Facebook広告とInstagram広告の違い|使い分けと成功事例も
Meta社の運営するFacebookとInstagramは、同一の広告管理画面で広告の管理ができて運用がしやすく、多くの企業が並行して運用しています。
しかし、FacebookとInstagramではユーザーの層にも違いがあり、配信面の種類にも違いがあります。
本記事では、Facebook広告とInstagramにおける広告の違いについて、それぞれの媒体での成功事例も併せてご紹介しています。
目次
FacebookとInstagramの違い
本題の広告の内容に進む前に、FacebookとInstagramの媒体そのものの違いについてご紹介します。
Instagramの特徴
若い女性の利用率が高い
日本での認知度は既に全体の8割以上と知名度抜群のSNSであるInstagramは、特に10代〜20代の女性の利用率が高く、この年代の女性は65%以上が毎日Instagramを利用しています。
相対的に女性の利用率が高いInstagramですが、男性も10代では4割以上が毎日使用しているので、男性向けのプロモーションでも効果を得られる可能性は大きいです。
引用:モバイル社会白書2021
投稿の拡散力が低い、ハッシュタグを活用することでカバーする
Instagramを運用する上で注意したいのが、「Instagramは他のSNSと比較して拡散力に劣る」ことです。
TwitterやFacebookでは「シェア」機能を使用することで、投稿が「フォロワーのフォロワー」へとどんどん拡散されていき、「バズる」と言われる状況を引き起こすことがあります。
一方でInstagramには「いいね」や「コメント」機能はあるものの、自分がタグ付けされているストーリーズ投稿を除いて「シェア」機能がなく、「フォロワー数 = 拡散力」になりやすい媒体と言えます。
そんなInstagramで拡散力をカバーできる仕組みとして活用したいのがハッシュタグです。
投稿に関連するキーワードを「#~」の形で記載すると、キーワードで検索したユーザーが投稿に流入できるようになります。
▼ハッシュタグ活用例
引用:@Pattybricks
ハッシュタグは一つの投稿につき、30個まで設定することが可能です。
競合となるアカウントでどんなハッシュタグを使っているのかを研究し、投稿制作の参考にしましょう。
ただし、ハッシュタグを多用しすぎると「オーガニックではない」印象を与えてしまい、却ってエンゲージメントを下げる場合もあります。
ハッシュタグをいくつ使用するか、またどれを使用すると効果がでるのか検証が必要です。
写真をメインにしたSNSだが、ストーリーズ機能が伸びてきている
Instagramが世に出てきた当初、投稿はフィード投稿のみでしたが、2016年8月から「ストーリーズ」機能が登場し、以降急速に伸びてきています。
▼フィード投稿
▼ストーリーズ投稿
ストーリーズはフィード投稿とは別に写真や動画を投稿、シェアできる機能で、手軽に文字を入れたりスタンプを使用したりと豊富な編集機能も利用できます。
フィード投稿との大きな違いは、ストーリーズはいわば「インスタント投稿」であり、投稿から24時間で他のユーザーからは見られなくなります。
すぐ消えてしまうため投稿を作り込む必要もなく、手軽に投稿ができるのがメリットです。
またスマホ画面いっぱいに画像(動画)が表示されるので、ストーリーズに投稿する際には画面に合わせて縦型の素材を使うのがおすすめです。
媒体の特性を生かしたInstagramの投稿例
広告ではないオーガニックのInstagramの投稿であっても、Instagramの特徴を生かして投稿すると、投稿は伸びやすくなります。
例えばスキンケアブランドのカルテでは、縦長の動画が流せるリールの特徴を生かして、実際に化粧品を使用している様子を投稿しています。
ハッシュタグを設定しておくことでフォロワー以外の流入も期待でき、使用感をダイレクトにユーザーに届けることで購入に繋がりやすくなります。
引用:カルテ公式アカウント
オンラインパン教室のアカウントでは、パンの捏ね方を実際の動画とともに紹介するリール動画で、オンラインレッスンの雰囲気をユーザーに伝えています。
動画が見られやすい媒体であり、かつ女性ユーザーの多いInstagramでは効果的な投稿です。
Facebookの特徴
S世代よりも、ミレニアム世代以上のユーザーへのリーチに向いている
InstagramとFacebookの最も大きな違いは、ユーザーの違いでしょう。
若い世代、女性が多いInstagramと比較して、Facebookはミドルエイジの男性からの支持が厚いSNSです。
