Facebookコレクション広告を活用するべき理由と活用事例
コレクション広告とは、Facebookが2017年にリリースした、ものを売ることに特化した広告フォーマットです。
静止画、動画、説明を組み合わせて、商品の認知度を高めつつ、ユーザーが買い物を完了させるまでの一連の流れを広告の中だけで簡潔させられるこのフォーマットは、Facebook広告、Instagram広告でぜひ活用したい広告形式の一つです。
本記事では、そんな「ものを売る」に特化した広告フォーマットである「コレクション広告」について、活用するべきである理由をご紹介します。
目次
Facebookコレクション広告の特徴
コレクション広告は、インパクトのあるビジュアルとバラエティ豊かな商品を同時に提示し、シームレスに購買画面に遷移する広告フォーマットで、ECサイトのプロモーションなど、販売に直接結びつけたい場合に非常に効果的な広告です。
ここではコレクション広告の特徴、コレクション広告を使用するメリットやデメリット、このフォーマットと相性の良い訴求の仕方について紹介します。
Facebookコレクション広告とは
コレクション広告は、「トップに掲載される画像または動画と、その下に表示される、トップの画像と関連度の高い複数の画像」の形式で表示されます。
多くの消費者はソーシャルメディア上で新しい商品と出会って認知し、広告やウェブサイト、アプリを使用してそれについてより深く知り、購入の判断を行います。
コレクション広告ではこの、「認知→詳細の確認→購買の検討→購入」までの一連の購買行動の流れを広告の中で完結させられ、スムーズな購入体験を促進させます。
コレクション広告:Facebookフィードでの見え方
コレクション広告:Instagramフィードでの見え方
Facebookコレクション広告を使用するメリットとデメリット
メリット1:認知されやすい広告フォーマット
コレクション広告が配信されると、ファーストビューは「メインビジュアル(静止画または動画)+関連度の高い商品4点の画像」で配信されます。
「商品やブランドのイメージ」と「実際のプロダクト画像」が一度に目に入り、ユーザーに対して即座に伝えたい情報を届けられます。
インパクトが強く、ユーザーの目に留まりやすい形式です。
メリット2:情報量が豊富
コレクション広告がユーザーの目に留まりタップされると広告がフルスクリーン表示に切り替わり、最大で50種類の商品が表示されます。
ユーザーに対して見せたい商品を即座に届けることが可能です。
▼広告をタップするとフルスクリーン表示に切り替わる
メリット3:ストレスのない購買体験
さらにコレクション広告最大の魅力と言えるのが、「ユーザーが購入完了までを別ウィンドウに移らずに完結させられる」という点です。
商品カタログを見て気になったものをタップすると、別ウィンドウに切り替わることなく商品購入ページが開き、そのまま購入完了まで完結させることが可能です。
ユーザーがせっかく広告で気になった商品を見つけても、「SNSアプリを離れることを躊躇して購入を後回しにする」なんてことになってしまうと、後から後から目に入る魅力的な情報に上書きされてせっかく届いた商品の情報は忘れられてしまうかもしれません。
ストレスのないスムーズなショッピングエクスペリエンスは、CVRに大きな影響を与えます。
▼気になった商品をタップすると、即座に購入ページが開く
デメリット:出稿工数が嵩む
広告を運用する側の目線に立って見ると、コレクション広告は与えられる情報量が多いぶん、バナーやカルーセルなど他の広告と比較して、出稿工数は嵩みます。
特に全てを手動で設定しようとすると一つの広告作成にかかる工数が膨大になるため、製品カタログを活用して効率化するのがおすすめです。
製品カタログについては本記事「製品カタログの使い方」をご参照ください。
▼コレクション広告商品画像の設定画面(画像を一枚ずつ設定すると手間がかかる)
Facebookコレクション広告と相性の良い訴求
コレクション広告と相性が良いのは、なんといっても「ファッションECサイト」や「アパレルブランド」など、多くの商品を抱えるサービスです。
ECサイトでの購買訴求の他、既に認知度の高いブランドも、新商品の認知むけ施策などに活用しています。
逆にプロダクトとして見せるものが少ないサービスの場合、バナーや動画広告の方が運用しやすいかもしれません。
コレクション広告に向いている訴求例
- アパレルのECサイト
次のシーズンのおすすめ商品を掲載すると同時に、メインビジュアルで「素早い配送」を推すことでスムーズな購入を促進する - リゾートホテルを抱える旅行、宿泊サイト
メインビジュアルで安い航空券の価格を提示してユーザーを惹きつけ、各地の魅力的なホテルの部屋のイメージを提示して予約訴求をする
Facebookコレクション広告の使い方
ここからは具体的なコレクション広告の使い方についてご紹介します。
Faceboookコレクション広告のテンプレート
コレクション広告には5つの既存テンプレートが用意されています。
