ペルソナとターゲットの違いとは?ペルソナの具体的な作り方も解説
マーケティングでよく言われるペルソナとターゲット。
どちらも商品を購入する顧客像の話なので、違いがわからないという人も少なくないでしょう。
この記事では、ペルソナとターゲットの違いから、ペルソナを設定する意味と、具体的なペルソナ作成方法をご紹介します。
目次
ペルソナとターゲットは何が違うのか
ターゲットとは、商品サービスのユーザー層
ターゲットとは自社商品・サービスにおける想定されるユーザー層のことを言います。
ターゲットの一例
- 30〜50代の主婦
- 20代のIT企業で働く男性
上記のように特定の属性を掛け合わせることでターゲットを作り出します。
ペルソナとは、自社の商品を買ってもらう具体的な人物像
ペルソナとは、自社の商品を買ってもらう具体的かつ典型的な人物像のことをいいます。
以下はペルソナの例です。
ターゲットでは、あくまでもユーザー”層”だったのに対して、ペルソナでは現実に存在するような1人の人間の情報を設定します。
年齢、性別、職業、住所、既婚未婚、家族構成、住居などの情報に加えて、その商品を購入するまでのストーリーなどの設定をします。
なぜペルソナを設定するのか
ターゲットがユーザー”層”であるのに対し、1人の人物像を描くペルソナは、かなり限定的になってしまうとも言えます。
では、なぜペルソナを設定する必要があるのでしょうか?
マーケティングの方向性を明確にし、共通認識を持つため
一つ目の理由として、マーケティング施策を行う際に会社や部署、チームなどで共通認識を保つためです。
広告のキャンペーンを打つ、ランディングページやホームページを制作するなど様々なマーケティング施策がありますが、それらを複数人で運用していく場合、複数人からの意見をまとめていく必要があります。
複数人から出る意見は「私はこうだと思う」「20代ならこれが好かれるはず」など偏った意見になってしまったり、一貫性が出せなかったりするケースが多くなります。
そこでペルソナを決めることで、「ペルソナなら、どう行動するか?」を軸に、話し合いができるようになります。
なお、わかりやすいように複数人でマーケティング施策を運用する場合の話を出しましたが、一人で運用する場合でも、このような考え方の軸を持っておくことは統一性を持った運用に役立つでしょう。
万人受けするものよりも、狭く深く追求したものの方が競合に勝てるから
ペルソナを設定し、その人ひとりが大満足するようなマーケティングを考えることで、狭く深く追求した施策を行うことが可能となり、そのペルソナに近いターゲットにおいて競合に勝つことができます。
というのも、スマートフォンの普及などにより情報が氾濫している現代において、顧客のニーズは多様化しており、万人受けする物は存在しないと言えます。
さらに、顧客が同業他社が作る商品・サービスと比較した時に、いかに選んでもらえるかということが重要となります。
例えば、ポテトチップスを開発する場合で考えてみましょう。
100人に試食をしてもらい、全員に「まあまあ美味しい」と80点程度の評価をもらえたとします。
100人に80点をもらえたなら良い商品だという感覚にもなりやすいですが、実際にはカルビーや湖池屋と言う競合がいる中で100人が80点のその新商品を買うかというと、買わない可能性が高いといえるでしょう。
それなら、100人中90人は50点だが、10人が100点をつけるような一風変わったポテトチップスを作るなどして、狭く深く追求した商品を開発した方が、競合に負けない商品開発ができると言えます。
※数字はあくまでもイメージです。
このように、ペルソナを設定することで狭く深く追求した商品開発・マーケティングが可能となり、ペルソナと近いターゲット層において競合に勝てるようになります。
ペルソナの作り方3ステップ
既存顧客がいる場合、実際にペルソナを作るときは、以下の3ステップで行います。
- 自社が保有する理想的な顧客をピックアップする
- 顧客本人、または営業や顧客担当にヒアリングを行う
- 必要な項目を埋めていく
1.自社が保有する理想的な顧客をピックアップする
既存顧客がいる場合は、自社にとって典型的かつ理想的な顧客を実際の顧客リストから探してみましょう。
