BtoB企業のリスティング広告とは?メリットとポイントについて紹介
BtoB企業にとってもWEB広告は重要なマーケティング施策の一つで、色んな手法がある中でも「リスティング広告」は比較的よく耳にする代表的な施策かもしれません。
今回はBtoB企業にとって比較的少額から簡単に始められるリスティング広告について、特にBtoB企業がリスティング広告で取り組むべきメリットとポイントを紹介します。
本記事はこんな人の参考になります!
- 自社のリード獲得において何かしら施策を検討をしている方
- リスティング広告を検討している中小企業の方
- BtoB企業の中でもリスティング広告の相場や考え方について知りたい方
目次
そもそもリスティング広告とは!?
動画でも紹介したように、リスティング広告とは「検索連動型広告」のことで、検索エンジンでキーワードを入力した際に検索結果に紐づいて「スポンサー」と表示されているテキストベースの広告になります。
またユーザー自身が検索したキーワードに合わせて広告が表示がされる為、検索される様なサービス・商品で他社より優位性がある商材であれば効果が非常に出やすい広告となります。
これはBtoC業界だけではなく、BtoB業界でも全く同じことが言えます。
費用の相場に関しては商品やサービスによっても変わりますが、基本的には入札制となり、1クリック単価が何十円~何百円や何千円とさまざまです。
国内の主要なリスティング広告は、「Google広告」と「Yahoo!広告」の2つです。
BtoB企業のリスティング広告のポイントやメリットについて
リスティング広告は、検索キーワードに連動して企業のサービスをPRできる広告となるので積極的に情報(=解決策)を探している能動的な層にアプローチができます。
※マーケティングファネル
マーケティングファネルの観点から、上から下へ施策を進めていくのがBtoBマーケティングの王道となります。(※市場が存在していない場合は例外で逆の手順となります。)
上記の観点から、リスティング広告は手始めに実施することがおすすめです。
ここからはBtoB企業にとってのリスティング広告のメリット・ポイントについて紹介します。
BtoB企業にとってのリスティング広告のポイント
ニーズが明確になっている商品・サービスであれば関連する検索キーワードの有効活用によって、確度の高い見込み顧客にアプローチができます。
顕在化したターゲットにアプローチができるという点は大きなポイントとなります。
特にステークホルダーが少ない中小企業をターゲットにしている場合は、ダイレクトに決済者や社長からの問い合わせに繋がったりするので、質の高い商談に繋がる事は大きいメリットです。
また、他のオフラインの施策と比べても施策の検証がし易かったり、自社商材に関連する指名キーワードを対策することによりホットリードの獲得にも繋がります。
一方で、検索ボリュームがBtoC商材と違いそこまで多くないケースがあり、理想の配信量を確保できない事があるので顕在層だけではなく、潜在的な顧客層を意識したキーワードも検討する必要があるでしょう。
リスティング広告の目的と考え方
BtoB企業にとってのリスティング広告の目的を設定するポイントとしては、全体のゴールから考えた方がいいでしょう。大多数の企業にとって、ゴールは受注に設定することが多いと思います。
その為には、如何に良いリード=「資料請求」や「問い合わせ」を獲得し、営業にパスできるかがリスティング広告の目的となりやすいです。
例えば、人材会社における「問い合わせ」の場合は指名キーワードと呼ばれる自社の社名やブランド、サービス名、などの固有名詞やサービスカテゴリー名などのホットリードの顕在層を軸に展開するのがいいでしょう。
直接受注には繋がりにくい「資料請求」の場合は、ナーチャリング観点も考慮して具体的なサービス名、ブランドについての知識がなく、漠然と課題を抱えていることになるので、「人材会社 おすすめ」や「人材会社 製造業」などのざっくりとしたキーワードに広げて展開するのがいいでしょう。
どちらにしろ最終的な目的を決めて、それに合わせたキーワード選びと広告文の作成、そしてLP(遷移するページ)と一連のフローを設計して効果を最大化していくことを意識しましょう。
BtoB企業のリスティングの予算の決め方
リスティング広告は最低予算(代理店に依頼の場合は各代理店のルールがあり)などの設定がない為、自社の都合で予算を決めることができます。
既に会社によっては広告予算があり、且つその中でリスティング広告に割ける予算が決まっている場合はその予算をもとにシミュレーションを出し、運用をスタートする形でいいでしょう。
一方で、予算が決まっていない場合、妥当の予算を出すためにゴールからの逆算をしてみるのがいいでしょう。
具体的には、3パターンあります。
①目標コンバージョン数から逆算する
商品・サービスの購買などをCVとした場合は、月に「獲得したい目標CV数」を基準に予算を策定します。
例えば、月に100件のCV数を目標に、CPA(CV1件にかかる獲得単価)を5,000円とした場合、月額予算は500,000円となります。
