YouTubeマーケティングと相性がいい企業とそうでない企業
今や動画プラットフォームとして圧倒的人気を博しているYouTube。
企業のマーケティング施策としても益々注目が集まっています。
今回は「YouTubeマーケティング」において特に注目されている企業のYouTubeチャンネル運用について、どういった活用方法があるのか、予算はどれだけ必要なのか、成功のポイントなどをご紹介します。
本記事はこんな方の参考になります。
- YouTubeマーケティングを検討されている企業の担当者
- YouTubeをどう活用したら良いのかを知りたい方
- 企業がYouTubeマーケティングを成功させるには何が必要かを把握したい方
目次
YouTubeマーケティングを企業はやるべきなのか?
若者のテレビ離れが進む中、2021年ついにインターネット広告費の金額がマス広告(テレビ・新聞・ラジオ・雑誌)を上回りました。
その中で動画広告市場は大きく伸長し、YouTubeはまさにど真ん中のプラットフォームになりつつあります。
そんな注目のYouTubeですが、どんな企業でもYouTubeマーケティングをやるべきかと言うと、やはり相性もあるかと思います。
ここではYouTubeマーケティングを企業がやるべきかどうかを相性がいい企業とそうでない企業、YouTubeマーケティングの特徴や費用感からご検討の参考にしていただければと思います。
相性がいい企業とそうでない企業
動画でも紹介があったように、結論、BtoC企業に関しては相性が良く、今すぐにでも動画活用の一環としてYouTubeマーケティングに取り組むと良いと思います。
では、一方でBtoB企業はYouTubeマーケティングと相性が悪いのでやらない方がいいかと言うとそういう訳ではありません。
あくまで、優先順位の話になります。
まず前提として、YouTubeマーケティングはリソースを大きく確保しないと継続的な取り組みが難しいでしょう。
その中で、BtoB企業が自社のサービスや商品を訴求したところで、すぐに購買に結びつくかというとBtoC企業と比べると購買にはすぐに結びつかない可能性があります。
またYouTubeのプラットフォームの特性上、エンタメコンテンツを求められている傾向が強いのも大きいでしょう。
上記を踏まえると、BtoB企業がYouTubeマーケティングを始めるには、その前にWebサイトの見直し、資料のブラッシュアップ、名刺管理の構築、テレアポやウェビナーなど他の施策からスタートすべきだと考えられます。
つまり、セールスの仕組みが既に整っていて、YouTubeの特性を理解した上でマーケティングの戦略上、必要な施策であれば進めても良いかと思います。
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いや、BtoBマーケティングの戦略や手法に関してはこちらの記事も参考になります。
関連記事:BtoBマーケティングの戦略とは?!検討すべき3つのポイント
YouTubeマーケティングの3つの特徴
YouTubeマーケティングの大きな特徴を3つ紹介します。
①認知拡大に効果的である
日本国内だけでもYouTubeの月間利用者数は、約6,500万人(2020年9月)を超えています。
これは比較される各種プラットフォームの中ではLINEに次ぐ利用者数を誇っています。
参照:月間 6,500万ユーザーを超えたYouTube、2020年の国内利用実態─テレビでの利用も2倍に – Think with Google
また下記データでもテレビに匹敵するくらい視聴されているというデータもあり、まさに多くのユーザーにリーチができるメディアと考えられます。
引用元:“コロナ禍後に行う機会が増えたこと” シニアは「地上波テレビ視聴」若年層は「YouTube」|NTTドコモ モバイル社会研究所
②マス広告よりもコストを抑えられる
YouTubeチャンネルを開設することは無料でできるため、マス広告と比較すると予算を抑えて運用することができます。
動画制作のコストはかかるものの、テレビ広告や別途メディア費用のかかる動画広告などと比べると費用を抑えて運用することが可能です。
③コンテンツとして残るので、長期的な効果も狙える
YouTubeマーケティングでは、制作した動画を自社のチャンネルにアップした後、動画がアーカイブされていきます。
それらは、顧客が商品・サービスを検索した際にリーチを可能とし、検討材料として効果的です。
また潜在顧客をナーチャリングする上でも有効となるでしょう。
YouTubeマーケティングに係る費用
