セールスライティングとは?今日から使える具体的なテクニック7選
“モノを売るための文章テクニック”である「セールスライティング」は、広告から顧客へのメール、営業のトークスクリプトまで、あらゆる場面で活用されています。マーケティング担当者に限らず、どんなビジネスマンでも覚えておいて損のない、人の気持ちを動かす文章術と言えるでしょう。
しかし、セールスライティングにはさまざまなフレームワークやテクニックがあり、どれから勉強していけばいいのか分かりにくいものです。そこで本記事では、初心者でも使いやすい7つのテクニックを厳選しました。具体例もあわせて紹介しますので、これまでセールスライティングを意識したことがなかった方も、ぜひ活用してみてください。
目次
セールスライティングとは?
セールスライティングとは、商品やサービスを販売するためのライティング(文章)テクニックのことです。どんなセールスの場面でも役立ちますが、特に文章で情報を伝えることの多いWEBマーケティング・WEB集客において、重要度が高まっています。
ただやみくもに自社商品をアピールしたり、主張を伝えたりしても、商品は簡単に売れないものです。セールスライティングのゴールは「顧客が興味をもって、商品を購入してくれること」。そのゴールに向け、顧客心理をくみ取って行動を後押しするような文言を入れたり、市場や競合他社を分析して差別化する文言を入れたりと、あらゆる工夫や文章術が必要になってきます。
セールスライティングには本記事で紹介するもの以外にも、さまざまなテクニックや型があるので、気になる方は書籍や講座を調べてみてください。
ちなみに、似ている言葉に「コピーライティング」というものがありますが、両者は異なる言葉です。
- コピーライティング…宣伝や広告に使われる文章やフレーズ全般
- セールスライティング…コピーライティングのなかでも特に、購買行動に直結するもの
セールスライティングのほうがより直接的に「購買」を促すものです。CMなどに使われているようなコピーライティングは主に、購買行動の前段階にあたるイメージ想起や認知促進に役立つものとなります。
セールスライティングが使われる場面
セールスライティングは「人が人へモノを魅力的に伝える」あらゆる場面で必要になります。たとえば、以下のような場面が考えられるでしょう。
- ホームページ(ランディングページ)制作
- 商材資料、ホワイトペーパー制作
- メルマガ配信
- SNS投稿
- DM、チラシ作成
- WEB広告配信
- YouTube動画配信
……etc
意外なところでは「手紙」もセールスライティングを活かせる場面の1つです。バリューエージェントでは創業当初、1社1社に直筆の手紙でアプローチしていました。手紙という手段の独自性と、セールスライティングによる工夫した伝え方によって、取引につながっている会社がいくつもあります。
あなたが担当する商品やサービスでも、手段(マーケティング施策)と中身(セールスライティングによる文章やクリエイティブ)のベストな組み合わせを見つけてみてください。施策と伝え方を誤らなければ、きっとビジネスの成長につながることでしょう。
基礎的なマーケティング戦略の立て方や施策の選び方については、以下の記事もご参考ください。
すぐ使える!セールスライティングの具体的テクニック7選
ここからはセールスライティングの具体的なテクニックを7つ紹介していきます。基礎的かつ、重要なものばかり厳選していますので、今日からさっそく使ってみてください。また、具体例もあわせて紹介します。BtoC、BtoBそれぞれ以下の事業を想定して記載していきますので、あなたのビジネスにあわせてご覧ください。
- BtoCの例:個人向けの引越し業者
- BtoBの例:法人向けの印刷会社
①最も伝えたい独自性を箇条書きで伝える
セールスライティングでは、独自性を箇条書きで伝えていくと効果的です。顧客は商品やサービスを選ぶ際、「他社とどう違うのか?」を簡潔に知りたがっています。明らかに他社と違う独自性があるなら、シンプルに箇条書きで訴求しましょう。箇条書きは顧客の目に飛び込みやすくする効果があります。
たとえば、牛丼屋の「うまい、安い、早い」は3つのメリットが目に飛び込んでくる優れたセールスコピーの1つと言えるでしょう。
【BtoC/個人向けの引越し業者の場合】
「・業界最安値の料金体系!」
「・カンタンWEB申込!」
「・全国47都道府県対応!」
【BtoB/法人向けの印刷会社の場合】
「・業界最速の納品スピード!」
「・1枚、1デザインからOK!」
「・当日中に見積回答!」
②数字を入れる
セールスライティングでは、具体的な数字を入れるようにしましょう。人は抽象的な表現より、具体的な数字表現のほうが強いインパクトを感じるものです。
たとえば、「顧客満足度が高い会社です」と、「顧客満足度99.6% ※顧客1,000人に調査した結果」は、言っていることは同じでも、見え方や信頼感は大きく異なりますよね。デザインに落としこむ場合は、伝えたい数字を大きく表現すると、よりインパクトが出てメリハリが生まれるでしょう。
【BtoC/個人向けの引越し業者の場合】
「2023年引越し業者満足度ランキング第1位を獲得」
【BtoB/法人向けの印刷会社の場合】
「導入実績500社突破!リピート率95%」
③質問する
セールスライティングでは、導入で顧客に対して質問を投げかけるような文章も有効です。顧客が当たり前だと思っていたことでも、「たしかにそうかもしれないな」と気づきを与えることができるでしょう。
なお、このテクニックはあなたの会社の強みをアピールするための前置きです。質問で気づきを与えたあとには、その解決や答えにつながるような見せ方で商品やサービスを紹介しましょう。
【BtoC/個人向けの引越し業者の場合】
「引越し業者、知名度だけで決めていませんか?」
→実は業界最安で提供できるのは弊社だけ!
