Facebook広告でのAPI活用|コンバージョンAPIやレポーティング自動化など
Facebook広告を運用している方は「〇〇API」という言葉を聞く機会があると思います。
「コンバージョンAPI」「グラフAPI」など、一言にAPIと言ってもさまざまな活用方法があり、実際のところAPIとは何なのか理解できていない方も多いのではないでしょうか。
この記事ではそもそもAPIとはどんなものなのか、広告運用にはどう生かせるのかについてご紹介します。
目次
APIとはなにか
そもそもAPIとは
APIは「アプリケーションプログラミングインタフェース」の頭文字をとった呼び方で、あるソフトウェアの仕組みを他のサービスでも使えるようにする仕組みのことです。
APIを使うことでアプリケーション同士で連携できるようになり、それぞれのアプリ上でできることの幅が大きく広がります。
人気のサービスでAPIが使われている例としては、下記のようなものが挙げられます。
- LINE API:ログイン機能、チャットボットの開発など
- YouTube API:動画の効果測定など分析機能、動画の精度
- Amazon API:商品の最新情報の取得、日単位での売り上げ状況の分析
Facebook広告でも、APIを活用することで可能となるさまざまな便利機能が用意されています。
Facebook広告APIでできること
Facebook広告でもAPIを活用する仕組みが整えられています。
コンバージョンAPI、ビジネス管理APIなどがあり、これらを使用して幅広く広告配信精度の改善、運用周りの改善が可能です。
広告の計測精度向上
「コンバージョンAPI」を活用することで、広告主のサーバーからコンバージョンデータを直接Facebookのサーバーに送信し、Facebookは自社が持つデータと送られてきたデータをつきあわせることでコンバージョンが計測できるようになります。
元来Facebook広告はFacebookピクセルと呼ばれるCookieを使用した計測の仕組みを使っていましたが、近年インターネット広告のCookieの利用についてプライバシー保護の観点から規制の動きが加速しており、コンバージョンデータが欠損しやすくなってきています。
そこでFacebookがAPIを利用して広告測定の精度を改善させるために用意したのがコンバージョンAPIです。
今からFacebook広告の配信を開始する場合は初めからコンバージョンAPIを活用するのがおすすめですが、既存の広告アカウントでも、コンバージョン獲得数と売り上げの相関が見えにくい場合、またはコンバージョンの精度に疑問がある場合にはぜひコンバージョンAPIを導入しましょう。
広告作成の自動化
APIを使用して広告の作成を自動化できます。また広告配信の自動ルールを設定し、運用についても一部自動化することが可能です。
数多くのクリエイティブを入稿、管理する場合、出稿作業や調整作業が運用者にとって大きな負担になります。
APIを活用することでこの作業負担を減らし、効率的に広告を運用できます。
広告運用に割けるリソースに限りがあり、クリエイティブ入稿や広告の配信、停止など、膨大なタスクをコントロールしきれていないと考えている場合は導入することをおすすめします。
カタログの活用
ダイナミック広告をはじめ、コレクション広告、Instagramショッピング広告などでは大きなデータから自動でデータを取得し広告配信を行います。
ダイナミック広告の運用を希望する場合にカタログを活用しましょう。
取り扱う製品を数多く抱えている場合、手動で全ての商品を広告として出稿するのは無理があります。
APIを活用してカタログデータを取得することで、カタログの中からFacebookが自動でデータを取得し、広告として出稿します。
手動でCSVを更新する形でカタログの更新を行うことも可能ですが、APIを使用することで手動更新の手間を省き、常にカタログを最新の状態に保つことが可能となります。
ECサイトの在庫数をリアルタイムで更新することで売り切れたアイテムの広告出稿を防止したり、在庫が入荷したタイミングで広告出稿ボリュームを増やすなど広告配信の最適化に活用したり、割引キャンペーン価格をリアルタイムで適用するなど、APIを導入することで多くのメリットがあります。
参考:Meta カタログ
カスタマーオーディエンスの作成
マーケティングAPIを使用して、カスタムオーディエンスを顧客情報から作成できます。
メールアドレス、電話番号、氏名、生年月日、性別、所在地などが使用可能です。
これらの情報は顧客の個人情報であるため、データを所有する広告主は情報を管理、保護する責任がありますが、ハッシュ化した形でFacebookに共有することで顧客の個人情報を保護しつつ、Facebook広告で顧客の情報を活用することができます。
APIを活用することで常にオーディエンスを最新の状態に保つことが可能となります。