LINEを除く他のSNSの中では、60代の利用率が最も高いSNSでもあります。
一方で、Instagramを含めた他のSNSと比較して、Facebookは10代の利用率が低い傾向にあります。
Facebookはミレニアム世代以上をターゲットとした商品・サービスのプロモーションに有効と言えます。
ターゲットの年齢が20代以上の場合や、質がよく、値が張る商品やサービスを扱う場合において、Facebookは広告出稿先としては外せない媒体です。
引用:モバイル社会白書2021
実名投稿(ビジネス関連の投稿が多い)
Facebook最大の特徴として「実名登録制」が挙げられます。
TwitterやInstagramの場合、アカウントを本名で運用する必要はないので、同じ人が用途に応じてアカウントを複数持っている場合も多いですが、Facebookの場合は基本的に一人の人間に対して1アカウントが原則となっています。
もともとが現実の知り合いとオンラインでもコミュニケーションをとるために開発されたサービスのため、他のSNSと比較して面識のない人と繋がることが少ないです。
そのためエンタメや娯楽にまつわるサービスよりも、ビジネス系のサービスや商品との相性が良いと言われています。
媒体の特性を生かしたFacebookの投稿例
Facbeookの場合、ユーザーは基本的に実名のアカウントで運用しているため、実名で拡散することにユーザーが抵抗を覚えないようなビジネスライクな投稿の方が伸びやすい傾向にあります。
例えば資産形成など「20代以上の方が興味を持ちやすいトピック」や、転職サービスなど「キャリアにまつわるサービス」は、画像や動画のビジュアルがものをいうInstagramや、エンタメ投稿の多いTiktokなどよりもFacebookの方が相性が良い場合が多いです。
Facebook広告とInstagram広告の違い
ここからは本題に移り、Facebook広告とInstagram広告の違いについてご紹介します。
ターゲット層の違い
ターゲット層の違いは、広告効果にも大きな影響を及ぼす要素です。
下記は近年大きなシェアを誇るSNSについての、年齢別の利用率です。
主に連絡ツールとして利用されるLINEが全世代で圧倒的に普及しており、他の媒体が追従する形となっています。
Instagramは主に10代〜20代では普及率60%となっており、50代でも30%近い人が利用しています。
Facebookは10代の利用率が20%以下と、この世代では他の媒体と比較して利用されていないことがわかります。
30代が利用率40%弱と最も高くなっており、70代でも20%近い人がFacebookを利用しています。
引用:モバイル社会白書2021
またInstagramはどの世代においても、男性よりも女性の利用率が高いのが特徴的です。
女性をターゲットにした訴求を行う場合、Instagram広告は外せない媒体となるでしょう。
Facebookは30代以降、特に高齢層にリーチしたい場合は最も最適なSNSと言えます。
逆に、10代をターゲットとする場合は、FacebookよりもInstagram、またはTwitterやTiktokの方が適切かもしれません。
参考:令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書概要
配信面の違い
Instagramで広告が配信される面は、「Instagramフィード」「ストーリーズ」「リール」「発見タブ」の4つです。
Instagram広告の見え方
■フィード
写真や動画、カルーセル広告、コレクション広告などが流れます。
オーガニックのフィード投稿の合間に流れてくる形で、左上のアカウント名の下に「広告」と表示されます。
参考:Cousera広告
■ストーリーズ
写真や動画、カルーセル広告、コレクション広告などが流れます。
縦長の素材を使うと、画面いっぱいに広告表示ができます。
ストーリーズ広告は一度閉じてしまうとユーザーは再び辿り着けない仕組みになっているので、ユーザーの気を引けるとクリックされやすい傾向にあります。
参考:マネカツ
■リール
リールのページを見ていると、オーガニックのリール投稿に混ざって配信されてきます。
リール面への配信ではストーリーズと同じくフルスクリーンの縦型を使用することが可能で、60秒以下と長めの動画をフルで見せることができます。
ボリューム感のある情報をしっかり伝えるのに向いている配信面です。
参考:Dr.MILSクリニック
■発見タブ
発見タブでは、虫眼鏡マークをクリックしてすぐの複数のリールが流れている面には広告が表示されません。