YouTubeマーケティングでチャンネル運用をしていくには、当然費用が発生します。
費用については、チャンネル運用を自社で行うか、支援会社に依頼をするかで大きく変わってきます。
自社運用の場合
自社でリソースが確保できている場合は、制作費用を人件費内で抑えることができます。
その他に必要なのは機材や編集ソフトなどの購入費用です。
自社運用の場合は以下の動画も参考になります。
外注する場合
一方で、支援会社に外注する場合は、継続的な費用を確保する必要がでてきます。
費用に関しては、制作会社や依頼内容によって異なりますが、全て(企画、撮影編集、分析など)依頼して月に4本くらい動画を上げる場合ですと、80万円〜100万ほどは予算として考えておいた方がいいでしょう。
費用は発生しますが、支援会社に依頼するメリットとしては、大きく2点あります。
1つ目は、動画制作の事例があるため、実績などのノウハウから自社にあった勝ち筋を見つけてもらえる可能性があります。
また、企画案や動画のクオリティも担保ができるでしょう。
2つ目は、YouTubeマーケティングの運用を任せるので、専門家にPDCAを回してもらえます。
実施施策の結果をレポーティングし、分析からの改善点を洗い出して新たな施策に取り組むことができるので、有効なYouTubeマーケティング施策を回すことが可能です。
結論、自社リソースがなければ当然、支援会社に依頼をしないといけませんが、自社でリソース確保ができたとしても、YouTubeや動画マーケティングに知見がないと運用が難しい場合があります。
初めてYouTubeマーケティングを行う場合は支援会社に依頼することを検討しても良いでしょう。
企業がやるYouTubeマーケティングの事例
ここからはYouTubeマーケティングを運用されている企業の事例をご紹介します。
活用事例について
株式会社タイムマシンがチャンネル運営する「イヤホン・ヘッドホン専門店 eイヤホン」は多種多様のイヤホンやヘッドホンを聴き比べて選べるイヤホン専門店のアカウントです。
特徴としては、販売しているイヤホンの特徴を初心者にも分かりやすいようにスタッフさんが解説していて、新商品や商品の比較レビューをテンポ良く紹介しています。
実際に、商品ページや数字だけでは伝わりにくいイヤホンの特徴や違いを紹介することにより、ユーザーの育成やお店のファン獲得へと醸成ができている良い事例です。
アパレル会社の株式会社ビー・アール・ティーが運営する、「B.R.CHANNEL Fashion College」は自社のECサイトに送客するためにYouTubeチャンネルを活用しています。
特徴としては、有名編集長などを起用し、ジャンルに特化したコンテンツを配信しています。
発言力がある人たちを起用することにより、ブランディングへと繋がっています。
また影響力がある人が発信することにより、「この人が言っているなら良いものなのだろう」というイメージを持ちやすくなるため、購買やサイトへの遷移などにもつながりやすくなります。
実際に紹介した高価格帯の商品が販売につながっている良い事例です。
YouTubeマーケティング成功の3つポイント
ここでは、YouTubeマーケティングを企業が成功させるポイントを3つ紹介します。
目的を明確にする
YouTubeマーケティングを進める上で企業の目的(ゴール)を明確にすることが重要です。
一般的にYouTubeマーケティングをどういった目的で行うのかは大きく2つあります。
①認知拡大・ブランディング
認知拡大やブランディングが目的であれば、開設したチャンネルにてブランドイメージがアップするような話題性のある動画で顧客とコミュニケーションを取るのも1つの方法です。
また、YouTuberやタレントとコラボレーションしてPR動画を制作し展開するのもいいでしょう。
どちらにしても長期的に取り組むことで、認知、ブランディングは向上しやすいでしょう。
例えば、不動産投資業界や金融会社、または老舗グッズメーカーなどの場合、知識がある社員や名物スタッフ、あるいは専門性があるYouTuberに出演してもらい、伝統的なこだわりや豆知識、または奥深い情報を発信することで、企業のイメージUPに繋げる方法があります。
②購買or購買プロセスとしてナーチャリング施策
購買や販促アプローチが目的の場合は、サービス商品動画を軸に同じくハウツー動画で商品やサービスの使い方を訴求し、購入を検討しているユーザーに理解を深めてもらいましょう。
また、動画の概要欄などにリンクを貼ることで購買へ促すことも重要です。
