【実践で使える】Webマーケティングにおける分析方法
近年、IT技術の進歩によりWebマーケティングのニーズが一気に高まってきています。
また、Webマーケティングの手段も多岐に渡っており、施策を実施し、分析を行い、次の施策に活かすというサイクルにスピード感も求められています。
そんなWebマーケティングのどの施策にも共通しているのは分析です。
仮説を立ててそれを元に施策を実施していくWebマーケティングにおいて分析は欠かせません。
今回は、「分析の仕方が分からない。」「分析の仕方があっているか分からない。」といった悩みを抱えている方に向けた内容です。
是非参考にしてみて下さい。
目次
Webマーケティングにおける分析の役割
Webマーケティングにおける分析の説明に入る前に、Webマーケティングにおける分析の役割について説明します。
Webマーケティングにおいて分析は道しるべの役割を担います。
なぜならば、Webマーケティングの施策は全て分析から始まるからです。
例えば、SNSを始めようと思ったとしても、「どのSNSを行うべきか」「誰に対して何を発信するのか」「競合企業はどのようにやっているのか」等の分析を行ってから実際に具体化していきます。
また、実際にSNSを行ってみてどうだったのか?という結果の分析も行い、次の施策に繋げていきます。
このようにWebマーケティングは施策を行う前、行った後に必ず分析して、次の施策に繋げる作業を繰り返し行います。
分析はとても重要な工程です。
これからWebマーケティングにおける分析方法を説明していきますので是非参考にしてみて下さい。
Webマーケティングにおける現状分析
Webマーケティングは、課題解決の手段であったり、バズるコンテンツを作って集客したりする手段です。
現状を知らなくては何も始まりません。
現状を把握することで、自社が行うべき施策の方向性が決まります。
方向性が決まらなくては、施策の企画が難しくなるので、Webマーケティングにおいて現状分析は重要です。
3C(フレームワーク)を使った分析
Webマーケティングの分析は、3Cを使った現状分析が効果的です。
3Cを使えば、「顧客」は何に困っているのか、それを「競合」はどのように解決しているのか、「自社」の強みは何なのか、を知ることができます。
例えば、「顧客」が結婚式場を探しており、「競合」は相場より安価なプランを打ち出しているとします。
「自社」は親身になってヒアリングを行い、相談・提案を行う所が強みだとします。
この場合は、価格を全面に打ち出すより、元々顧客が抱えていた課題と、実際に「自社」が提案した内容、その結果どう解決されたかを事例化したコンテンツを発信するといいでしょう。
3C分析とは、企業のマーケティングなどにおいて、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の観点から市場環境を分析し、経営戦略上の課題を導く手法で、必ずと言っていいほど使われるフレームワークです。
自社と競合との位置関係を可視化し、顧客を具体化することによって解決すべき課題の発見や、目指すべき姿が見えてきます。
まずは、自社と競合の分析方法から解説します。
競合企業をセレクトする際、最低でも3社はピックアップしましょう。
競合企業を選び終えたら下記チェックリストを活用して、「自社」「競合」をそれぞれ埋めていきましょう。
上記を行えば、競合企業にどこが勝っているかが分かります。
反対に競合企業の強みも理解できるので今後の施策展開にも大いに活用できます。
続いて、顧客の分析方法です。
こちらは2つの方法をご紹介します。
1つ目は、「インターネット調査」です
今の時代は顧客があらゆる媒体で商品やサービスの体験談を発信しています。
それを集めて分析する方法です。
オススメなのは、「Yahoo!知恵袋・教えてgoo!」、「キーワードプランナー※1」やTwitterで「商品名・サービス名+買った(使った)/行った」などで検索することです。
例えば、Twitterを使った調査で、
- 競合の「商品名(サービス名)+買った(使った)」で調べる
- 1で出てきたアカウントの「プロフィール」や「投稿」「いいね」を見る
- 2の内容をまとめて、どのような人なのかを具体的にする
こちらは、商品名だけでなく、競合が実施しているキャンペーンに反応している人でも同様の調査が役に立ちます。
実際に、
- 競合が投稿しているキャンペーンTweetを”リツイート”している人や”いいね”しているアカウントを調べる
- 1のユーザープロフィールを複数見る
- 共通している項目を探す(例えば、「フリーランス」など)
このように、上記を行うと、競合サービスを使っているユーザーや興味を持っているユーザーがどのような人なのかが分かります。
自社でも同じことを行えば、競合と自社の顧客の違いが浮き彫りになってきます。