100件(CV数)×50,000円(CPA)= 500,000円(予算)
②獲得単価から逆算する
目標CPAからの逆算で予算を決めることも可能です。
CPAは広告出稿する商品・サービスの「利益」から、広告費用として掛けられる金額が算出できます。
例えば、1件あたり利益100,000円の商品で、70,000円まで広告費として利用できる場合、目標CPAは70,000円となります。
ここから獲得したいCV数に目標CPAをかけることで、予算が算出できます。月間予算は、700,000円です。
100件(CV数)×70,000円(CPA)=700,000円(予算)
③売上目標金額から逆算する
最後に商品の売上単価が上下する場合や、多数の商品を扱っている場合は売上目標から予算を決定しても良いでしょう。
例えば、売上目標を1,000,000円とし広告費を売上額の20%と決めた場合は、予算額は20万円です。
1,000,000円(売上目標)×20%=200,000円(予算)
またこの場合は、KPIをROASに設定することで運用が分かりやすくなります。
上記の場合はROASが500%が目安の運用方針となります。
※ROASの計算式は「広告経由の売上÷広告費用×100(%)=ROAS」となります。
色々なパターンを紹介しましたが、予算を決める際はどちらにしろ、年間でどれだけ受注をする予定で計画しているのか、そこからどれだけの商談数が必要なのか、商談数を担保するためにリードはどれくらい必要なのかと逆算する考え方はリスティング広告だけではなくBtoBマーケティングにおいても重要な考え方となります。
リード数を獲得するためにキーワードの検索ボリュームなどを考えながら予算を割り出すことも一つ検討してみましょう。
BtoB企業のリスティング広告によるリード単価
BtoB企業において、リード単価の適性金額は知りたいところです。ここではリードの定義は「見込み顧客」のことを指します。
見込み顧客と判断する具体的なアクションとして、セミナー集客や資料請求、無料相談・問い合わせなどがあります。
それぞれによって適正金額が変わります。
サービスや商品の見積り依頼や問い合わせ
リード単価は10,000円〜100,000円が目安となります。
また受注確度が高いホットリードと呼ばれる熱い見込み顧客となります。
サービスや商品の資料請求
リード単価は10,000円〜30,000円が目安となります。
受注確度は問い合わせなどに比べると若干下がりますが、それでも商談化がしやすいリードとなります。
ウェビナー集客やホワイトペーパーのダウンロード
リード単価は3,000円〜15,000円が目安となります。
情報収集面の要素が強い、ウェビナーやホワイトペーパーからのリードに関しては商談化率もそこまで高くなくリードとしては比較的ホットではない分、リード単価は低いのが特徴となります。
また、BtoBの中でも事業やサービスによっては適正金額は変わりますので、上記はあくまで参考として頂ければと思います。
BtoB企業がリスティング広告で効果出すための運用について
リスティング広告で効果のでる運用を行うには、以下のポイントを押さえて運用しましょう。
- 獲得したいターゲットを明確にする
- 継続して運用する
- キーワードのメンテナンスを行う
- キーワード・広告文・LPの改善を繰り返す
それぞれのポイントについて、順番に解説していきます。
獲得したいターゲットを明確にする
配信を開始する前に、獲得したいターゲットを明確にすることが重要です。自社の商材に合わせ、業界や職種、役職など、獲得したいターゲットを明確にしましょう。
ターゲットを明確にすることで、配信すべきキーワードや広告文も決めやすくなります。
ターゲットを明確にする際は、以下のように現在置かれている状況や悩みなど、自社の顧客となるユーザー像をイメージしましょう。
中小企業の採用担当者で、採用業務を担当する人が足りておらず苦労している。現在はExcelや紙メインで採用管理をしている。 |
ターゲットに合わせたキーワードや広告文を選定することで、クリック率の向上が期待できます。
継続して運用する
リスティング広告で効果を出すためには、継続的な運用が欠かせません
BtoB企業は獲得までに時間がかかる傾向があるため、配信直後は効果が出ない可能性もあります。すぐに効果が出なかったとしても配信を止めず、配信手法を改善しながら継続しましょう。
たとえば、初月は確度の低いキーワードも含めて広告を配信し、翌月からコンバージョンが発生したキーワードを強化すれば、コストパフォーマンスを向上させられます。
数値や傾向に合わせて内容を改善しながら継続することで、リスティング広告の効果を高められるでしょう。
キーワードのメンテナンスを行う
リスティング広告で効果を出すためには、キーワードのメンテナンスが重要です。
配信初期は確度の低いキーワードも配信することが多いため、数値や傾向に合わせて内容を改善していきましょう。