使用用途によって使い分けることで、より魅力的なクリエイティブを作りましょう。
①インスタントストアフロント
インスタントストアフロントは、メインビジュアル1枚と、その下に複数の画像をグリッド形式で表示し、一覧表のように整然とプロダクトを紹介するテンプレートです。
シンプルに多くの商品を提示したい場合に使用するべき形式です。
また、作りがシンプルな分、商品カタログを作成すれば[おすすめの商品][人気の商品]など、商品を動的に取得して表示させるダイナミック広告に近い運用が可能です。
画像のような女性用バッグのECサイトやアクセサリーのECサイトでの新製品の販促や、アパレルブランドのキャンペーンの宣伝など、「数多くのプロダクトを一つ一つしっかり見せたい場合」に使用したいテンプレートです。
インスタントライフスタイルカタログ
インスタントライフスタイルカタログでは、カタログとそのカタログに登録されているプロダクトを表示させ、また画像上には商品にタグ設定をし、商品とリンクさせることも可能です。
商品開発に至るストーリーを紹介したい場合、商品を実際にユーザーが使っている様子を見せて訴求しつつ、商品の詳細情報を届けたい場合におすすめのテンプレートです。
画像のようなファッションの通販サイトや旅行会社のツアーのプロモーションなどのサービスで、「人が製品やサービスを使っている様子、楽しんでいる様子など、製品情報とそれを体験している様子を同時に届けたい場合」に使用したいテンプレートです。
インスタント顧客獲得
ユーザーに具体的な購入などのアクションを起こさせることに重きを置いてデザインされたフォーマットです。
ストアフロントのように「多くの画像を表示させる」というよりはむしろ「一つの商品の詳細を詳しく紹介する」のに向いているフォーマットで、動画や文章をふんだんに使うことでリッチなクリエイティブを作成できます。
質の高い画像や動画が準備でき、利用者により詳しく情報を届けたい場合におすすめのテンプレートです。
画像のような家具メーカーや電化製品メーカー、楽器店など、取り扱う製品が精密機器などの場合、見た目のよさだけではなく詳しいスペックについての情報が購入判断をするために必要となります。
このように「画像と合わせて文章で伝えるべき情報が多い場合」にぜひ使用したいテンプレートです。
製品カタログの使い方
膨大な情報を一つのクリエイティブで届けられる便利なコレクション広告ですが、製品カタログを活用することで運用の工数を大きく削減し、効率的に管理することが可能になります。
カタログを使用する場合、コマースマネージャーを使用して事前にカタログを用意しておく必要があります。
広告管理画面左側の3本線、「全てのツール」>最下部の「コマースマネージャー」をタップします。
コマースマネージャ画面から「カタログを追加」をクリックしてください。
カタログタイプを選択します。Eコマース、旅行、不動産、自動車、エンターテイメント・メディアから選択します。
自分で商品情報をアップロードする、またはパートナープラットフォームにリンクする場合で、アップロード方法を選択します。
特に指定がない場合は、「商品情報をアップロードする」を選択します。
ここでカタログの所有者(アカウント)とカタログ名を設定します。
これでカタログの大枠の作成が完了します。
カタログの中身を追加します。右上の「カタログ」内、「アイテムを追加」を選択し、手動またはデータフィード(スプレッドシートまたはExcel)などでデータを追加します。
これでカタログは広告単位ではなく、一括で管理ができるようになります。
とても便利な製品カタログですが、カタログがないとコレクション広告が配信できない訳ではありません。
製品カタログを使用しない場合は、「広告設定 -> コレクション広告 -> インスタントエクスペリエンス」を選択し、手動でデータを追加します。
この場合、カタログを使用する場合と違い「各画像が表示される順番を一つずつ指定できる」というメリットがあります。
カタログを使用すると「ダイナミック広告」と同じような仕組みとなり、どこにどの画像が表示されるかは自動で設定されてしまうからです。
表示画像の順番を自分でコントロールする必要がある場合は、手動で設定するようにしましょう。
またカタログ作成にもある程度の作業が必要なので、「そもそも商品数が少なくて手動で管理が可能」な場合や、「とにかく急いで効果検証をしたい」場合などはカタログなしで開始することをおすすめします。
Facebookコレクション広告の入稿規定、入稿手順
コレクション広告の入稿規定、入稿手順についてご紹介します。
入稿規定
コレクション広告の入稿規定は下記の通りです。
デザインの推奨事項
コレクション広告に表示されるカバー画像またはカバー動画に使われるコンテンツは、インスタントエクスペリエンスに最初に表示されるメディアアセットです。
- 画像タイプ: JPGまたはPNG
- 動画のファイルタイプ: MP4、MOVまたはGIF
- アスペクト比: 1:1
