BtoBマーケティングの戦略とは?!検討すべき3つのポイント
近年、あらゆる商品・サービスの情報が検索でき、比較検討が容易になったため、BtoB企業でも営業だけではなくマーケティングに力を入れている企業が増えてきています。
BtoBマーケティングと一言で言っても、CMやWEB広告、MAなどのツールの活用など様々な手法が多岐に渡って存在します。
そういった手法を積極的に活用することは大事ですが、大前提としてまずはBtoBマーケティングの戦略を立てることが最重要となります。
今回は、BtoB企業のマーケティング戦略をどう進めていけばよいのか、そして進めるに当たりどのようなリソース・ノウハウが必要になるか、を軸にご紹介させていただきます。
本記事はこんな人の参考になります!
- BtoBマーケティングに力を入れていきたい
- どのようなリソースが必要でどのような役割が必要かがわからない
- どんな風にマーケティング戦略を組み立てていけばよいかわからない
目次
BtoBマーケティングとは?
BtoBとは“Business to Business”の略称です。マーケティングとは様々な定義がありますが、ここでは商品・サービスを販売するための仕組み作りとさせていただきます。
つまり、BtoBマーケティングとは、企業間取引において自社のサービス・商品を販売していく最適な仕組み作りと言えます。
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違い
BtoCマーケティングとは、“Business to Consumer”の略称になりますので、企業ではなく個人に向けて商品・サービスのマーケティングを展開している事になります。
BtoBとBtoCの違いはいくつかありますが、重要なのは、BtoBマーケティングはBtoCマーケティングと比べ、購入までの意思決定者が複数に渡ったり、検討担当と意思決定者が違うことが多く、検討フローが長いという事です。また顧客が目指す最終的なゴールは売上拡大となります。
そのため、BtoBマーケティングの戦略では、まず意思決定者の検討対象となるための認知施策や、比較検討をしてもらうためのコンテンツ制作の人的リソースが必要となります。
また複数の人間に承認してもらうため費用対効果の提示やロジカルな説明が必要となるので、例えば事例集などをまとめてホワイトペーパー制作をしたり、MA(マーケティングオートメーション)などを運用して検討プロセスに合ったタッチポイントを創出するなどの人的リソースが重要となります。
BtoBマーケティングの基本的な流れ
BtoBマーケティングの全体イメージ例
BtoBマーケティングは、オフラインからオンラインの様々な施策を活用し、CV(コンバージョン)であるリード獲得・契約受注を目的として動いていきます。
※リード=見込み顧客
図で見ると、展示会やカンファレンスなどのオフライン施策やデジタル広告などのオンライン施策がありますが、最終的にCVをリード獲得または受注獲得のどちらにするかによって、何をすべきかの考え方も変わってきます。
また、BtoBの場合は図の通り営業が介在するため、リード獲得から受注へと段階的なプロセスで進んでいきます。
基本的に、BtoBマーケティングは、最終受注獲得のタイミングで営業サイドに移行します。そのため、営業工程を踏まえた戦略と施策立案、そして営業と連携をはかる事が重要になりますので、リソースとして、営業スキルとマーケティングスキルを併せ持った人材がいれば理想的です。
BtoBマーケティング戦略を立てる際に検討すべき3つのポイント
実際の施策にばかり目が行きがちですが、その前にきちんと戦略を組み立てることが重要です。そのため事前の現状分析を含め、検討しておきたい3つのポイントがあります。
⑴予算設定
BtoBマーケティングを始めるなら、予算策定をしなければなりません。そのために目的と課題をはっきりさせることが大切です。
当たり前のことですが、企業の現状とゴールを明確にすることにより、課題が浮き彫りになります。その際に注意したいのは「リード数(問い合わせ)を増やしたい」などの表層面を課題と設定せずに、そこからさらに目的を深堀りすることが大事です。
マーケティングの目的や自社の課題を見誤ることなく、目的を明確化する必要があります。
目的の明確化ができれば、マーケティング施策が固まるので、予算の設定が可能となります。
時として課題設定の優先順位の判断が難しい場合もあります。そうした場合、施策の予算が部署のどのリソースに紐づいているのかを考慮して、予算決めの判断をしていきましょう。
また、営業体制をセットで分析する事が、マーケティング課題を深堀りするためにも重要になってきます。前述の通り、マーケティング施策は営業フェーズと密接に関わっています。
BtoBにおいては営業の状況が可視化されていないと、過剰なリードを集めてしまい、営業チームが捌ききれない事態になったり、営業ニーズとずれたリードが集まったりとミスマッチが起きて、結果リソース不足に陥ることがありますので注意しましょう。
⑵足りていない「リソース」と「ノウハウ」を把握する
上記で目的が明確化されたら、マーケティングのための人材リソースやノウハウ、役割を確認しましょう。
ノウハウ不足の判断は難しいですが、リソースについてはしっかり把握しましょう。
BtoBマーケティングの施策は、オフラインからオンラインまで、幅広いコンテンツ制作が求められます。コンテンツごとにスキルセットは異なるため、新たなコンテンツを作れる人材が足りていないことは往々にあります。
リソースを充足させるためにも、後述する手法とマーケターの属性を参考に、足りていない人材リソースを確保しましょう。
⑶商材に合わせてリソースを確保する
BtoBマーケティングは、施策が非常に多く、また商材によってマーケティングがカバーする領域が異なったりします。
自社の商品・サービスの特徴や受注パターンにあわせてリソースを確保しましょう。
例えば、SaaS商材とコンサルティング商材では、以下のような違いが見られます。
【SaaS商材の場合】
よくあるSaaS商材では、まず無料登録者を増やし、そこから顧客をアップセル(有料会員に引き上げる)する販売戦略が重要になります。そのためにMA(マーケティングオートメーション)の運用やホワイトペーパーなどのコンテンツ制作を実施するなどします。
また時として、商品の販売代理店などをアサイン、ディレクションする方が売り上げが伸びる場合もあります。(例、 freeeやマネーフォワードにおける税理士事務所などへの販売代行)
有料会員となる見込み顧客を、マーケティングでどれだけ集められるかを重要視して判断するのが良いでしょう。
MAなどの運用経験があるリソースを確保するという手もありますが、販売代理店の開拓や提携したパートナー会社のディクション能力を手に入れるという方法も検討する価値があります。
【コンサルなどのオーダーメイドが必要な商品・サービスの場合】
この場合は、SaaS系と比べるとリード獲得の難易度が上がります。
営業フェーズも大事になってくるため、リード獲得は量より質を意識する事が重要になります。
また受注期間が長いケースがあるため、コンテンツマーケティングやMA運用やナーチャリングにも比重を置く必要も出てきます。
総じて、このケースではコンテンツ管理やMAの設計と運用が可能なリソースがあると良いでしょう。
手法から見える必要なノウハウとリソース
上記のポイントから自社の方向性が定まってきたら、マーケティング施策を選定していきましょう。
ここでは手法に沿って必要なノウハウとリソースを紹介させていただきます。
リード獲得と育成のための手法
BtoBとBtoCでWebマーケティングの違い。最も大きな違いはこれ!