獲得効率の良いキーワードや悪いキーワードを分類し、必要に応じて効率の悪いキーワードは配信停止や除外設定する必要があります。特に配信初期は、こまめにキーワードをチェックすることが重要です。
キーワードをメンテナンスすることで、無駄な広告費を削減し、より効果的な広告運用が可能となります。
たとえば採用管理システムの場合、以下のような考え方でキーワードを判別できます。
キーワード |
ユーザーの状況 |
「人事 スキル」 |
人事の仕事をしたい、人事としてスキルアップしたいと考えている |
「求人票 見方」 |
求人票の見方、求人票の見るポイントが分からないと考えている |
ターゲット外のユーザーや、BtoC向けと思われるキーワードは除外設定しましょう。
キーワード・広告文・LPの改善を繰り返す
リスティング広告は、キーワードだけではなく、広告文やLPも広告の効果に影響するため、3つの要素を組み合わせて改善することが必要です。
ターゲットにマッチするキーワードを登録しても、広告文の内容が合っていないとクリックされません。
また、広告がクリックされても、LPが見づらいと離脱されてしまいます。そのため、キーワード・広告文・LPの3要素を継続的に改善し、獲得効率を向上させることが重要です。
以下は、キーワードの数値を参考にLPを改善した事例です。
【改善前】
- 「採用業務 効率化」「採用業務 大変」など、悩み関連のキーワードのクリック率が高いが、コンバージョンにはつながっていない
- システムの導入によって、悩みを解決できるのかが伝わりにくいと考えられる
【改善後】
- LPの上部に「システムによってどのような悩みを解決できるのか」「システムの具体的な機能」を記載したところ、コンバージョン率が向上
LPの上部に解決策を提示することで、ユーザーは悩みを解決できることがすぐに分かり、LPから離脱せず、コンバージョンに至る割合が増加しました。
例のように、クリック率の高いキーワードから、LPに必要な要素や改善案を見つけることが可能です。
このようなポイントを押さえてリスティング広告を運用してみてください。
BtoB企業がリスティング広告を運用するメリット
BtoB企業がリスティング広告を運用するメリットは、以下のようなものが挙げられます。
- 顕在層にアプローチできる
- 確度の高いユーザーを獲得できる
- 広告費を調整しやすい
- 直ちに効果が表れる
以下ではそれぞれのメリットについて解説していきます。
顕在層にアプローチできる
リスティング広告では、顕在層にアプローチすることが可能です。
リスティング広告はキーワードを指定して配信する広告なので、対象とするキーワードで検索しているユーザーは、関連する商品やサービスに興味を持っていると考えられます。
つまり、悩みが顕在化しているユーザーに直接アプローチすることが可能です。
商品やサービス名、悩み関連のキーワードを登録することで、リスティング広告では獲得したい顕在層にアプローチできます。
たとえば、採用管理システムでリスティング広告を配信する場合、以下のようなキーワードの出稿が効果的です。
キーワード |
獲得したいユーザー |
「採用管理システム」 |
システムの導入を検討しているユーザー |
「採用業務 効率化」 |
採用業務が大変という悩みを抱えているユーザー |
「システムを導入したい」「業務を効率化したい」など、悩みを解決したいと考えているユーザーに対して、リスティング広告でアプローチできます。
確度の高いユーザーを獲得できる
リスティング広告では、確度の高いユーザーを獲得できます。
検索しているユーザーは、能動的に情報を集めているため、リスティング広告で獲得した後の商談や成約につながりやすい傾向があります。
特に、商材名や会社名のキーワードで獲得できたユーザーは、自社のことを知った上で検索しているユーザーです。そのため、悩み関連など一般ワードで獲得したユーザーよりも、さらに確度が高いと考えられます。
たとえば、採用管理システムの場合、キーワードと確度は以下のように分類できます。
確度高 |
サービス名、採用管理システム |
確度中 |
採用業務 大変、採用 効率化 |
確度低 |
求人票 作り方、人事管理システム |
「サービス名」「採用管理システム」と検索するユーザーは、採用業務に対する悩みを抱えており、自社のサービスや採用管理システムの導入を検討しているユーザーです。
そのため、悩みを抱えているだけのユーザーよりも確度が高いユーザーといえます。
広告費を調整しやすい
広告費を調整しやすい点も、リスティング広告のメリットです。
リスティング広告には最低出稿金額がなく、自社の予算に合わせて広告費を設定できます。また、現在どのくらいの広告費を消化しているのか、1クリックにどれだけの費用がかかっているかなどの情報も、管理画面で簡単に確認することが可能です。
そのため、広告費を調整しやすく、無駄な広告費の出費を抑えられます。
たとえば、以下のような状況でも、リスティング広告では調整が可能です。
- 初めての出稿なので、まずは10万円だけ配信してみる
- 業績が好調なので予算を増額する
- 月の途中から予算を減額する