- 解像度: 1,080 × 1,080ピクセル以上
テキストの推奨事項
- メインテキスト: 125文字以内
- 見出し: 40文字以内
- ランディングページのURL: 必須
技術要件
- インスタントエクスペリエンス: 必須
- 画像の最大ファイルサイズ: 30MB
- 動画の最大ファイルサイズ: 4GB
入稿手順
広告管理画面から、「広告タブ」に遷移し、「+作成」をタップして新しい広告を作成します。
「新規キャンペーンを作成」または「既存のキャンペーンを使用」を選択し、「次へ」をタップします。
広告を作成します。
広告名を入力し、下にスクロールします。
クリエイティブソースにて、カタログを使用しない場合は、「手動アップロード」を選択し、フォーマットで「コレクション」を選択します。
カタログが準備できている場合は「カタログ」を選択し、「コレクション」を選択します。
クリエイティブにて、見出しを入力します。見出しは下記赤枠部分のように表示されます。
リンク先にて、コレクションのテンプレートを選択します。ここでは「ストアフロント」を選択しました。
続いてインスタントエクスペリエンスの設定に移ります。カタログを設定している場合は、以下の設定は不要です。
まずは「各商品をランダムに最適化して配信する(ダイナミックに配置)」または「特定の順番を選択」を選択します。
カバー画像から順番に各画像の設定を行います。
ここでは各画像ごとに、リンク先URLや見出し、また金額の表示を設定できます。
静止画と比較して素材準備が大変な動画ですが、カバー画像は静止画よりも動画を使用するほうがユーザーの注意を引きやすく、カタログの静止画との対比でインパクトの強い広告になります。
可能であれば、動画をカバーとして使用することをおすすめします。
またカタログの画像については、商品ごとに遷移先を用意することでよりスムーズな購買に繋がります。
Facebookコレクション広告成功事例
最後に、コレクション広告を活用した訴求の成功事例についてご紹介します。
Pura Vidaの事例(ジュエリーECサイト)
ハンドメイドブレスレットなどのジュエリー販売を展開するアメリカのPura Vidaは、連休に合わせてオンライン販売を拡大するため、Facebookで大規模なプロモーション広告キャンペーンを準備しました。
当初はコレクション広告を使用することによってインスタントエクスペリエンスを挟むと、離脱するユーザーが増えるのではとの懸念もありましたが、結果的に「1日の購入数が6.3倍に増加」「広告費用対効果が12%向上」という輝かしい成果を残しました。
商品カタログを充実させ、ユーザーが興味を持った商品に関連する別商品の選択肢を多く提供できるように工夫し、さらに「サマーセール開催中: 全品40%オフ!」の文言も合わせて訴求したところ、多くのユーザーを惹きつけることに成功したのです。
TagsForHopeの事例(ペット用品店)
家族で経営するペット洋品店、TagsForHopeは決して大規模なブランドではありませんでしたが、コレクション広告を活用することにより、多くの人に自分たちの製品を認知してもらうことに繋げられました。
彼らは飼い主とはぐれてしまった動物を保護するための耐久性の高いタグを開発し、この製品を必要としている人に対してリーチすることで販売を促進し、利益を得たいと考えていました。
そこでFacebook広告を活用しコレクション広告とカルーセル広告の併用で配信したところ、広告費用対効果が22%も向上、7000件以上の追加注文を受注しました。
少ないリソースで広告を効率的に運用するため、TagsForHopeではカタログを活用し、なるべく広告側が自動で最適化できるように配信を行いました。
個人の事業者にとって、工数を少なく効果を出せるというのは大きな魅力です。
アディダス(スポーツブランド)
小規模ビジネスだけではなく、もちろんアディダスのような世界規模のブランドにとってもコレクション広告は非常に有効なプロモーションツールです。
アディダスでは「Z.N.E.シリーズ」の新作と、その関連商品の販売促進にコレクション広告を活用し、コレクション広告導入前と比較して5.3倍もの広告費用対効果(ROAS)を達成しました。
新作であるフーディーの機能性を動画で存分にアピールしつつ、同じシリーズの別商品も並べて表示させることで、ユーザーはシリーズについての理解を深めると同時にお気に入りの製品を見つけることができ、結果として購入がのびたと考えられています。
まとめ
Facebook、Instagramで使える「コレクション広告」について紹介しました。
認知から購入まで、オンライン購買の一連のフローを一貫して広告内で行えるコレクション広告は、アパレル業界、旅行業界、不動産業界など、さまざまな分野で活用できる非常に便利な広告フォーマットです。
カタログや動画の準備など、導入のハードルは他の広告フォーマットと比べて少々高いものの、成功事例のように大きな成果を期待できるので、まだトライしていないならぜひ一度挑戦してみることをおすすめします。