例えば、クリニック系や塾・予備校系の業界であれば、キーワード選定からターゲットとなるユーザー層に実際の施術の様子や塾で教える勉強法・参考書の選び方(お役立ちコンテンツ)などをピンポイントに訴求して、無料相談フォームやLINEアカウントなどと連携しながら顧客育成や契約などに展開できます。
総じて、企業ごとで課題感は異なるので、目的もさまざまになるでしょう。
YouTubeマーケティングは中長期的に取り組む必要性があります。
そのためにも目的を明確化してYouTubeマーケティングの立ち位置を決めることが成功には不可欠となります。
HHH戦略について
続いて、YouTubeマーケティングを効果的にする考え方として、Googleが提唱している「HHH戦略(スリーエイチ)」を紹介します。
HHH戦略とは、それぞれの頭文字を取った戦略です。
①HERO動画
役割としては多くの人(潜在顧客)にリーチすることが目的のコンテンツです。
リーチを大きくするには、たくさんの人にいいねやシェアをしてもらい、俗に言うバズらせることが重要です。
人を動かすためには、「面白い・感動・かわいい」など、ユーザーに共感してもらうことが必要です。
例えば、玩具メーカーが提供しているHEROコンテンツでは、新商品の紹介などがメインです。
その中でただ紹介するだけではなく、キャラクターをうまく活用しながら各サービスや製品に合わせた紹介をし、子どもの共感を誘います。
また話題性を醸成するため人気YouTuberやタレント起用をしたPR動画での発信や繋がりを訴求できるLIVE動画配信、そしてイベント企画をした動画配信なども有効的に活用する例もあります。
②HUB動画
HUB動画の役割は、抽象度が高いHEROコンテンツでリーチを取り、興味を持ってもらったユーザーに対してより具体性(商品の特徴やメリットなど)がある動画で積極的アプローチをするプッシュ型コンテンツです。
例えば、化粧水メーカーの場合、商品を使うことによってパフォーマンスがどう変わったのかをさまざまな背景で活躍するモデルが語るシーンを短編化しシリーズ動画を展開しています。
また、さまざまなテーマを元に具体的に商品を掘り下げたレビュー動画なども展開しています。
総じて、上記を定期的に配信して、継続的に顕在顧客との関係を強固に構築していくことが重要です。
③HELP動画
HELP動画は、ユーザーの検索意図に対して応えるプル型コンテンツです。
例えば、韓国コスメの企業などでは、各化粧品のライン使いについて紹介しています。
ユーザーはどの様に組み合わせれば良いのかわからないこともあります。
ハウツー動画(商品の使い方)にて詳しく説明したり、ユーザーのQ&Aに回答するお役立ち動画などのコンテンツを提供することでユーザーにチャレンジしてみようと思わせることができます。
また専門性あるタレントやインフルエンサーなどにサービスの使い方や特徴を紹介してもらうことで客観的なコンテンツとして信頼度も高まるでしょう。
どちらにしても、上記のようなお役立ち動画を投稿するためには、普段から自社のサービスや商品の検索ニーズや、サジェストキーワードなど分析することが重要です。
HHH戦略において重要なのは、それぞれの特性を踏まえた動画を作成し、最適なタイミングで発信し続けることが大切です。
他のメディアとの連携
YouTubeチャンネル運用を成功させるには、YouTube上だけ完結をするのではなく、他のプラットフォームも有効活用しましょう。
例えば、自社のホームページやSNSアカウント、サービスページ(商品)などです。
それらの他媒体からYouTubeチャンネルのリンクを貼ったり、商品などにQRコードを入れるなどで、チャンネルへの流入が見込めます。
集客を最大化するためにも他媒体とYouTubeをリンクしましょう。
また、HELP動画などで解説しているサービス商品を、ユーザーがそのまま購入できるように、概要欄にランディングページ(購入ページ)を記載しておくなども重要です。
まとめ
YouTubeマーケティングと相性が良いBtoC企業はすぐにでも取り組むことをおすすめします。
BtoB企業についても、決して相性が悪い訳ではなくあくまで優先順位の問題であるため、マーケティングの戦略上、必要な施策であれば取り組むと良いでしょう。
また、YouTubeマーケティングに企業が取り組むことに関しては、企業のターゲットとする顧客によって検討した方がいいでしょう。
どちらにしても重要なのは、企業がどういう目的で、どの立ち位置でYouTubeマーケティングを行うのかを明確にすることです。
その上で自社で取り組むかどうかを考えていきましょう。