ではどこに表示されるのかというと、ユーザーが気になる投稿を見つけてタップすると、その画像に連なって表示されて流れ始める他の投稿の中に混ざって広告が表示されます。
参考:Google Japan
Facebook広告の見え方
■Facebookフィード
Instagramのフィードと同じく、オーガニックのフィード投稿に紛れてバナー画像や動画、コレクション広告、カルーセル広告が表示されます。
参考:マネカツ
■Facebook ストーリーズ
Instagramのストーリーズと同じく、縦長の形で配信が可能です。バナー画像、動画、カルーセルなどが表示されます。
参考:Flexshion
■Messenger
メッセンジャーでは、友人とのチャットが表示されている画面の、チャットとチャットの間に広告が表示されます。
■Audience Network
Facebookが提携しているFacebook以外の配信先に広告が流れます。
提携している媒体は非公開ですが、メディア、ゲーム、教育、エンターテイメントなど、様々な媒体と提携しているため、最適な配信先に広告が流せる可能性が高い配信面です。
参考:Audience Networkを利用して、Facebook広告をモバイルアプリに掲載しましょう
配信面の特性を生かして広告効果を伸ばそう
こうした配信面をうまく活かす広告を作成し、広告効果を伸ばしましょう。
例えばInstagram 発見タブをうまく活用するなら、「インスタグラマーを起用したインパクトの強い動画広告」が人気を集めています。
「ユーザーが自らコンテンツを探しにいく枠」である発見タブには「フォローしていないアカウントから、「何か面白いもの」を求めているユーザーが集まるため、ユーザーの興味をそそるインパクトの強い広告が伸びやすくなります。
Facebookフィード広告をうまく活用した例では、「おすすめの脱毛サロンをモニターが体験する様子を紹介する」形式などで配信されている、「クリエイティブを一般ユーザーの投稿風に作成した広告」がよく見られます。
一般人の投稿が流れるフィードのなかに広告がうまく紛れこみ、「広告感」を押し出さずにユーザーに情報が届けられるため、クリックされやすくなる場合があります。
広告形式の違い
写真広告
画像が一枚あれば簡単に入稿できる、手軽に使える広告フォーマットです。
より多くの人に届けたい場合、写真広告は他の広告フォーマットよりも効果が高いと言われています。
参考:Facebook写真広告
動画広告
動画で商品の特徴や使い方を伝えることができます。
静止画と比較して作成に費用や工数がかかることがありますが、音や映像を使うことで表現の幅は大きく広がります。
参考:Facebook動画広告
カルーセル広告
カルーセル広告は、一つの広告で最大10枚の画像、または動画を表示させ、それぞれに対して別のリンクを紐付けることができます。
表示できるイメージの量が増えるため、複数の商品を紹介したい場合、ストーリーを追うように見せたい場合にとても便利なフォーマットです。
コレクション広告
大きなイメージと、その下に表示される小さな複数のイメージで構成され、タップすると下の画像が広がって、同じウィンドウのままで広告を大きく見せられるフォーマットです。
複数のテンプレートが用意されており、見せ方によって使い分けられます。
このフォーマットはカタログを作成することでダイナミック広告のように活用することもできて、ショーウィンドーに商品を陳列するような魅せ方ができるコレクション広告は、ECサイトやアパレルブランドなどと非常に相性の良いフォーマットです。
成功事例と成功のためのポイント
Facebook広告とInstagram広告は、それぞれユーザーの特徴やサービスの特性が異なり、配信面(媒体)に合わせた改善が必要ということがわかりました。
ここからは、具体的に媒体の特徴を生かして広告効果を伸ばした例についてご紹介します。
成功事例
Instagram:若年層女性向けに化粧品の広告
フランス初、北米や中東に広く進出している化粧品販売会社「Sephora」では、Instagramの配信面にリールが追加されたのを機にリール広告を追加し、結果としてコンバージョン単価をそれ以前の65%に抑えることに成功、高いエンゲージメントを出しました。
それ以前からInstagram広告を運用していたSephoraでしたが、リールを活用し、それに伴いブランドに対するユーザーの好感度を計測したところ、リールの追加により通常の動画キャンペーンと比較して好感度が80%上昇したことがわかりました。
また、特にZ世代からのブランド認知度が高まったことがわかり、リールと若い世代の相性の良さが確認されました。