この内容を元に、自社のマーケティングの戦略や施策を企画すると良い施策に繋がりやすくなります。
2つ目は、「顧客アンケート/インタビュー調査」です。
こちらもよく行われる手法で、メルマガ登録者に対して「アンケート回答依頼」のメールを送ったり、実際に顧客に対してインタビューして調査します。
実際の例を説明します。
アパレルブランドを運営している企業が新たにコスメブランドを立ち上げようとしており、そのブランドの内容を固めるために自社の顧客にWebでアンケートを実施するとします。
この場合、下記のように進めます。
- コスメブランドの想定ターゲットに近しい顧客をリストUPする
- 1にて、年間の購入回数毎に顧客を振り分ける(〜1回/2〜4回/5回以上など)
- 2にて、各購入回数の区分毎でランダムに対象者を抽出する
- 3に対して、アンケートをメールで送り回答を集計する
※回答数があまりにも少なすぎると、アンケート結果に偏りが生じ正しい調査にならないため、最低でも30の回答数が集まるように合計の対象者数を調整しましょう。
そしてアンケート結果は、広告のクリエイティブに活用できたり、コスメ商品のパッケージなどに活用します。
例えば、アンケート結果にて、コスメを買う時に重視している点で、「商品のデザイン性」が上位に来ていれば、そのターゲットユーザーに刺さるデザインにしなくてはいけません。
このように、実際に顧客に聞いてみることで顧客が求めていることを知ったり、インサイトを把握し、マーケティング施策に繋げていきます。
※1Google広告の配信に使うキーワードについて調査できる無料ツールです。
Google Analyticsで自社の現状を知る方法
Webサイトの分析を行い、自社の現状を知る方法を説明します。
今回はGoogle Analyticsを活用した分析方法をご紹介いたします。
Google Analyticsは、Googleが無料で提供するWebページのアクセス解析サービスでWebマーケティングの分析には必需ツールです。
また、基本的にWebマーケティングの施策はWebサイトに集約されることになるので、Webサイトを分析することは現状を知る上では欠かせない作業です。
サイトの訪問者数を見る方法
Google Analyticsにログイン後、下記画像の赤枠を順にクリックします
- 「集客」
- 「すべてのトラフィック」
- 「チャネル」
チャネルを見ることでサイトへの流入経路を把握できます。
右上の黄色枠で見たい期間を選択することができ、左下の黄色枠では、どこからWebサイトに来たのかの流入元が分かります。
ここで自社のサイトに訪問しているユーザーはどこから来ているのかを把握します。
オススメの方法としては、直近1年3ヶ月分のデータを月毎にExcelにまとめて、各月行った施策とあわせて可視化します。
1年3ヶ月にする理由は、対前年比を見るためです。
Webマーケティングの施策は、成果が出るまでに時間がかかったり、外部要因で簡単に変動します。
3年分の月毎の数値を見れば大体の1年間のサイト訪問者数の流れが掴めます。
また、施策毎に、「どれくらいの期間」で「どれくらいの成果」が出るかも把握できます。
キーワード毎の訪問者数を分析する方法
Webマーケティングには色んな施策が存在しますが、「検索」は、ユーザーが明確な意図を持って行った行動の一つです。
非常に参考になることも多く、改善することで得られるインパクトも大きいので今回はキーワード毎の分析方法に絞ってご説明します。
Google Analyticsにログイン後、下記画像の赤枠を順にクリックします。
- 「集客」
- 「Search Console」
- 「検索クエリ」
※但し、GoogleサーチコンソールとGoogleアナリティクスの連携を行っている必要があります。
これで自社サイトに訪問したユーザーがどのような検索キーワードで流入してきたかが分かります。
左の黄色枠で実際の検索キーワードが分かります。
また、右の黄色枠で平均の掲載順位が分かります。
ここで行う分析としては、現状「自社はどのキーワードに強みがあるのか?」と「どのキーワードが弱いのか?」を知ることです。
検索クエリの中で平均掲載順位が高いものから自社が強いキーワードが分かります。
反対に、平均掲載順位が低いものは弱い(改善の余地あり)と判断できます。
サイト訪問者の時と同様に月毎に「検索クエリ」「表示回数」「クリック率」「クリック数」「平均掲載順位」をまとめると分かりやすいでしょう。
更にここでは、上記で説明したキーワードプランナーを活用して、キーワードの検索数を調査します。
「平均掲載順位が低い(3位以下)」且つ「検索ボリュームが多い」部分が自社が弱いキーワードで改善すればインパクトが大きい箇所です。
平均掲載順位が低いキーワードの検索ボリュームを調べてみるといいでしょう。
