Instagram広告のシミュレーション方法は?計算方法を解説【シミュレーションシートも公開】
この記事では、Instagram広告のシミュレーション方法から確認するべき数値について解説します。
広告会社が実際に使っているシミュレーションシートや具体的な計算方法も紹介していますので、今後のInstagram運用の参考になれば幸いです。
目次
Instagram広告の費用対効果を高めるために「シミュレーション」が重要
Instagram広告の出稿前に、シミュレーションを行いどのくらいの効果が見込めるか確認しましょう。
事前にシミュレーションを行わないと、広告で見込める効果が予測できず、無駄にコストをかけてしまうリスクがあります。
例えば、広告のクリック数やリーチ数を予測できれば、広告設定の改善に役立てられます。また、広告の予算感を把握できるため、広告が配信される期間で発生する広告費の予測も可能です。
今回は3つの手法別にシミュレーションのやり方を解説していきますので、自社の状況や環境にあわせて、試してみてください。
1.有料の効果測定ツールを使用する
2.公式の広告マネージャーから確認する
3.スプレッドシートを使って計算する
1.有料の効果測定ツールを使用する
Instagramに特化した効果測定ツールの使用により、広告のシミュレーションが可能です。
例えば、Aistaというツールでは、以下の効果が期待できます。
- フォロワー推移など効果測定ができる
- Instagramキャンペーンの効果測定ができる
- 競合他社の動向も把握できる
またプレミアムプランの利用により、ハッシュタグ分析が可能になります。
ハッシュタグ分析では、Instagram広告に設定するハッシュタグ毎のエンゲージメント率や、想定最大リーチ数の確認が可能です。そのため、Instagram広告に設定する最適なハッシュタグのシミュレーション及び設定ができます。
エンゲージメント率は、Instagram広告に対してどのくらいの割合でユーザーがいいね・コメント・保存・シェアをしたか表した数値であり、以下の公式で算出できます。
(いいね数+コメント数+保存数+シェア数+広告をクリックをした人数)÷投稿のリーチ数
2.公式の広告マネージャーから確認する
広告配信で使用する広告マネージャーからも、広告のシミュレーションができます。もっとも簡単に確認できるシミュレーションと言っていいでしょう。
具体的には、設定した広告内容で1日にどのくらいのリーチ数やコンバージョン数が見込めるかシミュレーションが可能です。
注意点として、過去の予算や市場データなどに基づいて予測されるものであるため、大まかな予想値であることを認識しておく必要があります。
手順は以下の通りです。
順を追って紹介していきますので、管理画面を開きながら確認してみましょう。
①広告マネージャーにアクセスする
②キャンペーンを作成する
③広告設定をする
④シミュレーションを確認する
①広告マネージャーにアクセスする
まずは広告マネージャーにアクセスし、広告出稿の準備を行います。
広告出稿のトップ画面から、「広告を作成する」をクリックしてキャンペーンの作成を行います。
広告マネージャーでは、広告の出稿に専門知識は必要ありません。シンプルな操作でキャンペーンを作成し、結果はレポートで分かりやすく確認できます。
②キャンペーンを作成する
広告マネージャの「+作成」から、キャンペーンの作成が可能です。
まずは、以下の画面のように、キャンペーンの目的を認知やトラフィック、エンゲージメントなどから選択します。
選択後、具体的な広告の設定に移ります。
③広告設定をする
「キャンペーン名」と「カテゴリ」を選択し、「次へ」をクリックします。
その後、広告セット名や予算、掲載期間、オーディエンスを設定すれば、入力した項目によってシミュレーションが算出されます。
④シミュレーションを確認する
シミュレーションは、広告マネージャーの右側に「1日の推定結果」として表示されます。また、推定値はパフォーマンスの大まかな推定値のため、結果を保証するものではないことを認識しておきましょう。
また、予算、地域設定、年齢設定などを変更することでシミュレーションの数値が変わります。
例えば、東京の新宿区で飲食店を経営している企業の場合、新宿区に住んでいる人に向けた広告と、新宿区以外の地域に住んでいる都民に向けた広告でどのくらいコンバージョン数が異なるか確認できます。東京都内の場合、店舗のある新宿区の住民以外にも、他の区から来店する可能性が大いに考えられます。
アパレルブランドを展開する企業の場合は、年齢設定によってどの世代がもっともコンバージョン獲得に繋がるか検討ができます。
このように、複数の広告設定のパターンでシミュレーションを行うことで、最適な広告設定を探し出せます。
3.スプレッドシートを使って計算する
効果測定ツールや広告マネージャーを使わなくても、独自のスプレッドシートからシミュレーションすることが可能です。
