GA4エンゲージメントの理解|2基準&規則性を知って10分でマスター
エンゲージメントについて理解したいと思っていても、GA4の指標にはエンゲージメントの付く指標や用語がいっぱいあって、頭の整理がしづらいとお考えではありませんか。
結論から言うと、エンゲージメントの指標には規則性があり、用語もuser_engagementの仕組みとエンゲージのあったセッションの定義を押さえれば、きれいに整理できます。
この記事を読めば、エンゲージメントとは何かがわかり、他人にわかりやすく説明したり、分析スキルを向上したりできます。
最初は、エンゲージメントの概要と全体像の説明をします。次に、user_engagementの仕組みとエンゲージのあったセッションの定義などの役割を詳しく解説して、最後に、関連指標の規則性と意味について説明します。
この記事を読んで、サイトに対するユーザーの関心の深さを可視化し、自社サイトを成長させましょう。
※GA4の正式表記だと理解しづらい指標名については、「すみつきかっこ」【】内に補完した表現を付け加えています。
目次
GA4エンゲージメントの概要
エンゲージメントとは、「ユーザーが関心を示してくれた」という意味です。
しかし、「ユーザーの関心」という人間の心の動きをGA4分析で使えるようにするためには、指標(数字)の形に変換する必要があります。
ここでは、エンゲージメントの概念と全体像、指標の形に変換するための基準について解説します
エンゲージメントとは:ユーザーの操作から推測する関心の深さ
エンゲージメントとは、ユーザーがサイトで行うクリックやスクロールなどの操作に紐づくデータから、サイトに対する関心の深さを推測することです。
そして、エンゲージメントの概念は、人間の心の動きを指標に変換する基準である「時間基準」と「セッション基準」という2つに分類できます。
「時間基準」に分類される指標は分子が必ず「合計時間」となり、「セッション基準」に分類される指標は分子が必ず「エンゲージのあったセッション」です。
そのため、「時間基準」の指標を理解するには、時間を計測するuser_engagementイベントについて知る必要があります。
同様に、「セッション基準」の指標を理解するには、「エンゲージのあったセッション」の定義について知る必要があります。
「時間基準」:user_engagementイベントとは
user_engagementイベントは、時間を計測する際に自動で発生するイベントです。
ユーザーがブラウザでページを最前面に表示していた時間(フォーカスを当てていた時間)を取得します。
時間計測の仕組み
ユーザーが、新しいページ閲覧を開始すると時間の記録が開始されます。ページから離れる(タブやウィンドウを閉じる、別の画面またはページに移動する)などのタイミングで記録が停止します。
測定結果は記録が停止するたびにuser_engagementイベントに送られて保存される仕組みです。
例えば、あるユーザーが自社Aページ(アクセスから60秒後に離れた)→別サイトBのタブへ移動→自社Aページのタブに戻った(再アクセスから20秒後に離れた)という行動を考えてみます。
- ・Aページのuser_engagementイベントに図(1)の時間「60秒」が保存されます
- ・Aページのuser_engagementイベントに図(3)の時間「20秒」が保存されます
それぞれ個別に保存されたデータを足し算したものが、ユーザーエンゲージメント【合計時間】の指標の値になります。
つまり、Aページの「ユーザーエンゲージメント【合計時間】」=60秒+20秒=80秒です。
user_engagementイベントの「時間」とユーザーエンゲージメント【合計時間】の違い
user_engagementイベントは、イベント単位で時間を取得する仕組みなので、個々のイベントの時間です。
一方、ユーザーエンゲージメント【合計時間】は、user_engagementイベントに保存された個々の時間データ全てを足し算した合計です。
「セッション基準」:エンゲージのあったセッションとは
エンゲージのあったセッションは、グーグルが定義した条件のいずれかを満たすセッションです
定義
次のいずれかの条件を満たすセッションです。
- ・10 秒以上続いたセッション
- ・コンバージョンイベントが1回以上発生したセッション
- ・ページビューが2回以上発生したセッション
(出典:アナリティクスヘルプ)
優れた点
エンゲージのあったセッションは、単なるセッションではなく、ユーザーがサイトに対して積極的な関心を示したセッションです。
そのため、アクセスしたユーザーのサイト内での行動の質を評価できる点で優れています。
また、エンゲージのあったセッションを定義することで、逆数の関係となる「エンゲージの無かったセッション」も特定できます。
10秒未満だった関心の低いページの特定や、別のページ(2ページ目)にユーザーを誘導できなかったページの特定ができるため、ページの魅力度を評価できる点で優れています。
GA4「時間基準」のエンゲージメント関連指標3つ
「時間基準」に分類される3つの指標について解説します。
「時間基準」に分類される指標は分子が必ず、ユーザーエンゲージメント【合計時間】になります。
それに対する分母は、
