を歩いて現地調査などもしながら判断するのがおすすめです。

出店後の集客には、ブランディングとWEBマーケティングが有効です。

たとえば…

みなさんはHPやInstagramがきれいでおしゃれな雰囲気のお店に興味を持って実際の店舗に行った結果、暗くて殺風景なお店だったとしたら、どんな気分になりますか?「なんか思っていたのと違うな」とがっかりするかもしれませんね。

 

せっかく提供する料理がおいしくても、外装・内装・接客・HP・SNSなどお店を構成する要素とのギャップが大きければ、顧客は周りに薦めようと思わないかもしれません。

現在は食べログやGoogle、Instagramなどの口コミが大きな影響力をもつ時代です。「人に薦めたい」と思う判断要素は味だけではありません。店舗全体の雰囲気も含めて統一感をもたせ、「あの店は○○な店」というイメージ(=ブランド)を作っていきましょう。

口コミは自然発生するものではありますが、お店側から「うちはこういう店」というイメージを提示することができれば、顧客は感じたことを言語化しやすくなり、口コミを発信しやすくなるはずです。

そのようにブランドイメージができたら次はWEBマーケティング施策として、HPやショップのSNS投稿などもそのイメージに沿って調整していきましょう。WEBマーケティングでは少しの修正が大きな効果をもたらすこともありますので、ブランドイメージに反しない範囲でいろいろな文言やデザインを試してABテストをしていきましょう。

②老舗BtoBサービス企業の場合

数十年前から続く老舗BtoBサービス企業のなかには、「昔からの取引先は多いけれど、新規の取引先が増えにくく、営業担当者の人力では限界を感じている」という課題をもつ会社もあるかもしれません。

この場合、長年のビジネスのなかでリアルでのブランディングはある程度できていると考えられるため、新規取引先獲得に向けてWEBマーケティングを重視するとよいでしょう。

BtoBサービスは、顧客がインターネットでの検索行動を起こしている時点で、ニーズが明確である場合が大半です。「この企業は○○」といったブランディングイメージの有無というよりは、実務的な部分(事例の数・独自の機能・価格など)が検討の決め手になるケースも多いです。

そのため、まずは「WEB上での接客の入口」となるサービスサイトの要素見直しから行ってみましょう。

サイト改善にあたり、「自社にはどんな強みがあるのか」「顧客にどう役に立つのか」を明確にしていく必要があります。その際はサイト担当者自らが考えるだけでなく、ぜひ実際に顧客と対峙する営業担当にも聞いてみてください。

顧客の生の声から意外なニーズや独自の強みが見つかるケースもよくあります。客観的な第三者の目線を取り入れて、サイト内ではっきりと明確に強みを打ち出していきましょう。

「現在WEB問い合わせはほとんどない」という企業こそ、サイトを改善することで思わぬ新規顧客獲得や受注率UPにつながるかもしれません。このインターネット時代、対面営業だけではない手段も取り入れて、営業効率を最大化していきましょう。

③コア客はいるが新規顧客が増えないネットショップの場合

小規模だとしても、すでに常連の顧客やファンがついている場合、もうブランドとしての価値は確立できている可能性があります。しかし、それを知っているのは一部の顧客だけであり、メッセージングができていないと考えられます。

ネットショップのメッセージング(発信)には、WEBマーケティングが有効です。

一部の顧客だけが知っている・感じているブランドメッセージがあれば、InstagramなどのSNSやショップページなどで大きく発信してみましょう。まずは無料でできる範囲で発信し、成果につながっていく見込みがあれば、WEB広告でさらに大規模に発信していってもいいかもしれません。

「どんなブランドメッセージが一部のファンに刺さっているのかわからない」という場合はそのファンに直接聞いてみましょう。商品購入後などに任意でアンケートに協力してもらうことも有効です。

④予算があまりかけられないECサイトの場合

ECサイトに限らず「予算があまりかけられない場合はどうすればいいのか」と疑問に思う担当者も多いでしょう。

まずどんなビジネスでも共通してやるべきことは、「自社独自の強みを見つけること」です。マーケティングで競合調査などを行いながら自社のポジションを確認し、その「強み」をブランディングでコンセプト化=言語化していきましょう。

