リスティング広告の費用対効果を高める!適切な予算の立て方と具体的施策6選
WEB施策のなかでも少額から始めやすく、比較的成果に繋がりやすいリスティング広告。
「まずリスティング広告からやってみよう」と始めてみた中小企業の担当者も多いのではないでしょうか。
しかし、そのリスティング広告、適切な費用で運用できているか、あなたは把握していますか?
リスティング広告は予算設定の自由度が高いからこそ、高すぎる/低すぎる予算で運用してしまうケースも多々あります。
本記事では、適切なリスティング広告予算の算出方法や、費用対効果の高め方などを紹介していきます。
現在リスティング広告を運用している方は本記事を参考に、自社の場合どうなるか具体的に算出してみてください!
目次
リスティング広告の効果的な予算の立て方
リスティング広告の費用対効果を高めるためには、適切な予算での運用が必須です。本章では、どの企業でも応用できるリスティング広告予算の算出方法を紹介します。まずは自社に見合った予算を知り、適切な規模での広告配信を始めましょう。
本章の内容は一部、動画でもご覧いただけます。ぜひご参考ください。
※なお、こちらの試算方法はあくまで概算です。実際は各キーワードによって、クリック単価や成果率、そこから求められる獲得単価は異なりますので参考程度としてください
①関連キーワードを洗い出す
リスティング広告を初めて実施する場合は、いきなり管理画面を開いて広告文を考えたり予算を設定したりするのではなく、「関連キーワードの洗い出し」から始めていきましょう。
リスティング広告は理論上、会社名・サービス名といった限定的なキーワードだけでも、出稿することはできます。しかし、最初にできるだけ幅広い関連キーワードを用意しておくことで、配信しながら効果検証や改善を行い、結果的に費用対効果の最大化につなげることができます。地道にキーワードを集めていく作業になりますが、まずはここからスタートです!
たとえば、ハウスクリーニングの広告配信を行いたい場合、以下のような関連キーワードが考えられます。
メインキーワード:ハウスクリーニング
→関連キーワード:ホームクリーニング/ルームクリーニング/キッチンクリーニング/トイレクリーニング/エアコンクリーニング/換気扇クリーニング/お風呂掃除代行/水回り掃除代行 etc……
自社サービスをイメージしながら自力で連想していくこともできますが、「キーワードプランナー」や「ラッコーキーワード」といったツールを活用することもおすすめです。
キーワード選びのコツやツールの使い方については、こちらの関連記事でも紹介していますので、ぜひご参考ください。
リスティング広告のキーワード選定・設定方法|ツール活用方法も
②キーワードプランナーで各キーワードを調査する
関連キーワードの洗い出しでも登場した「キーワードプランナー」は、検索ボリュームやクリック単価を試算する際にも便利なツールです。関連キーワードが集まったら、各キーワードをキーワードプランナーで調査していきましょう。
たとえば、「ハウスクリーニング」というキーワードを調査すると、以下のような結果が表示されました。
3つの項目に注目しましょう。
- 月間平均検索ボリューム
- ページ上部に掲載された広告の入札単価(定額帯)
- ページ上部に掲載された広告の入札単価(高額帯)
「ハウスクリーニング」というキーワードの場合では、月間検索ボリュームは1万~10万程度(ダウンロードしたデータでは5万という具体的な数値で表示)、入札単価(≒クリック単価)は67~285円程度ということが確認できます。クリック単価は平均値を取って、170円程度と考えましょう。
この調査を、関連キーワードの分だけ行います。
③全体の平均クリック単価を算出する
各キーワードの調査ができたら、全体の平均値を割り出します。各キーワードの結果から足し合わせて全体平均を算出していきましょう。
以下のような計算方法となります。
- 各キーワードごとに、「検索ボリューム×クリック単価=すべてクリックされた時にかかる金額」を算出
- 月間検索ボリュームと、すべてクリックされた時にかかる金額について、それぞれ合計値を算出
- 合計金額÷合計検索ボリューム=全体平均クリック単価
キーワード | 月間検索ボリューム | 平均クリック単価 | すべてクリックされた時にかかる金額 |
ハウスクリーニング | 50,000件 | 170円 | 8,500,000円 |
ホームクリーニング | 5,000件 | 190円 | 950,000円 |
ルームクリーニング | 500件 | 100円 | 50,000円 |