また、クリック数が多いキーワードに何か共通している特徴がないかを見てみることもオススメです。
自社のサイトを見てくれているユーザーが何を求めているのか、何に価値を感じてくれているのかが分かることがあります。
これが分かれば今後制作するべき記事や、実施する販促にあたりがつけやすくなります。
例えば、大阪で、植木屋の事業を行っている企業で、「大阪 植木屋」「観葉植物 おすすめ」のキーワードが多くクリックされているとします。
共通していることを探すと、「比較」「リサーチ」などの用途で使われていることが分かります。
これを元に施策を企画すると、例えばInstagramで、観葉植物をまとめたコンテンツを作ったり、動画コンテンツで大阪の植木屋の紹介を発信するといった施策が考えられます。
このように、自社サイトの全体を把握し、キーワード毎の分析を行うことによって、自社サイトの年間通しての全体の流れと、”強い”キーワードと”弱い”キーワードを知ることができます。
それによって取り組むべき課題、伸ばしていくべきポイントが明確になります。
是非参考にしてみて下さい。
Webマーケティングにて実施済みの施策を分析する方法
Webマーケティングにて実施済みの施策を分析する方法をご紹介します。
今回は、狙ったキーワードから成果が出ているかの分析方法をご紹介します。
Webマーケティングの施策で言うと、「リスティング広告」「SEO」が該当します。
下記チェックリストで分析を行ってみて下さい。
◻SEO対策で上位表示が取れている。
◻狙っているキーワードが適切である。
◻ SEO対策で狙うページが作られている。
◻リスティング広告で広告文が適切である。
◻ リスティング広告で除外キーワードを適切に設定している。
◻リスティング広告で狙うエリアを適切に設定している。
◻リスティング広告でキーワードの設定が適切である。
◻目標CPAが適切である。
◻ブログ・オウンドメディアページからの適切なCTAがある。
- SEO対策で上位表示が取れている。
検索エンジンで、実際のキーワードを検索した結果を見ます。 - 狙っているキーワードが適切である。
「検索ボリューム」「記事などのクリックからのCV数」などの数値を見てみて下さい。 - SEO対策で狙うページが作られている。
キーワードとその遷移先の親和性を見てみて下さい。(対象キーワードが遷移先のページ内に含まれており、その内容が繋がっているか?) - リスティング広告で広告文が適切である。
リスティング広告の「クリック率」や「CVR」を見てみて下さい。 - リスティング広告で除外キーワードを適切に設定している。
リスティング広告にて、キーワード毎の「imp数」「クリック率」「CVR」を見てみて下さい。 - リスティング広告で除外キーワードを適切に設定している。
リスティング広告にて、キーワード毎の「imp数」「クリック率」「CVR」を見てみて下さい。 - リスティング広告で狙うエリアを適切に設定している。
リスティング広告にて、エリア毎の配信結果や、上記で説明している、キーワードプランナーでエリア毎の検索ボリュームを見てみて下さい。 - リスティング広告でキーワードの設定が適切である。
リスティング広告にて、実際の検索クエリ毎の配信結果を見てみて下さい。 - 目標CPAが適切である。
リスティング広告にて、全体の配信結果と商品・サービスにて許容できるCPAの見直しをしてみて下さい。 - ブログ・オウンドメディアページからの適切なCTAがある。
記事毎に申込みページなど求めている遷移がされているかを見てみて下さい。
Webマーケティングの個別施策ごとの競合分析について
続いては、Webマーケティングにおける施策ごとの競合分析です。
自社の施策を考えるにあたり、競合を知るのは重要です。
競合が強い部分に自社の弱い部分を当てても成果が期待できないからです。
実際に、競合がFacebook広告に強みを持っていて、自社はFacebook広告を実施したことがないとします。
Facebook広告で競合より多くの広告を表示させるには時間と多くのお金がかかったりします。
こういったことが起こり得るため、競合の強みを把握した上で自社が行う施策の方向性を定め、実行するのが堅実です。
競合が行った施策を分析する方法SEO編
基本的には、自社で上位表示ができていないキーワードで競合が上位表示できているキーワードを探していきます。
その後、そのキーワードで勝ち筋があるかを見極め、実際の施策につなげていくことができます。
今回は無料ツールを活用した実践方法をお伝えします。
まずは下記のような表を作成します。
そしてこのデータ内で、以下をチェックします
「検索数」が多くて、「自社の順位」が低く、「競合の順位」が高いキーワードを抽出する(上記表内の赤セル)
ここで赤く塗りつぶされたキーワードは「競合が強くて」「自社が弱い」キーワードです。