そのうえでWEBマーケティング施策を実行していくのがおすすめですが、ECサイトの場合、優先すべきはサイト改善です。

「とにかくすぐに購入数を増やしたいから」といってやみくもに広告を打ったり、クーポンを配布したりしても、ユーザーが実際に触れるECサイトが使いづらければ、購入率は低いままです。

たとえば、「ユーザーが購入に至るまでの導線はスムーズか?」「購入ボタンやカートがページの下のほうに隠れていないか?」など、自分がECサイトを使うときの立場になって考えてみましょう。カートの位置を変えただけ、購入ボタンの色を変えただけで購入率が大幅に変わる可能性は十分に考えられます。

サイト改善を行ったことにより、購入率UPの傾向が見えてきたら、各種SNS(Instagram・Twitterなど)を使った集客を進めていきましょう。通常の投稿を自社で行うぶんには、費用は一切掛かりません。

こちらもさまざまな投稿を試していくなかで、リンクのクリック数・いいね数・保存数などの指標が高い投稿が見つかったら、広告として発信するとよいでしょう。

サイト改善やSNS投稿などをすべて自社内で行う場合は、広告実施のとき初めて費用が発生します。予算をかける前に試せる施策は豊富にあるので、まずはぜひトライしてみましょう。

⑤既存顧客は多いが別ターゲットを狙いたいブランドの場合

現在のブランドに多数のファンを抱えていて、売上が好調だとしても、会社としてさらなる売上を目指すには頭打ちになっていたり、時代の流れでニーズがだんだんと減少してしまうことが予測されていたりと、「現状維持」だけでは難しい状況もあるでしょう。

そのような場合、ブランディングの観点では「リブランディング」という手法があります。既存ブランドとは異なる新ブランドを立ち上げ、コンセプトを打ち出して、まったく新しターゲットを呼び込んだり、徐々に既存顧客を移行させていったりしましょう。

たとえば…

工事現場などの職人をターゲットに、高品質で低価格な作業着を提供していた「ワークマン」は、「#ワークマン女子」という女子向けのまったく新しいブランドを立ち上げました。

既存の「ワークマン」ブランドを切り捨てることはしていないため、これまでの職人の業務用需要に加えて、若年層女子のプライベート需要が生まれ、2つのまったく異なるターゲットからの売上を生み出すことに成功しています。

 

真逆のターゲット層でのリブランディング成功事例に見えますが、実は核となる「高品質(丈夫)で低価格な服」というワークマン独自の強みを活かしている点は、既存のワークマン/ワークマン女子ともに共通です。

このように根幹となる「自社の強み」はリブランディングのときにも有効に働きますので、ぜひ会社の共通認識として言語化しておきましょう。

また、既存ブランドのままで客単価をUPさせたいという場合は、マーケティング手法の1つとしてアップセル・クロスセルを狙うという手もあります。

たとえば…

みなさんは100円ショップでレジ横などに300円や500円の商品などが置いてあるのを見かけたことはありますか?100円ショップに来たはずなのに、ついつい500円の商品も買っていたという経験があるかもしれません。

このようなアップセル・クロスセルといった方法をとれば、既存のブランドイメージを壊すことなく、自然な客単価UPが狙えるでしょう。

マーケティングやブランディングを検討する際のポイント

検討する際のポイント

ここまで、業種や状況別にマーケティングやブランディングの実例について紹介していきました。では、実際自社に当てはめて実践する際、どんなところに気を付けて、どんな風に進めていくのがいいのでしょうか。

ここからはどの業種にも共通する、マーケティングやブランディングを検討する際のポイントを紹介します。これからどんな施策を進めていく場合でもベースとなる根本的な考え方ばかりですので、まず目を通してから始めてみましょう。