キッチンクリーニング | 500件 | 110円 | 55,000円 |
トイレクリーニング | 500件 | 120円 | 60,000円 |
エアコンクリーニング | 500,000件 | 210円 | 105,000,000円 |
合計 | 556,500件 | ー | 114,615,000円 |
平均クリック単価≒約205円
(仮定として上記データのみで考えると)ハウスクリーニング関連のキーワードにおいては、1クリックあたり205円程度の広告費用が掛かるということが分かりました。
上記例は6つのキーワードのみですが、キーワード候補の件数が多いほど、想定クリック単価の精度は高まります。目安として数十個はピックアップできるといいでしょう。
④何人来れば成果につながるのかを算出する
①~③の過程で想定クリック単価を算出することができました。ここからは自社内のデータを確認していく工程となります。
あなたが担当している商品・サービスは、何人サイトに来れば1件売れるでしょうか?つまり、「成果率」はどのくらいでしょうか。
リスティング広告をやっていない場合はWEBからの自然流入で、現状何クリック(≒サイト流入)で1件売れているのか、確認してみましょう。リスティング広告によって得たい成果地点が「無料見積」「資料請求」といったポイントなのであれば、そのアクションに至るまでに何クリック必要なのか考えてみてください。
全くWEB施策をやっていない新規サービスで、どのくらいの成果率か見込めない場合は、自社の類似サービスの数値を参考にしたり、1%(ECサイトなら2%)程度で数値を仮置きしたりしてみましょう。しかし、実際のところはやってみないと分からないため、500クリック程度で小規模に実施し、成果率を見てみるケースもあります。
なお、広告代理店が「同業他社で成果率〇%の実績がありました!」と紹介してくる場合もありますが、他社での実績を信頼しすぎるのは危険です。
成果率は会社やサービスの知名度、ネームバリュー、商品の品質などに大きく左右されるもので、同業他社だからといって同じとは限りません。会社によって前提が大きく異なる部分であるため、社内のデータを洗い出してみたり、スモールスタートで検証してみたりしながら、「自社ならどのくらいか」の数値を把握しましょう。
⑤成果に必要なクリック数×平均クリック単価=目標獲得単価
自社サービスにおける成果率を算出できたら、ここまで集めてきた数値を使って目指すべき1件あたりの獲得単価を算出していきましょう。
ハウスクリーニングを例にして算出してみます。
クリック単価:1クリックあたり205円
成果率 :1%(100人来て1つ売れる)
の場合……
205円×100人=20,500円
目標獲得単価:20,500円/1個販売あたり
また、クリック単価や成果率の前提が異なれば目標獲得単価も大きく変わります。以下、別パターンの例を見てみましょう。
クリック単価:1クリックあたり30円
成果率 :2%(50人来て1つ売れる)
の場合……
30円×50人=1,500円
目標獲得単価:1,500円/1個販売あたり
広告実施時には具体的な獲得目標を事前に立てておくことで、客観的な分析や報告がしやすくなるでしょう。
また、リスティング広告には「設定された成果単価(CPA)に基づきAIが機械学習を進め、最適化を図る機能」が備わっているため、正しい目標を算出・設定しておくこと自体が、費用対効果を高めることにつながります。
⑥目標獲得単価×目標獲得件数=必要な広告予算
目標獲得単価が算出できたら、「その単価で何件獲得が必要か」を考えましょう。「広告で○○円の売上を立てる」といった目標がある場合は、目標売上を獲得単価で割ることで、必要な獲得件数が算出できます。
目標獲得単価:15,000円/1個販売あたり
目標獲得件数:100件/月
の場合……
15,000円×100件=1,500,000円
必要な広告予算:1,500,000円/1ヶ月あたり
たとえば、上記のように目標獲得単価15,000円で、月に100件の獲得が必要な商品の場合、月間広告予算は150万円が目安となります。
もちろん、150万円以下の予算であっても、成果率やクリック単価が改善すれば、100件の獲得を目指せる可能性はあるかもしれません。しかし、たとえば実績がない状態から「予算30万円で100件獲得」といった目標を立てて意気込んでも、達成するのはかなり難しいです。
リスティング広告をはじめとしたWEB広告はこのようにロジックに基づき、適切な目標や予算を事前に算出することが可能です。「うちのリスティング広告は費用対効果が悪い!」と思っている方も、まずは自社の現状数値を把握し、本当に適切な広告予算で配信できているか確認してみてください。
