失敗しない広告代理店の選び方と付き合い方
事業拡大のため、広告代理店にプロモーションを依頼しようと考えることもあるでしょう。
実際に広告代理店と組んだプロモーションが事業を大きくスケールさせることもありますが、ミスマッチをしてしまうと逆に損害を被ることも少なくありません。
しかし、自社に合う広告代理店を選定するのは意外と難しいものです。
今回は、中堅の広告代理店に10年以上勤務し、現在はバリューエージェントにてライターなどをしている筆者が、代理店の選び方とつき合い方を紹介していきます。
本記事はこんな方の参考になります!
- 広告代理店への依頼を検討しているの方
- 広告代理店に何を期待をして、どう付き合っていけばいいかを知りたい方
- 自社の規模が広告代理店に依頼すべきかどうかがわからない方
目次
広告代理店に任せたほうがいい理由とは?
まずは、広告代理店に任せるメリットを3つ紹介します。
⑴広告代理店が持っているノウハウやナレッジを活用できる
広告代理店は、基本的にプロモーションに専門的に取り組んでいます。
多くの案件を抱えており事例も豊富なため、自社にはないアイディアや提案をしてもらえる可能性があります。
⑵メディアのネットワークや業界の最新情報を持っている
広告代理店でしか手に入らない広告のメディアや業界の最新情報などがあります。
例えば、オフラインの広告(交通、OOH、TVCMなど)は広告代理店を挟まないと展開ができない場合も多いです。
またWEB広告などは自社内で運用できる部分もありますが、最新の知識などはやはり広告代理店に軍配が上がります。
⑶自社が気付かない課題を洗い出ししてくれる
社内のメンバーだけでは、真の課題や外部から見た自社のイメージに気付きにくいときがあります。
広告代理店という第三者の目線を入れることで、自社内だけでは霞がかかっている部分が明確になる点も、大きなメリットのひとつです。
結果が出る広告代理店の特徴と見抜き方
では、実際に結果を出せる(自社に合う)広告代理店をどうやって探したら良いのかを紹介していきます。
予算額と依頼内容の種類
予算額 (月額での目安) | 代理店規模 | 特徴 |
100万円以内 | 中小 |
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100万〜1000万円 | 中堅 |
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1000万円以上 | 大手 |
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前提の話になりますが、予算規模によって依頼すべき広告代理店が変わってきます。
大手になればなるほど、分業制などで関わっている人数も多いため、少額な予算の案件を受けられないこともあります。
実際に某大手WEB広告代理店は月額100万円の仕事を断っていました。
仮に少額の予算で大手代理店に依頼したとしても、新入社員などが担当となり結果につながらないこともあります。
まずは可能な予算感を明確にし、そこから依頼する広告代理店の規模を検討することをおすすめします。
また、何をするかが決まっている場合と決まっていない場合でも、最適な広告代理店の種類が変わります。
種類 | 会社例 | 特徴 | |
総合広告代理店 |
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専門広告代理店 | WEBマーケティング会社 |
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業界・媒体特化代理店 |
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何を任せるかが決まっている場合は、その分野が得意な広告代理店に依頼するのも良いでしょう。
例えば、交通広告や新聞広告やTVCMなのか、もしくはリスティング広告などWEB広告なのか。
どの広告施策を行いたいかによって依頼先を決めるのもひとつの方法です。
成功事例が再現性あるか?(事例の見抜き方)
広告代理店を選ぶ際、成功事例の有無は当然重要です。
しかしさらに重要なのは、その事例に再現性があるかどうか。
再現性が乏しい事例を見抜くポイントは2つあります。
⑴有名企業や大手企業の事例しかない
