採用で失敗しないオウンドメディアリクルーティングの考え方
近年、注目が増している「オウンドメディアリクルーティング」。
採用活動においてどのように役に立つのか、またリスクがあるのかなどを知りたいと考えている担当者の方は多いでしょう。
今回は「オウンドメディアリクルーティング」で期待できるところと、実際に運用をするために何を考える必要があるのかなどのポイントをご紹介いたします。
本記事はこんな人の参考になります!
- 採用活動を強化したいと考えている方
- オウンドメディアリクルーティングについてメリットを知りたい方
- オウンドメディアを設計する際の考え方が分からない方
目次
オウンドメディアとリクルーティングの関係性
動画でもご紹介があった様に、採用サイトとは別にオウンドメディアを活用した採用手法が注目されています。
前提として採用サイトと何が違うのかでいきますと、大きな違いとして採用サイトは普遍的な情報(設立、従業員数、何の事業を展開しているのかなど)を掲載し、逆にオウンドメディアではアップデートされいくような情報(従業員のインタビューや普段の企業の様子などを紹介など)を掲載するイメージになります。
特に最近では、普段の企業の様子を忖度なくリアルに発信していくのがトレンドだったりします。
そうする事により、応募者からもその企業のイメージがより鮮明になり、自分と合いそうであれば選考を進めますし、合わなそうと思えば選考を進めないので、企業としては無駄な工数の削減や内定辞退の防止にもつながります。
採用オウンドメディアはリクルーティングの精度を上げ応募者とのマッチ率をあげる事により、費用対効果をよくするための有効な施策となりえます。
採用オウンドメディアで期待できること
ここからは採用サイトとは別にオウンドメディアを運用をする事により、得られる効果をご紹介させて頂きます。
ミスマッチの低減
中小企業に限らず、ミスマッチによる短期離職は多くの企業で課題となっています。
先ほどもご紹介しましたが、オウンドメディアを活用し、自社の状況(カルチャーや自社の価値観)を包み隠さず発信することにより、採用のミスマッチを防止し短期離職を食い止める事につながります。
実際にある企業では2次面接以降、ほぼほぼオウンドメディアを見ていただいているケースが多く、飲み会が多く休みはきっちりあるが、ハードワークも求められる社風がコンテンツとして発信されている為、その時点で選考に進むべきかどうかを自動でふるいに掛けれています。
ここで重要なのは悪い面も正直にオウンドメディアで発信することです。
そうする事により、最終まで進み内定オファーが出た方はほぼ承諾をいただくケースが増えるのでミスマッチがない効率が良い採用ができていると言えるでしょう。
定着率の改善
続いて、先ほどの話と繋がりますが、ミスマッチが減るので社員のエンゲージメントが高まりオンボーディングにも良い影響があります。
採用を成功をさせる為のオウンドメディアリクルーティングですが、実は社員のエンゲージメント向上にも繋がっていきます。
実際にインタビュー記事や経営陣の考え方に関する記事を掲載する事により、一緒に働く仲間の新しい一面を知ったり、会社の考え方を深める良いきっかけとなります。
また入ったばかりの社員にインタビュー記事を作成すると、より入社前と入社後について新鮮な印象を発信する事ができ、入社したての社員も企業への共感や愛着を高めるきっかけへと繋がるでしょう。
採用コストの影響
採用オウンドメディアを通じて母集団形成ができれば、他の採用チャネル全体にとってもコストを下げることが可能です。
但し、オウンドメディアリクルーティングを短期で見るのはNGになります。
あくまで中長期に掛けて取り組むべき施策であるため、運用を始めてすぐにコスト削減につながるという期待はやめましょう。
また単純な費用面の話だけではなく、候補者の方に自社理解を深めて選考を進めていくため、無駄な面接が減ります。
その為、面接官含めた経営陣の採用工数も減るので結果としてコストパフォーマンスが高くなるでしょう。
ナーチャリングが可能(潜在層へのアプローチ)
潜在層へアプローチできることもオウンドメディアリクルーティングの大きなメリットの一つです。