その後、1キーワードずつ競合の記事を見たり、ユーザーのニーズを分析して、自社でコンテンツが作れるかどうかを吟味しましょう。
その際の方法は、下記の通りです。
- 該当キーワードに対する競合の記事を見る
- その記事のターゲットは誰か?を明確にする
- 2の内容踏まえて、自社が行うべきかを考える(ターゲットを変更するもしくは、クオリティで上回れるか?を吟味)
ここで作れない(勝てない)と判断するのも大事な決断です。
そのためにも、上段で行った3C分析での自社の強みを頭に入れながら、この分析を行うとより本質的な施策への展開が可能です。
競合が行った施策を分析する方法Web広告編
続いて、Web広告の競合分析についてです。
分析の方法は、下記の通りです。
- セレクトした競合企業の”名前”や”商品・サービス名”で検索してみる
- リスティング広告を出しているか調べる(出していればスクリーンショットする)
※商品・サービス名だけではなく、一般的なキーワードでも検索してみましょう。
例えば、競合企業がアパレルECの場合、「Tシャツ メンズ」などで検索します。
一般的なキーワードで検索してリスティング広告を出していれば競合企業はそのキーワードを狙っていると考えられます。 - リスティング広告が出た時は、実際にクリックしてみる
- その他、InstagramやTwitterなどの他媒体に広告を出しているかを見る
※リターゲティング広告が配信されるかも見ると良いでしょう。もし配信されない場合はよりCVポイントに近いページまでいくと広告が出やすくなると思います。
上記を定期的に行っていると、自社で広告配信を行う時に、競合は「どの媒体」で「どんなクリエイティブ」で広告を出しているかを把握した上で自社の戦略が固められます。
競合との差別化を行いながら効率の良い広告配信を行うのに参考にしてみて下さい。
分析がゴールではない
最後に、分析を終えてからの話です。
Webマーケティングでは、分析がゴールではありません。
分析は次のアクションを決めるために行うため、分析をしたら次は何をするのかを決めます。
ここでは、どのようにして次のアクションを決めるのかを説明します。
次のアクションを決める方法
自社が行った施策をベースにアクションを決める方法です。
- 自社で行った施策を可視化する
- 1の施策の結果にて、目標達成の場合は◯/分からない場合は△/目標未達成の場合は×をそれぞれつける
- 2にて、”△”だった施策は一旦全部止める
- 2にて、”×”だった施策に関してやるかやらないかを決める
- 2にて、”◯”だった施策に関して、どうすればもっと成果が上がるのかを考える
実際の例で説明します。
大阪で、月間訪問者数10万人のリフォーム事業を行っている企業にて、「SEO対策」という施策があるケースです。
SEO対策というだけでは、◯か×の判断ができません。
そこで、SEO対策を行うことによって、「何が」「どうなるのか」を明確にする必要があります。
- SEO対策によって改善されるモノは何かを可視化する
例)「リフォーム 大阪」のキーワードで現状掲載順位8位だが3位を目指す。 - 1が改善されるとどうなるかを可視化する
例)順位が3位になると、月間訪問者数が+30%増加する - 2はどれくらいのインパクトなのかを明確にする
例)現状の問合せ率が3%だとする。
- 100,000人×130%=130,000人
- 130,000人×3%=3,900件
- 3,900件-3,000件=900件
上記のように、「SEO対策」は月間で問合せ数が増分で900件増える施策です。
このような形で具体的な数値にして、◯か×を決めていきます。
また、Webマーケティングにおいて、やることを明確にするのは重要ですが、それと同じくらいやらないことを決めるのが重要です。
理由は、Webマーケティングはできることが多いがために、とにかく色んな施策に手を出しがちです。
色んな施策を行い、力が分散してしまうよりも、成果が出る可能性が高い施策に集中して時間を使った方が成果は上がりやすいでしょう。
そのため、施策の効果が分からないものや、効果がでなかったものは止めるなどの判断をして、施策の数を減らします。
また、意外と重要になってくるのが、上記2で”×”が付いた施策です。
Webマーケティングにおいて、これを実施したら成功するといった内容をみつけるのは不可能です。
「これを実施したら失敗した」というデータはかなり貴重で、次のアクションを決める時、「前SEOでこんなことをしたら失敗した」というのがわかっていれば、その失敗を避けられ、結果成功確率を上げることができます。
まとめ
「Webマーケティングにおける分析をどうやってやればいいか分からない」「分析してみたがうまくいっているかがいまいちよく分からない」といった状況はよくあると思います。
今回の内容が少しでも皆様の参考になりましたら幸いです。