- 無し
- アクティブ ユーザーの合計数
- セッションの合計数
の3パターンという規則性があります。
「時間基準」の指標:ユーザーエンゲージメント【合計時間】
1つ目は、ページがフォアグラウンド表示されている状態で、全ユーザーがWebサイトを実際に使用していた合計時間を教えてくれる指標です。
この指標は「時間基準」のベースとなる指標です。その他2つの指標を算出する際に必ず、分子で使います。
算出方法(仕組み)
user_engagementイベントで取得して保存している全ての時間データを加算した合計値です。
「時間基準」の指標:平均エンゲージメント時間【1ユーザーあたり】
2つ目は、ページがフォアグラウンド表示されている状態で、Webサイトを実際に使用していた1ユーザーあたりの時間を教えてくれる指標です。
1人1人のユーザーが、どれだけの時間サイトに関与していたかを評価する目的で使います。
例えば、ブログ記事や製品ページなど、特定のコンテンツがユーザーにどれだけ興味を持たれているかを評価する際に役立ちます。
計算式
平均エンゲージメント時間【1ユーザーあたり】=ユーザーエンゲージメント【合計時間】÷アクティブ ユーザーの合計数
「時間基準」の指標:セッションあたりの平均エンゲージメント時間
3つ目は、ページがフォアグラウンド表示されている状態で、Webサイトを実際に使用していた1回の訪問あたりの時間を教えてくれる指標です。
1回1回の訪問ごとに、どれだけの時間サイトに関与していたかを評価する目的で使います。
例えば、複数のランディングページを、セッションあたりの平均エンゲージメント時間で比較すると、最も効果的なページデザインやコンテンツを特定できます。
計算式
セッションあたりの平均エンゲージメント時間=ユーザーエンゲージメント【合計時間】÷セッションの合計数
GA4「セッション基準」のエンゲージメント関連指標3つ
「セッション基準」に分類される3つの指標について解説します。
「セッション基準」に分類される指標は分子が必ず、エンゲージのあったセッション数【合計数】になります。
それに対する分母は、「時間基準」と同じで
- 無し
- アクティブ ユーザーの合計数
- セッションの合計数
の3パターンという規則性があります。
「セッション基準」の指標:エンゲージのあったセッション数【合計数】
1つ目は、ユーザーがサイトに対して積極的な関心を示したセッションの数を教えてくれる指標です。
この指標は「セッション基準」のベースとなる指標です。その他2つの指標を算出する際に必ず、分子で使います。
算出方法(定義)
次のいずれかの条件を満たすセッションの数の合計です。
- ・10 秒以上続いたセッション
- ・コンバージョンイベントが1回以上発生したセッション
- ・ページビューが2回以上発生したセッション
「セッション基準」の指標:エンゲージのあったセッション数(1ユーザーあたり)
2つ目は、ユーザーがサイトに対して積極的な関心を示したセッションが1ユーザーあたり何セッションあったかを教えてくれる指標です。
サイトに対して積極的な関心を示したセッションを、1人1人のユーザーが、どのくらい持っているかを評価する目的で使います。
例えば、新規ユーザーとリピーターを比較することで、どちらのグループがより価値のある行動を取っているかを把握できます。
計算式
エンゲージのあったセッション数(1ユーザーあたり)=エンゲージのあったセッション数【合計数】÷アクティブ ユーザーの合計数
「セッション基準」の指標:エンゲージメント率
3つ目は、ユーザーがサイトに対して積極的な関心を示したセッションと、全てのセッションの比率を教えてくれる指標です。
全体的なセッションに対して、積極的な関心を示しているセッションがどのくらいあるかを評価する目的で使います。
例えば、各ページを比較することで、エンゲージメント率が高いページはユーザーにとって価値があると判断できます。
計算式
エンゲージメント率=エンゲージのあったセッション数【合計数】÷セッションの合計数
まとめ:GA4でエンゲージメントを分析して自社サイトを成長させましょう
エンゲージメントとは、「ユーザーが関心を示してくれた」という意味で、「ユーザーの操作から推測する関心の深さ」という概念ですという説明を最初にしました。
次に、user_engagementイベントの「時間」を足し算して合計した数値が、ユーザーエンゲージメント【合計時間】となることを説明しました。
最後に、6つのエンゲージメント関連指標には規則性があることを解説しました。
関連指標は「時間基準」と「セッション基準」の2つに分類できて、「時間基準」の分子は必ず、ユーザーエンゲージメント【合計時間】となります。
一方で、「セッション基準」の分子は必ず、エンゲージのあったセッション数【合計数】となる規則性がありました。
さらに、「時間基準」と「セッション基準」のどちらの指標も分母は、
- 無し
- アクティブ ユーザーの合計数
- セッションの合計数
の3パターンという規則性がありました。
この記事を読み終えたら、GA4でエンゲージメントを分析して、サイトに対するユーザーの関心の深さを可視化しましょう。そして、データ活用により自社サイトを成長させていきましょう。