Facebook:30代〜40代女性に向けた広告
台湾のインテリアブランドであるLife Wearhouseは、Facebook広告の自動配置機能を活用し、最も効果が高いと判断されたFacebook、Instagram、Audience Networkに配信面を絞って広告を配信しました。
また、近頃コンバージョン計測の精度が落ちているFacebookピクセルに加え、より正確な測定が可能となるコンバージョンAPIを導入し、コンバージョン計測の精度向上に対応しました。
結果として以前と比べてより効率よく広告が配信できるようになり、顧客獲得単価は28%削減することに成功しました。
成功のためのポイント
最後に、Facebook広告、Instagram広告を生かして広告効果の改善を進めるために、注意するべきポイントについてご紹介します。
ターゲットと媒体はあっているか
広告のターゲットとなるユーザーと、各媒体を利用しているユーザーに乖離が起きていないかを確認しましょう。
ミレニアム世代以上の年齢層にアプローチしたい場合、Facebookは外せない媒体ですし、10代向けの広告をFacebookに流してもCTRは低くなる可能性があります。
InstagramやFacebookに限らず、Twitter、Tiktok、Snapchatなど、広告配信ができる広告媒体は他にも数多く存在しています。
国内に向けた訴求と海外に向けた訴求でも使うべき媒体は変わるため、ターゲットとしているユーザーがどの程度その媒体を利用しているのかを認識しておくことで、見込みのない媒体に広告費をつぎ込むような事態を避けられるでしょう。
例えば高所得者向け賃貸住宅のプロモーションの場合、若い世代の多いTIktokや海外で人気の高いSnapchatよりも、ミレニアム世代以上にアプローチしやすいFacebookやInstagramを使用する方が良いでしょう。
クリエイティブ素材として高品質な画像を用意できる場合などは、画像との親和性の高いInstagramの配信に力を入れるとユーザーに響きやすくなるかもしれません。
媒体にあったクリエイティブになっているか
SNS広告では、オーガニックの投稿に紛れて広告が表示される仕組みになっています。
そのため、他のオーガニックの投稿とあまりにも馴染まないクリエイティブだと、ユーザーに「広告の押し売り感」が伝わってしまい、敬遠されることがあります。
配信する媒体のオーガニック投稿は時期によって流行りもあるので、適宜状況を確認して周りに合わせたクリエイティブ作りを意識しましょう。
Instagramのストーリーズなど、スタンプなどの機能を使う新しい流行が毎日生み出されています。
流行りに乗ることで興味をもたれやすくなることも期待できます。
期間限定のプロモーションの場合、Instagramのカウントダウンスタンプで「プロモーション期間の残り時間」をクリエイティブに入れておくことで、ユーザーに「今だけ」感が伝わりやすくなります。
同じ製品の広告でも、Faceboookの場合、「一般投稿風のクリエイティブ」よりも、より「バナー広告感のあるクリエイティブ」の方が他の投稿との馴染みが良い場合もあるので、媒体によってクリエイティブを変える工夫も必要です。
InstagramとFacebook、まとめて配信も可能
Facebook、Instagramの広告を配信する上で大きなポイントは、同一の広告管理画面で管理ができるということです。
TwitterやTiktokを運用する場合、完全に別の管理画面で広告フォーマットも別になるため、クリエイティブもそれぞれ作成する必要がありますが、FacebookとInstagramでは一つのクリエイティブを両方の媒体に流すことができます。
それぞれの媒体でユーザー層や使われ方に違いはあるものの、広告運用を開始する場合、初期は両方の媒体に配信するのがおすすめです。
配信する中でどちらの面の方が効率よく配信できるのかなどがわかってくるので、必要に応じてキャンペーンを分けるなど、改善を進めていきましょう。
まとめ
Facebook広告管理画面で管理できるSNS広告二大媒体である、FacebookとInstagramの広告についてご紹介しました。
一つの管理画面で管理でき、同じクリエイティブを両方の媒体に配信することもできるため、何も考えず両方の媒体に広告を流している方も多いかもしれませんが、この2つのサービスでは利用者層も使われ方も違う点が多々あります。
それぞれの違いを理解して配信を最適化することで、より効率よくコンバージョンを得られるかもしれません。
ぜひこの機会に、広告の設定やクリエイティブを見直してみましょう。