「伝えたいことの中身」が最重要

どんな施策でも、まずは自社のポジションを分析し、そのなかで強みとなる独自性などを見つけていくことが第一です。

マーケティングやブランディングと聞くと、きれいなサイトや響きのいいキャッチコピー、おしゃれなデザインを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、それはあくまで枝葉となる部分です。

核となる「自社の強み」や「顧客に訴えたいこと」、「持ってもらいたいイメージ」がはっきりとしていなければ、どんなにきれいな広告やサイトがあっても、本当に伝えたいことを伝えることができません。

最終的にデザインや広告運用を業者に依頼するとしても、核となる部分は自社で考え、言語化してみましょう。もちろんその過程で専門家に相談したり、顧客にヒアリングしたりすることは問題ありません。

マーケティングやブランディングのプロに依頼する際は、一緒に考えて意見出しができるようなパートナーを選びましょう。

お客さんが答えをもっている

ここまでの章で何度も「顧客にアンケートをとる・ヒアリングする」といった方法が登場しましたが、どんな業種・業界においても、「購入や受注の決め手になった理由=ニーズ」をもっているのはいつでも「お客さん」です。

前段にて、「核となる部分は自社で考えよう」とお伝えした一方で、完全に自社内だけで考えていると顧客視点が欠けてしまうことがよくあります。

飲食店であれば常連のお客さんに聞いてみる、BtoBサービスであれば営業担当者にヒアリングしてみるなどして、まず現状どんなイメージやニーズがあるのかは確認しましょう。

顧客が感じているイメージやニーズと、自社で打ち出したい強みが完全にイコールでない場合もありますが、まずは「一番近くのお客さん」がどんな風に感じているのか把握しておくことで、マーケティング分析やブランディング施策を行いやすくなるはずです。

マーケティングのうえでプロモーションなどを行った結果、「打ち出した自社の強み」が「顧客がもつイメージ」と一致するようになれば結果的にブランディングも成功と言えるでしょう。そのイメージがポジティブな口コミとして広がっていけば、その後の継続的な売上UPも期待できます。

小手先の施策で「とりあえず」は×

マーケティングやブランディングは会社全体で考えなくてはならないものですが、マーケティング部などだけで進行し、全社の共通認識もないままに進んでしまうことがよくあります。

「とりあえず売れたらいい」と、デザイン変更やサイト改修、広告出稿などをしてしまうと、顧客に伝えたいメッセージやゴールも不明確で効果が分かりにくいだけでなく、事情を知らない社長の鶴の一声で全部やり直しになってしまう…ということもあり得ます。

デザイン変更などは確かに「施策をやった感」は出るかもしれませんが、あとからやり直しになっては元も子もありません。市場調査や顧客ヒアリング、強みの洗い出し、社内への共有などは手間がかかるうえに地道で目に見える変化が起こるものではありませんが、その下準備が成功のカギとなっていきます。

しかし、準備にあたりノウハウがない、人手が足りない、社内に説得できる自信がないなど、さまざまな不安を抱える方もいるでしょう。そのような場合は一緒に考えて「伴走」できるコンサルタントを活用してもいいかもしれません。

いつかは自社内でマーケティングやブランディングを完結させたい場合でも、まずコンサルタントと伴走しながら正しい知識や進め方を知って、自社のノウハウとして蓄積している企業も多くあります。

まとめ

今回はマーケティング・ブランディングのそれぞれの意味や活用方法について紹介していきました。

「どちらのほうが効果が高い」と断言できるものではなく、マーケティングとブランディングは「どちらも必要」です。ただ、業種や業界、企業によってそのバランスや優先順位は異なるため、まずは自社の現状分析から始めてみましょう。そういう意味では、「最初に必要なのはマーケティング」と言えるかもしれませんね。

分析の際にどんな風に考えて進めていけばいいか迷ったら、ぜひバリューエージェントにご相談ください。バリューエージェントは顧客へのWEBアプローチを網羅的に手掛ける「WEBコンサルタント」ですので、1つの施策や手段にとらわれず貴社と一緒に伴走しながら最善策を提案させていただきます。

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