【BtoB/法人向けの印刷会社の場合】
「当日印刷は無理だろう……とあきらめていませんか?」
→当日印刷も承ります!
④悩みと解決の約束
セールスライティングでは、顧客の悩みに徹底的に寄り添うことが大切です。自社の顧客がどんな悩みをもって来ているのか考えたうえで、導入で寄り添うような文章を入れましょう。また、その悩みを解決する手段として商品を提示すると有効です。
たとえば、ニキビや肌荒れ等のコンプレックス系商品では、冒頭によくある悩みを列挙したあと、解決する商品を提示し、「効果がなければ返金保証」と謳うランディングページなどが多数あります。
【BtoC/個人向けの引越し業者の場合】
「引越しに向けて何から準備すればいいのかわからない……」
「単身の引越しだと高くついてしまうのかな……」
→初めての単身引越しでもお手頃価格で安心! 単身パッケージ
【BtoB/法人向けの印刷会社の場合】
「安いとクオリティが低くそうで不安……」
「印刷に不備があったらどうしよう……」
→業界唯一の返品保障あり! ご満足いただけなければ費用はいただきません。
⑤顧客の声を入れる
セールスライティングにおいて、顧客の声はリアル感や信頼感を高める重要な要素となります。メリットのアピールにつながる顧客の声は、事例ページに載せるのはもちろんのこと、メインのキャッチコピーとして活かしてみてもよいでしょう。
【BtoC/個人向けの引越し業者の場合】
「初めての利用で不安だったけど、分かりやすい見積と安心感のある当日対応でスムーズに引越しが完了しました」
【BtoB/法人向けの印刷会社の場合】
「急な依頼でしたが、1時間もしないうちに見積メールをいただきすぐに発注できました。相見積もりした会社のなかで最短でしたね」
⑥実績を列挙する
セールスライティングにおいて、実績の明記は顧客の安心感につながります。実績を書くときのポイントは、できるだけ数多く列挙すること。1つ1つの実績内容を細かく見る顧客は少ないですが、たくさんの実績が並んでいる見出しを見るだけで、「このサービスは本当にいいものらしい」と直感的に思わせる心理的な効果があります。
実績を列挙するときは、数字を入れたり、取引先のロゴを掲載させてもらったり、取引先担当者の写真を使わせてもらったりと、よりリアルに伝わる工夫ができるとよいでしょう。
【BtoC/個人向けの引越し業者の場合】
「大阪府・実家から引越しして一人暮らしを始めるAさん」
「京都府・マンションから新築一軒家へ引越すBさん一家」
【BtoB/法人向けの印刷会社の場合】
「ネームプレート印刷100枚・A病院さま」
「印刷&DM発送1万部・Bメーカーさま」
⑦ストーリー仕立てにして顧客をひきつける
セールスライティングでは、ストーリー仕立ての導入で読みやすくすることで、顧客をひきつけることも効果的です。よくある例としては、「違う方法を試したAさんとBさん、10年後にはこんな違いが出ていました」と商品による効果を自然にアピールする手法でしょう。YouTube広告でもよく使われていますね。
広告やセールスを感じさせない物語のような導入であれば、「広告」と聞いて反射的に拒絶するような人でも、スキップや無視をすることなく、いつの間にかじっくりと見ているかもしれません。
【BtoC/個人向けの引越し業者の場合】
「これから同棲を始めるAさんとBさん。まさか、引越しするうえで知らないと大変なコトがあるなんて、このときの2人は考えてもいなかった……」
【BtoB/法人向けの印刷会社の場合】
「大手印刷会社に発注しているA社と、株式会社○○に発注しているB社。1年後、B社の売上はA社の3倍になっていました。同規模の同業他社なのに、こんなに差がついた理由は……」
セールスライティングの型を使ったケーススタディ3例
ここからは有名なセールスライティングの“型”を3つ紹介します。前章で紹介した7つのセールスライティングテクニックは、導入やクロージングなど、部分部分で使える文章術でした。一方、型は文章全体の流れを構成する基本原則です。どちらも覚えて、実践で組み合わせて使っていきましょう!