リスティング広告で費用対効果を高めるための施策6選
ここまで、リスティング広告で費用対効果を高めるための適切な予算の立て方を紹介しました。しかし、どんなに予算が適切だったとしても、継続的に検証や改善を行っていかなければ、さらなる効果UPは見込めません。
そこでここからは、費用対効果を高めていくために必要な具体的施策を6つ紹介していきます。6つの施策をヒントにしながらPDCAサイクルを繰り返し、さらに効果的なリスティング広告配信を行いましょう。
本章の内容は一部、動画でもご覧いただけます。ぜひご参考ください。
①幅広いキーワードから取捨選択
まずは、幅広いキーワード群でリスティング広告を出稿し、そこから取捨選択して効果の高いキーワードを絞り込んでいきましょう。
狙いたいキーワードの競合が多く、クリック単価が高い場合、そのキーワードだけで出稿していてもなかなか成果に繋がらないものです。ある程度の成果件数が取れなければ、そもそも費用対効果を算出することもできなくなってしまいます。
最初は「ちょっと違うかな……」と思うような別の方向性を含め、さまざまなキーワード、組み合わせでテストしてみましょう。意外なキーワードが成果につながりやすく、クリック単価も安い(=費用対効果が高い)といったケースはよくあります。
例として以下、クリック単価相場が高めの「結婚相談所」というキーワードで考えてみましょう(数値は仮定です)。
「結婚相談所」
クリック単価:1クリックあたり1,000円
成果率 :2%(50人来て1契約)
の場合……
1,000円×50人=50,000円の獲得単価
結婚相談所の会社が「結婚相談所」のキーワードで広告出稿すれば、顕在ニーズの高いユーザーに接触できるため、成果率は高いと考えられます。しかし、同じように考える競合他社も多数いるため、クリック単価は吊り上がってしまいます。
これではなかなか成果に繋がらない可能性があるため、方向性の違う別のキーワード「恋活」の場合も見てみましょう。
「恋活」
クリック単価:1クリックあたり100円
成果率 :0.5%(200人来て1契約)
の場合……
100円×200人=20,000円の獲得単価
「恋活」のキーワードで出稿した場合、結婚相談所のニーズとは少し違う層も流入してくると考えられるため、成果率は「結婚相談所」と比べて低めになるでしょう。しかし、クリック単価は「結婚相談所」の10分の1であるため、結果的に獲得単価は「恋活」のほうが安くなりました。
成果率も高く、クリック単価も安いキーワードをたくさん見つけられるに越したことはありません。しかし、人気キーワードは決まってクリック単価が高いものです。
たとえ成果率が低くても、「数を打てば当たる」ような潜在層向けキーワードを織り交ぜてテストを繰り返すことによって、ベストな費用対効果を探っていくことができます。また、テストしたうえで成果に繋がらないキーワードは随時停止しましょう。
②複数の広告文で最適化
リスティング広告の費用対効果を高めるためには、キーワードもさることながら、広告文(広告見出し/説明文)の効果検証も重要です。
Googleのリスティング広告(レスポンシブ検索広告)は、複数の広告文からAIが効果的な組み合わせを何パターンも自動で生成、配信していくものです。機械学習していくなかで最良のパターンを見つけ出し、効果のいい広告文に自動で配信ボリュームを寄せていくことができます。
このAIによる機械学習は使いこなせば便利な機能です。しかし、AIが複数パターンを作り出し、テストするためにも、もとになる広告文の登録が一定量必要になってきます。
レスポンシブ検索広告は最大15個の見出しと4個の説明文が登録できるため、できるだけ最大数用意しましょう。パターンのバリエーションが増えることで、AIが機械学習しやすい状態になり、早期の費用対効果UPが期待できますよ。
効果的な広告文を作成したい方は、こちらのノウハウもぜひご参考ください。
リスティング広告の広告文作成完全ガイド|便利なお役立ちツールも
③配信地域や時間などの見直し
地域や時間も、基本的にはAIの機械学習で最適化し配信されていますが、初期設定や定期的な見直しは行いましょう。
たとえば、大阪市内のハウスクリーニング業者なのに、東京を含む全国エリアに配信してしまっていては、成果に繋がらない他エリアのクリックが多数発生し、無駄なコストになってしまいます。
リスティング広告はクリック時に課金される「クリック課金形式」であるため、明らかに異なるターゲットからのクリックは費用対効果を下げる要因となります。エリア限定サービスで、「ターゲット外の人が明らか」な場合は、地域や時間、年齢や性別などの条件をチューニングしてください。