現在は終身雇用制の価値観も薄れ転職をするのが当たり前。優秀な人材を獲得する為にも中長期にアプローチをすることが重要です。
採用オウンドメディアでは、発信した記事が届くのは顕在層に限らず、転職潜在層の方にも関心を持ってもらう事が可能です。
その方々に想起してもらえるポジションに入っておけば、いざ転職をする際に最初に思い出してもらい、エントリーへと繋げる事ができます。
採用ブランディングに活きてくる
最後に、採用オウンドメディアを活用したリクルーティングは、採用力強化に期待できます。
採用オウンドメディアのコンテンツ作成や効果検証は、候補者のインサイトを理解する事にもなり、自社の採用力を高めることにも繋がります。
ブラッシュアップされていくコンテンツは採用ブランディングにも繋がり、自社にとって大きなメリットとなるでしょう。
また、採用オウンドメディアに必要なコンテンツ作成を進めるうちに、会社の強みの再発見や経営層の考え方に対する理解がより社員のなか一層深まります。
自社を深く理解し、経営層の価値観への高い解像度を持った社員が面接に対応することは、候補者に対しても自社のブランディングになりますし、明確な企業の情報を伝えることは採用力の強化にもなるでしょう。
採用オウンドメディアの作り方、運用のポイント
動画でも紹介しているように、オウンドメディアを活用したリクルーティングをスタートさせる前に7つのステップで整理していきましょう。
①目的を整理しておく
②コンセプトを決める
③カスタマージャーニーマップを作成をする
④キーワードの設定をする
⑤サイト全体のグランドデザインをする
⑥記事作成
⑦他のツール(SNSやメルマガ)と連携をして認知を上げる
今回は採用オウンドメディアによるリクルーティングですが、①と②もサイトを構築していく為には重要です。また③④⑤は運用をスムーズにさせるために必要な要素となります。
上記を踏まえた上で特に3つの項目に分解してご紹介をします。
目的とペルソナの明確化はしっかり行う
まずは、大前提として目的を決めていきましょう。
もちろん、優秀な人材を採用する事が目的ではありますが、その為にオウンドメディアをどういう立ち位置で運用するかを設定しましょう。
採用者数の増加なのか、採用コストの削減なのか、候補者に企業のカルチャー理解度を促進させるなど、目的と優先順位をきっちり決めることが重要です。
例えば、成功している事例で挙げられるメルカリのオウンドメディア「メルカン」ではゴールを応募数増加には置いていません。
その為、当然PV数も追っておらず、候補者が面接にきた際の「メルカン」の認知率が100%になるかどうかだけに目的を絞って運用しています。
その結果、面接の段階で会社の理解が深まり、採用の失敗が少なく定着率に良い影響を及ぼしています。
目的が決まれば、ペルソナの設定をしていきましょう。
どういった候補者が自社が求める人材なのか、しっかりと棚卸しをし、候補者が求める情報に繋げていきましょう。
オウンドメディア運営の目的については下記の記事も参考になります。
情報の更新頻度と仕組み作り、コンテンツの作成は外注へ依頼
続いて、オウンドメディアの骨子が出来上がったら実際に運用するための体制を整えましょう。
基本は自社リソースでやるか外注して運用するかの2択となります。
記事は3日に1つ、最低でも週に1つは更新するのが理想です。リソース不足が多い中小企業の場合は外注に依頼するのをおすすめします。
また外注する際は、どこまで依頼するかを考えておきましょう。
例えば、企業がある程度グランドデザインを引いた上で、記事作成の部分だけをライターに外注する場合、自社がどういった目的で採用オウンドメディアを活用するかを整理しつつ、その後の分析、改善は自社でやる必要が出てきます。
一方、オウンドメディアを通じた採用に不安がある場合は、コンセプト設計から含めてプロにコンサルティングを依頼し、採用オウンドメディア構築から依頼しましょう。
また採用オウンドメディアよりよくするためにはWEBマーケティングの知見などが必要になっていきます。
その辺りも踏まえた上で自社に合う、成功確率が高い外注先を選択しましょう。