カタログと同様、オーディエンスも手動でCSVを更新する形での運用も可能ですが、APIを活用することで工数をかけることなく常にオーディエンスを最新の状態に保つことができます。
サービスが大きくなると、登録者、退会者が日々数百から数千単位で変化する場合もあります。
そんな場合でもリアルタイムでオーディエンスを更新できると、より効率的に広告を運用することが可能です。
広告インサイトAPIを利用したレポーティングの自動化
広告インサイトAPIを活用し、各広告の指標を自動で取得してレポートを生成します。
過去何日分のデータを取得するのか、アトリビューションは何日で見るのかなど、欲しい情報を指定し、それに基づいて自動でデータが取得できるようになります。
広告代理店に広告運用を委託している場合、広告主側はリアルタイムで広告管理画面の状況を追いかけられないことがありますが、APIを活用してリアルタイムでレポートを取得できるようにしておくことで、常に正確な広告状況を把握することが可能となります。
手作業でレポーティングするよりも精度が高く、代理店側もレポーティング工数を削減することに繋がります。
参考:Meta 広告インサイト
API活用の例
APIを活用して広告運用状態を改善する例についてご紹介します。
ここでは例として「オンラインと実店舗で手作りのアクセサリーを販売する事業者、A社」を広告主とし、Facebook広告の運用精度と運用効率の向上のため、APIを導入することを検討している場合について考えてみましょう。
管理画面上のコンバージョンの精度向上のため、コンバージョンAPIを導入する
A社では以前からFacebook広告を使用した顧客獲得を行っていましたが、Cookieの規制が厳しくなった2020年半ば頃から、広告のコンバージョン数が実際の売り上げの増加に繋がりにくくなっていると感じており、コンバージョン計測の精度に疑問を感じていました。
コンバージョン地点である「広告経由のオンラインでの商品購入」の数が増えても、売り上げが明確に伸びていかないのです。
そこでコンバージョンAPIを導入し、既存のコンバージョンタグによる計測との重複を除外する設定を行うことにします。
コンバージョンAPIを導入した結果、Cookieの情報が取得しにくくなったために計測できなくなっていたコンバージョンが正確に管理画面に反映されるようになり、広告の最適化の精度も向上すると考えられます。
実際に例にあげているA社と同じようにコンバージョンAPIを活用した例があります。
ピクセル計測にコンバージョンAPIを導入した、オンライン会計ソフトウェアを展開するXero社の場合、コンバージョンAPIを導入した結果「広告経由のアカウント登録数が8% 上昇」しました。
Cookieで計測ができなかったコンバージョンをより正確に計測できる様になったと考えられます。
入稿の自動化
A社は小規模事業者のため、広告運用だけに多くのリソースを割くことができません。
アクセサリーのデザインや販売も行うスタッフが、業務の合間の時間で広告を運用しています。
そのため広告クリエイティブの数不足や配信の調整不足から、本来であれば見込めるCVを取りこぼしたり、広告単価が必要以上に高騰していることが懸念されます。
改善策としては、APIを活用して、カタログから商品の広告を作れるようにし、ダイナミック広告のように自動で広告を作成することが挙げられます。
コレクション広告やショッピング広告でもカタログ活用することで、リソースを抑えたまま多くの商品を広告として露出させることが可能になります。
レポーティング自動化
扱っているプロダクトがアクセサリーということもあり、A社は数多くの商品を抱えていました。
そのためクリエイティブの数も多く、広告分析にかかる時間が嵩んでいました。
単位、月単位で見た場合、どの製品の広告がより効率よくコンバージョンを獲得しているのか、広告セットごとの獲得効率はどうか、見るべき数値は数え切れませんが、毎日の配信状況を手動で取得しレポートにまとめるのには手間がかかります。
この場合、APIを使用して必要な数値を自動でレポートにすることで、分析にかかる時間を短縮するのがおすすめです。
レポートを作る時間を短縮し、分析にかける時間を増やすことで、どんなクリエイティブを作成するべきなのか、ランディングページはどう改善するべきかなど、よりクリエイティブな検討に時間を割くことができるようになるでしょう。
まとめ
データベースには多くの情報が保管されています。
APIが登場する以前は、Facebookのデータベースと広告主のデータベースは完全に切り離されたもので、データベース間で情報のやりとりを行うことはできませんでしたが、APIの登場により違いが必要な情報を安全な形で受け渡しができるようになりました。
ご紹介した通り、APIはコンバージョン精度の改善やクリエイティブ作成工数の圧縮、レポート作成の自動化など、さまざまな角度から広告の精度改善や運用作業の改善に役立ちます。
現状抱えている課題に対して、APIをどう活用できるのか検討し、ぜひ広告の改善にお役立てください。