今回は、弊社バリューエージェントをアピールするためのセールスライティングと仮定して、具体的なケーススタディも記載していきます。
AIDAの法則
AIDAの法則は19世紀に世界で初めて提唱されたマーケティング理論。派生形としてAIDMAの法則やAISASの法則などがのちに生まれましたが、その根本となるマーケティングの考え方なので、押さえておいて損はないでしょう。
- Attention(人の注意をひきつける)
- Interest(興味、関心を高める)
- Desire(欲求を喚起させ、商品を買いたいと思わせる)
- Action(購入や申込といった行動につなげる)
【例文】
A:「WEBマーケティング会社」検索結果1位獲得!
I:中小企業のWEBマーケティング・SEOに強い会社です
D:売上が1ヶ月で2倍に!問い合わせが3ヶ月で5倍になるなどの多数の実績があります
A:まずは気軽に無料相談
CREMAの法則
CREMAの法則は、「結論」から始まる簡潔かつ具体的なセールスライティングの型です。この法則を使えば、短い文章でも論理立てて物事を伝えることができるでしょう。特に、広告やメルマガなどをじっくり読み込んでくれる人は少ないと考えられるため、まず伝えたいことから先に伝える手法は有効です。
- Conclusion(結論を伝える)
- Reason(結論に至る理由を伝える)
- Evidence(理由を裏付ける証拠を伝える)
- Method(どういった手段があるのかを伝える)
- Action(購入や申込といった行動につなげる)
【例文】
C:マーケティング予算が月額10~100万円の中小企業にはバリューエージェントがおすすめ
R:課題に応じた最適な施策を組み合わせ、一気通貫で支援して成果につなげる
E:最大コンバージョン増加率21倍!
M:サイト制作、SEO対策、広告運用など、各分野のプロが対応
A:まずは気軽に無料相談
QUESTの法則
QUESTの法則は、悩みがある程度顕在化している顧客に対して、解決策として商品を紹介するセールスライティングの型です。「悩みがあればGoogleなどの検索エンジンでまず調べてみる」という人は多いでしょう。QUESTの法則はそんな検索ユーザーの悩みに寄り添い、解決に導く型であるため、WEB集客に最適と言えます。
- Qualify(ターゲットを絞り込み)
- Understand(悩みを理解・共感する)
- Educate(解決策を提示して教育する)
- Stimulate(購買意欲を刺激し、興奮させる)
- Transition(顧客に変化をもたらし、行動させる)
【例文】
Q:製造業専門のWEBマーケティング会社です
U:「お金をかけたホームページで一切成果が上がっていない」というお悩みもよく聞きます
E:製造業のWEBマーケティングは設計が全てです。1時間で作れるワークシートで設計が完成します
S:たった1時間の時間を割くだけで、今後の資産になるWEBマーケティングの仕組みが完成します
T:無料相談会はいつでも開催中! お気軽にお問い合わせください
セールスライティングを学べば、活かせる場面は無限大!
今回は7つのセールスライティングテクニックと、3つの型を紹介しました。ここで紹介した内容はあくまで代表的なものであり、セールスライティングはこのほかにも多数のテクニックや型が研究・発表されています。セールスライティングを詳しく学べる書籍やWEBサイトも数多くあるため、興味のある方はぜひ調べてみてください。
なお、セールスライティングはWEBマーケティングだけでなく、普段のメールや営業資料など、さまざまな業務で活きるものです。“売る力”を伸ばしたいと考えている方には、だれでも学ぶ価値があるといえるでしょう。
今後マーケティング施策のトレンドが目まぐるしく変わっていっても、“人の心を動かすための言葉”は大きく変わらないはず。これから先もずっと役立つ普遍的なスキルとして、あなたもセールスライティングを学んでみませんか?