有名企業や大手企業の事例があると安心と感じるかもしれませんが、自社に当てはまるかどうかは別問題。むしろ、中小企業では再現できないことが多いといえます。
なぜなら有名企業や大企業の場合はすでに商品の認知度が高いため、広告効果が大きく違ってくるからです。
逆に、知名度の低い中小企業や差別化が難しい業界の広告を成功させた実績のある広告代理店は勝ち筋を多く持っている可能性があり、再現性の高さが期待できます。
⑵最新の事例がない
ホームページに古い事例しか載っていない、もしくは話してこない広告代理店は要注意です。
広告の世界の進歩は速く、当時のノウハウがすでに時代遅れになっている可能性があります。
特に、各プラットフォームのアップデートやAIの進化などが盛んなWEB広告では顕著です。昨今はVUCA(※)の時代とも呼ばれ、従来の勝ち筋が通用しないことも珍しくありません。
成功事例をアピールするだけでなく、「自社でも再現できるか」をロジックを元に話してくれるかどうかも、広告代理店を選ぶ重要なポイントになります。
※Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語。ブーカと読み、未来の予測が難しい状況を意味する。
媒体の仲介業だけではなく、広告会社を選択する
媒体などを用意するだけの広告代理店ではなく、広告会社としてしっかり役務を担ってもらえるかも見てみましょう。
媒体の仲介業にありがちなのは、特定の枠を持っている専業の代理店がその持っている枠を売りたいために、枠売りが軸になってしまっていることです。
ただ代理で枠だけを提案してくる会社は、制作だけを行う制作会社と何ら変わりがありません。その枠を「どういう狙いでどの様に活用していくべきか」の提案があるかどうかも、選び方のひとつです。
クリエイティブは外注ではなく、社内で対応できるところがベター
クリエイティブ機能がまったくない広告代理店はあまりおすすめしません。
広告代理店内にクリエイター(デザイナーなど)が在籍しているほうが、提案のスピードが速い、費用の無駄が少ないなどのメリットがあるからです。
しかし、優秀な制作会社を外注先として抱えている広告代理店であれば、社内にクリエイティブ機能がなくても大きな問題はないといえます。
課題を発見し、提案してくれるか
先ほどの「広告代理店に任せたほうがいい理由とは?」でもお伝えしましたが、自社が気づいていない課題を見つけられるかどうかは非常に重要です。
自社を社内から客観的に見ることは難しく、そもそも定義している問題が間違っていたり、無理なことを広告代理店に相談してしまう場合もあります。
自社に合った課題を発見して提案してくれる広告代理店は貴重といえるでしょう。
逆に、「何でもできます!」と安請け合いしてしまう広告代理店は要注意です。
広告代理店以外の選択肢とは ?
最後に、広告代理店以外の選択肢を紹介します。
コンサルティング会社
広告代理店ではなくコンサルティング会社に依頼する方法もあります。
最近では外資の大手を筆頭に、広告の領域に進出するコンサルティング会社が増えてきました。
コンサルティング会社の強みは、事業のより上流部分から支援してもらえること。しかし実際の広告施策は自社内で行なったり、別の外注先を探す必要が出てくる場合があります。
一見するとデメリットですが、考え方によっては社内のリソースを動かすことでノウハウや知見が蓄積できるので、メリットととらえることもできます。
フリーランス、副業人材など
デジタルマーケティングの領域で、フリーランスや副業人材の活用が活発になってきました。
代理店に頼むほどの規模や予算がない場合や、将来的には自社内での運用を見据えている場合などにおすすめです。
代理店よりも安価で、専門知識や経験のある人材に必要なときだけ依頼することが可能です。
もしいい人材がいれば、スカウトして専属になってもらったり、社員として採用もできるかもしれません。
ただしデジタル領域に絞られることや、内容によっては個人では対応しきれないので、その際は会社単位で依頼できる広告代理店などが良いでしょう。
まとめ
ここまで、予算額、何を依頼したいのか、事例の見抜き方、枠売りの会社になっていないか、クリエイティブ機能があるか、課題を発見してくれるかどうか、など様々なポイントについてご紹介してきました。
絶対的な正解ではありませんが、これらのポイントを参考にしてもらい、自社に最適な広告代理店を選ぶ際に活用していただければと思います。