冒頭でお伝えさせていただいた通り、意思決定者が複数に渡るケースがあるため、WEBマーケティングにおいては、動画でもご紹介させていただいている様な、社内稟議を通すための、材料や資料をWEB上に用意することがリード獲得や育成(ナーチャリング)に繋がる施策となります。
例えば、図にあるようなメディアリレーション、コンテンツマーケティングやホワイトペーパー、メールマーケティングなども、リード獲得や育成施策に繋がる有効な手法です。
戦略構築から総合的に立案可能なリソース
まず最初に確保したいのは、リード獲得の施策から営業フェーズまで全体を管理することのできる人材です。
上記の図全体を網羅できるスキルの高い人材で、企業によってはCMO的なポジションに該当するでしょう。
BtoBマーケティングは営業との連携が必要なので、全体設計をする上でも営業スキルや事業の解像度を常に高く持っていることなどが大事になります。
このような人材がいれば、全体設計と戦略は組み立てやすくなるでしょう。
ただし、そのような人材であっても万能ではなく、とりわけコンテンツ制作については、手法を全てカバーできるとは限らないため注意が必要です。
各施策面を推進するリソース
こちらは当たり前ですが、施策を推進するためにその施策に沿った専門のリソースが必要です。
施策にもよりますが、確保しやすい人材リソースにはなります。
例えば、デジタル広告(リスティング・ディスプレイ広告・SNS広告)などの経験のある人材は、フリーランスの場合も多く、またデジタルエージェンシーなどの外注も活用しやすいリソースになります。
ただ、注意いただきたいのは、広告運用だけでも一つの専門的なスキルになりますので、施策全てを網羅できる人材は稀です。
そのため、各施策ごとにプロフェッショナルの人材を配置できるのが理想的です。
コンテンツ管理のリソース
こちらは、SEO、LPO、SNS、ホワイトペーパーなど、コンテンツ制作スキルに長けたノウハウが必要です。制作するだけでなく、必要とされるコンテンツを企画・設計できるディレクション能力があると、非常にスムーズなマーケティング運用が可能となります。
先ほど上でご紹介しました人材リソースの、コンテンツディレクションを担当する役割のイメージになります。
スキル的には施策の原理原則を理解している必要があるので、事業会社ないしコンサル会社や代理店などで、様々なマーケティング施策をディレクションしてきた豊富な経験があれば理想でしょう。
極端に言えば、この人材リソースを確保できれば、施策を実行する人材に関しては、場合によってはクラウドソーシングなどのサービスを活用して安価に動かしても、施策の運用が可能になるでしょう。
営業支援・管理のリソース
何度かお伝えしておりますが、BtoBマーケティングの施策には、営業との連携がとても重要です。上記の図で言うと、点線に含まれていない「アップセル営業」「受注」を網羅できるリソースを指します。
上記の様な人材がいれば、マーケティングの成果を営業へスムーズに受け渡すために、リードのクオリティ管理やフローの改善、チームビルディングなどが実現しやすいでしょう。
そのためには営業フェーズに関連するスキルや能力を持っているかどうかが重要なポイントとなります。
また、社内において充分なコミュニケーション力があり、プロジェクトを複数人で動かした経験があるとなおよいでしょう。
BtoBマーケティングを進めるために、住み分けに応じたリソースを確保する
足りていないリソースを把握したら、社内社外含めリソースの拡充をしていきましょう。
もし、社内にいない場合は新規の採用もそうですが、コンサルや代理店などのパートナー会社を活用したり、あるいは業務委託のような外部人材を活用することで補っていきましょう。
BtoBマーケティングの戦略立案、施策の選定、そしてリソース確保と、ステップに沿って進めていきましょう。
まとめ
BtoB企業において、マーケティングはますます重要になってきています。
実際の運用にあたっては、施策に目が向きがちですが、自社のボトルネックを見極め、必要なリソースを把握し、自社の商品・サービスにあったBtoBマーケティングの戦略を組み立てる事が何よりも大事です。
足りないノウハウやリソースに関しては、自社内にこだわらず、コンサルや代理店、業務委託など様々な外部との連携も選択肢として検討してみる事をお勧めいたします。