実際に存在する人物を元に作ることで、より具体的かつ現実的なペルソナを作ることができます。
2.顧客本人、または営業や顧客担当にヒアリングを行う
1でピックアップした顧客から、詳しいペルソナを作るためには、その顧客本人にヒアリングするのが1番の理想です。
しかし、ペルソナ作成に必要な情報は個人情報となるため、顧客との関係性が深くなければ不快な思いを与えかねません。
そこで、顧客本人にヒアリングすることが難しい場合は、顧客と接点を持っている人にヒアリングしましょう。
顧客と接点を持っている人であれば、営業や雑談の中から得た情報をもとに、リアルなペルソナを作ることができるでしょう。
3.必要な項目を埋めていく
実際に顧客自身や営業担当に、ヒアリングしていくとしても、「何を聞けばいいのかわからない」となるかもしれません。
こちらはペルソナ設定の項目の例です。
■ペルソナの設定項目の例
- 年齢
- 性別
- 住所
- 職業
- 収入
- 既婚未婚
- 家族構成
- よく利用するSNS
- 情報収集時の端末
- ライフスタイル(趣味・休日の過ごし方・好きなもの・好きなお店等)
- 価値観(性格・考え方・お金の使い方・意思決定手段等)
- ニーズ
- 問題(課題等)
これらを参考にヒアリングを行ない、ヒアリングでわからない項目は想定で決めるなどしていきましょう。
ちなみにこの後のポイントでもお伝えしますが、ペルソナ設定で必要な項目は商品によって異なります。
自社に必要な項目は何かを考えながら埋めていくことをおすすめします。
既存顧客がいない場合はペルソナになりそうな人に調査をする
上記で紹介したペルソナの作り方は、既存顧客がいる場合の方法でした。
新規事業など、既存顧客がいない場合は理想の顧客になり得そうな人物にヒアリングを行いましょう。
どんなものを求めるのか、なぜ選ぶのかなどを聞くことは新規事業の方向性を決めるためにも大いに役立ちます。
この場合は、実際の顧客ではないので、数人にヒアリングをしてそこから情報をまとめると良いでしょう。
ペルソナを作る時のポイント
ペルソナ設定を作るときに、押さえておきたいポイントは以下の3つです。
1人に絞れない場合は3〜5人作る
ペルソナは1つの商品に対して1人でないといけないというルールはありません。必要に応じて3〜5人のペルソナを作りましょう。
例えば、30〜50代の主婦がターゲットの場合、30歳の主婦Aさんというペルソナを作っただけでは、ターゲット層のごく一部しかカバーできていないことになります。
その場合は、30〜50代の様々なパターンのペルソナを複数人作りましょう。
そして、実際にマーケティング施策にペルソナを活用する際には、その都度どのペルソナに向けた施策なのかを絞ります。例えば、今回の広告はAさんに向けたもの、といった具合です。
ただし、ペルソナが多すぎても軸がぶれやすくなってしまうため、多くても5人くらいに留めておくことをおすすめします。
非現実的な理想顧客にならないようにする
ペルソナは実際の顧客をもとに制作できたら一番良いですが、わからない部分は想定で作ることになります。
ここで注意しておきたいのは、ペルソナが理想的な顧客だからといって、非現実的な理想顧客にならないようにすることです。
あくまでも実際に存在するような設定にしましょう。
そのためにも、顧客本人への調査や営業担当へのヒアリングを可能な範囲で行うことをおすすめします。
マーケティング施策をする中で検証する
作ったペルソナを元にマーケティング施策をしてみたら、ペルソナに良い反応をもらえなかったり、逆に予想もしていなかったターゲット層から良い反応をもらえたりすることも起こり得ます。
そのような場合は最初に決めたペルソナに固執するのではなく、定期的にペルソナを見返して、より現実的でマーケティングに役立つ設定に作り替えていきましょう。
まとめ|ペルソナを活用し軸のあるマーケティングを行いましょう
本記事では、よく混合されがちなペルソナとターゲットの違いを解説し、ペルソナの具体的な作り方を紹介しました。
ペルソナをしっかり作っておけば、マーケティングを行う際に一貫性を持つことができ、顧客に刺さりやすい施策を打つことができるでしょう。
ぜひ本記事を参考に、ペルソナを作って活用してみてくださいね。