また、AIの最適化が優秀だからといって、すべて任せていると効果が悪化する場合があります。たとえば、以下のようなケースでは手動での地域や時間の調整が必要になってきます。
- 普段は日中に成果が発生しているが、19時のTVで紹介されたことにより夜間の成果率が一時的に急上昇し、夜間配信が強化された
- 大阪の飲食店が東京のイベントに出店したことで、一時的に東京エリアの流入が急激に増加し、東京への配信が強化された
上記のようなイレギュラーな事象が起きるとAIの最適化はぶれやすくなります。AIの機械学習を進めるための環境は整えつつも、定期的に人間の手を加えることで費用対効果の高い配信を実現させましょう。
リスティング広告におけるAIについては、以下の記事でも紹介しています。
リスティング広告はAI任せで自動化してOK?AIを勧める代理店の真意とは
④ランディングページ改善
広告の遷移先となる「ランディングページ」を改善することは、成果率向上のカギとなります。どんなにキーワードや広告文を改善して広告のクリック率が良化しても、成果率が低いままなら、まだまだ費用対効果UPが期待できるでしょう。
費用対効果はクリック(クリック率やクリック単価)と成果(成果率や獲得単価)の両軸でテストを繰り返し、改善していくものです。どちらかではなく、どちらも同時並行で対策していくことが重要です。
以下はランディングページ改善ポイントの一例です。自社のランディングページと照らし合わせながら確認してみましょう。
- 出稿しているキーワードとランディングページの内容がずれていないか
- 冒頭でなんの商品・サービスなのか、どんな魅力があるのかがひと目で分かるか
- 初めて見た人でも必要な情報にたどり着くことができる操作性か
- 購入ボタンやカートの位置など、成果に繋がる箇所は見つけやすいところにあるか
ランディングページは第一に、「だれでも使いやすいか」が重要です。スタイリッシュでおしゃれなデザインのページもいいですが、まずはユーザー目線に立って改善を重ねていきましょう。
⑤割引キャンペーンを打ち出してみる
「○○%OFF」「○○円引き」といった割引キャンペーンは訴求力が強く、高い広告効果が見込めます。
例)獲得単価5,000円の商品の場合
通常プロモーション費用:5,000円/1件
↓
500円マイナスの4,500円で割引キャンペーンを開始
↓
獲得単価が3,000円に改善
↓
割引時の合計プロモーション費用:3,000円+割引負担分500円=3,500円/1件
↓
通常時より1,500円費用対効果が改善!
「割引することで利益を削ったら、費用対効果が悪くなるのでは」と思う方もいるかもしれませんが、むしろ上記例のように割引キャンペーンを行ったことにより効果が改善するケースも多々あります。
割引キャンペーンが恒常化してしまうと、ユーザーに飽きられ獲得効率が落ちる可能性はありますが、きちんと戦略立てて狙うべきタイミングに割引キャンペーンを実施することで、通常より高い効果を見込めるでしょう。
⑥広告管理画面だけでなく実成果の獲得状況も確認する
リスティング広告の成果を確認するとき、広告管理画面の数値だけを鵜吞みにしてしまうのは危険です。管理画面の数値はあくまでGoogleなど媒体側で確認できた件数。他の計測ツールや実成果数とブレがある可能性は十分にあります。
管理画面の成果件数はあくまで参考としつつ、実際にあった問い合わせ数や購入数などは必ず定期的に確認するようにしましょう。「電話番号タップやボタンクリックなどを成果地点にしているけれど、実は誤タップばかりで、成果につながっているものは1件もなかった……」という事象もよくある話です。
管理画面の数値に一喜一憂するのではなく、実成果を確認し、本当に成果につながるキーワード、広告文、成果地点などを分析して設定できれば、自然と費用対効果は高められるでしょう。
リスティング広告の効果は地道な施策から
今回はリスティング広告の費用対効果を高めるために知っておきたい、広告予算の立て方や具体的施策を紹介していきました。
キーワード、広告文、配信時間、ランディングページなど……、複数の要素で地道にテストを繰り返すことで、リスティング広告の費用対効果は高まります。
一発逆転のような施策ではない一方で、コツコツ調整していけばどんな企業でも効果改善の余地はあると考えられます。
「自社の場合はどんな施策からやっていけばいいだろう?」と思った方は、ぜひバリューエージェントまでお問い合わせください。