オウンドメディア構築のおすすめパートナー会社については下記の記事も参考になります。
具体的なコンテンツ案としては、以下のようなイメージになります。
⑴社員へのインタビュー
複業を支援するAnother works社では、社員インタビューのコンテンツを展開し、社員に自社に入社するまでの経緯や入社して感じていること、現在の業務にどんな想いで取り組んでいるのかなどを聞いて記事にしています。
それぞれの従業員のバックグランドを知れたり、一日の仕事のイメージや、活躍している社員のマッチ度などが確認できます。
また、1on1のインタビューもよいですが、対談形式や座談会として複数人で話してもらうと、よりリアルな声や風土・文化を伝えやすかったりします。
⑵代表や経営層の考え方を発信する
同じく、Another worksでは代表が自ら企業の価値観や大事にしていることを語ってもらうコンテンツを作っています。
またYouTubeなどを利用し、動画インタビュー形式で発信しています。
上記のような、会社を設立した背景や事業に対する想い、目指す方向性といった会社の根幹に関わるものは用意しておきたい記事の一つです。
この他にも、例えば、ナイル社が手掛けている、採用オウンドメディアでは、区切りの決算時期や年始のタイミングでIRに近いような今後の展望に関する記事「ナイルの2022年もいろいろあった!10大ニュースまとめました | NYLE ARROWS」を出しています。
中長期的なプランなどの経営層のコンテンツを定期的に出すことは、候補者に対して会社理解を促進するコンテンツとして有効です。
⑶社内制度や福利厚生について
社内制度や福利厚生などを発信することで、自社の社員に対する会社の文化を伝えることができます。
制度や福利厚生をただ記載するのではなく、それぞれなぜこの制度があるのか、どんな狙いでこんな制度にしているのかといった背景の部分を掘り下げて発信していきましょう。
また、社内イベントがあった際は、記事にできそうであれば、イベントの様子を記事にするのもおすすめです。写真やエピソードを盛り込むことで、実際の社内の雰囲気を伝えることができます。
⑷チームや各プロダクトやサービスについて
『NewsPicks』などのサービスを展開するユーザベースでは、社員インタビュー以外にもチーム事情や職種(自社のプロダクト・サービス)について記事化して発信しいます。
そう言った自社のプロダクトやサービスを発信することは、候補者が関わることを誇りに感じたり仕事に対しての充実感にも繋がります。
特にプロダクト作りに関わるエンジニアや事業サイドのマーケター、サービスを広める役割を担う営業が重視する傾向があります。
自社製品に込められた想いやそれを通じて実現したい世界などを、関係各所に話してもらいましょう。
メディアを見てもらう為の工夫など
最後にオウンドメディアの運用がスタートしたら、候補者の方を集客していく必要があります。
その為に内部施策のペルソナに紐づいたキーワード設計のコンテンツ作成と、外部施策の自社のSNSやその他のWEBページなどの連携を意識していきましょう。
作成したコンテンツを自社アカウントや、場合によっては従業員のSNSに協力してもらいながら拡散することは地味で大変ですが、有効な手段となります。
大前提ですが採用サイトやコーポレートサイトも連携の意識をする必要があります。
候補者の方はオウンドメディアだけではなくコーポレートサイトなども見ます。
その際に導線をしっかり活かしていかないともったいないです。
またディスプレイ広告やindeed広告などの展開も有効な手段となります。
広告なので費用は発生しますが、検索結果に表示される機会が多くなるため、候補者の方に認知してもらいやすくなるでしょう。
まとめ
今回は採用オウンドメディアの活用でリクルーティングを強化する方法について紹介しました。
採用オウンドメディアの歴史はまだ浅いですが、昨今の売り手市場と採用のコストの高騰と採用難を考えると今後はより重要性を増してくるでしょう。
実際に紹介した通りメリットは多いですが、一方で短期的に成果を求めるというより、中長期的な成果を意識して運用しないと失敗する可能性もありますので、十分に理解した上で取り組みをおすすめします。