- 問い合わせが増えて対応が追い付かないため、途中で配信停止する
リスティング広告は、会社の業績や広告の効果に合わせて柔軟に費用を調整できます。
BtoB企業がリスティング広告を運用するデメリット
さまざまなメリットがあるリスティング広告ですが、デメリットもあります。
以下では、BtoB企業がリスティング広告を運用するデメリットについて解説します。
BtoCより検索ボリュームが少ない
リスティング広告のデメリットとして、BtoC商材に比べて検索ボリュームが少ないという点が挙げられます。
キーワードの検索数が少ないため、BtoC商材よりもリスティング広告の配信量が伸びづらくなるでしょう。
しかし、検索数が少なくても、検索しているユーザーは商材に関心を持っています。そのため、潜在層が検索するキーワードや類似商材のキーワードを追加することで、潜在的な顧客層にもアプローチできます。
たとえば、採用管理システムの場合では、以下のようにキーワードと確度を分類できます。
確度高 |
サービス名、採用管理システム |
確度中 |
採用 効率化、採用業務 外注 |
確度低 |
求人票 作り方、人事管理システム |
確度低に分類されるキーワードは、一見すると商材とは関連がないかもしれません。しかし、潜在的な悩みを抱えていると考えられるため、自社の顧客になる可能性もあります。
BtoB企業は、潜在層が検索しそうなキーワードも追加することで配信量を伸ばせます。
検討期間が長いため獲得まで時間がかかる
BtoB商材は、決裁や契約までの検討期間が長いため、リスティング広告をクリックしてからすぐに成約につながることは稀です。そのため、広告クリック後、コンバージョンにつながらないケースが多く見られます。
コンバージョンまでの期間を短くするには、コンバージョンのハードルを下げる手法も有効的です。
たとえば、「資料請求」や「無料お試し」は、ユーザーから気軽に感じられるため、比較的短い期間でコンバージョンに到達できるでしょう。
リスティング広告と他の運用型広告の違い
リスティング広告以外にも、ディスプレイ広告やSNS広告など、運用型広告にはさまざまな種類がありますが、以下のような違いが挙げられます。
- リスティング広告:獲得に向いている広告
- ディスプレイ・SNS広告:認知度の向上に向いている広告
リスティング広告は、ユーザーが主体的に情報を集めている段階で表示されるため、獲得につながりやすい傾向があります。
一方、ディスプレイ広告やSNS広告は、WebサイトやSNSの閲覧時に表示されるため、商品やサービスの認知を目的に配信する広告です。そのため、問い合わせなど角度の高いリード獲得には向いていません。
また、ディスプレイ広告やSNS広告は、リスティング広告よりも配信量が伸びやすいという特徴もあります。イベントやセミナーの集客など、多くのユーザーに周知したい場合には、ディスプレイ広告やSNS広告が有効でしょう。
中小企業にとってのリスティング広告のメリット
リスティング広告は中小企業でBtoB事業を展開している会社にとってもメリットがあります。
①即効性が高い
他のWEB施策のDSP広告やSNS広告、SEO対策と比べても圧倒的に即効性が高いことは大手と違って体力面に不安がある中で大きなメリットとなるでしょう。
②無理のない広告運用が可能
常時、予算をコントロールができる為、その月その月に合わせた運用ができたり、スモール展開などテストマーケティングができることも中小企業にとってはメリットになるでしょう。
③ピンポイントなPRも可能
最後に自社が訴求したいサービスや、普段アクセスが伸びていないWEBサイトのページなど、ピンポイントにリスティング広告から誘導させることができる事もあちこちに予算をかけきれない中小企業にとってはメリットとなるでしょう。
以上の3点から、実際に中小企業では潤沢な予算がないや、費用に対してある程度即効性の成果を残したい、あるいは検証フェーズでのテストマーケティングや、自社認知が低いためにWEBサイトに集客ができないなどの課題を解消できるところはメリットと言えるでしょう。
リスティング広告は自社でやるべきか、代理店に任せるべきか
動画でもご紹介があった様に、メリットデメリットは様々ありますが、中小企業の場合であればリソースに限りがありますし、短期的に結果に繋げたいなどを考えると、経験が豊富な運用代行会社に依頼をする方が知見がある分メリットが大きいでしょう。
一方で、広告予算が少額だとしても手数料が発生する分、インハウスでやるよりは高くなります。また知見が溜まりにくくなるなどの一定のデメリットはあるので、最終的には自社の状況などを考慮した上で決めるほうが良いです。
リスティング広告代理店の正しい選び方については下記の記事も参考になります。
まとめ
今回はBtoB企業においてリスティング広告はどのようなメリットがあるのか、またポイントはどこかについて紹介しました。
あくまでBtoB企業においても、リスティング広告は数あるマーケティング施策においての一つとなります。
手始めにWEB広告に取り組む際は参考にしてみてください。