なお、CTR(クリック率)やCPC(クリック単価)など、一部の数字は仮置きして出すかたちとなるため、過去の配信結果や相場感を理解している状態が望ましいです。広告代理店にシミュレーションを頼むと、独自の知見や同業他社の事例から、目安の数値を加味したうえで算出してもらえることもあるでしょう。まったく目安が分からない状態では、算出することが難しいかもしれません。すでに自社で広告運用経験のある企業や、広告代理店が実施する前提の方法としてイメージしましょう。
今回は4パターンの目標別に具体的な算出方法を紹介します。
・リーチ数目標から算出する
・クリック数目標から算出する
・コンバージョン数目標から算出する
・アプリインストール数目標から算出する
※用語参照※
・imp:表示回数(インプレッション)
・CTR:クリック率
・CPC:クリック単価
・CPM:1,000回あたりの表示単価
・CVR:コンバージョン率
・CV:コンバージョン数
本章で紹介している表は、スプレッドシート上でもご確認いただけます。
以下よりスプレッドシートを開き、「ファイル」>「コピーを作成」でご自身のスプレッドシートとしてコピーいただくか、「ファイル」>「ダウンロード」でご自身のパソコンにダウンロードいただくかたちでご活用ください。
※読み取り専用のため、そのままでは数値入力いただくことはできません。
シミュレーションのスプレッドシートはこちら
リーチ数目標から算出する
「月間〇〇万人に広告を見てもらいたい」というリーチ数目標を想定して、予算はいくら必要か算出します。なお、課金方式はインプレッション課金とします。
例:幼児向け知育玩具のEC。小さな子どものいる全国のママ層100万人に見てもらいたい
デバイス |
課金方式 |
ターゲティング |
月間広告費 |
配信目安量 (imp) |
推定 Click |
推定 CTR |
推定 CPC |
推定 CPM |
モバイル |
インプレッション課金 |
・性別:女性 |
¥500,000 |
1,000,000 |
25,000 |
2.5% |
¥20 |
¥500 |
【算出方法】
①小さな子どものいるママ層の想定CPMを過去事例などから仮置き。今回は500円とする。
CPMは1,000回あたりの単価のため、1回あたりの単価に直すと0.5円。
②100万リーチが目標のため、配信目安量は100impとして置く。
③100万imp×0.5円=50万円が必要であることが分かる。
④推定クリック率を2.5%として、クリック数は100万imp×2.5%=2.5万回となる。
クリック数目標から算出する
「自社サイトへ月間〇〇〇クリックを集めたい」というクリック数目標を想定して、予算はいくら必要か算出します。なお、課金方式はクリック課金とします。
例:全国の看護経験者をターゲットに、看護師向け求人サイトへ月間5,000クリックを集めたい
デバイス |
課金方式 |
ターゲティング |
月間広告費 |
配信目安量 (imp) |
推定 Click |
推定 CTR |
推定 CPC |
モバイル |
クリック課金 |
・性別:すべて |
¥5,000,000 |
1,666,667 |
5,000 |
0.3% |
¥1,000 |
【算出方法】
①看護求人の想定CTRとCPCを過去事例などから仮置き。今回は0.3%と1,000円とする。
②5,000クリックを獲得したいため、推定Clickは5,000で置く。
③5,000クリック×1,000円=500万円が必要であることが分かる。
④5,000クリック÷0.3%で逆算し、表示回数は約166万impとなる。
コンバージョン数目標から算出する
「月に〇〇件の購入を獲得したい」というコンバージョン数目標を想定して、予算はいくら必要か算出します。なお、課金方式はクリック課金とします。
例:実店舗の英会話教室で、大阪市のビジネスパーソンをターゲットに月に10件の成約を獲得したい
デバイス |
課金方式 |
ターゲティング |
月間広告費 |
配信目安量 (imp) |
推定 Click |
推定 CTR |
推定 CPC |
推定 CVR |
推定 CV |
モバイル |
クリック課金 |
・性別:すべて |
¥428,571 |
71,429 |
1,429 |
2.0% |
¥300 |
0.7% |
10 |
【算出方法】
①英会話教室の想定CVRを過去事例などから仮置き。今回は0.7%とする。
②10件の成約を獲得したいため、推定CVは10件で置く。
③10件÷0.7で逆算し、クリック数は1,429件必要となる。
④推定CTRが2.0%の場合、1,429クリック÷2.0%=約7万impとなる。
⑤推定CPCが300円の場合、1,429クリック×300円=約42万円が必要であることが分かる。
アプリインストール数目標から算出する
「アプリを月間〇〇件インストールしてもらいたい」というアプリインストール数目標を想定して、予算はいくら必要か算出します。なお、課金方式はインプレッション課金とします。
例:18歳以上の日本全国のユーザーを対象に、登録無料の健康管理アプリのインストールを月200件獲得したい
デバイス |
課金方式 |
ターゲティング |
月間広告費 |
配信目安量 (imp) |
推定 Click |
推定 CTR |
推定 CPC |
推定 CPM |
推定 CVR |
推定 CV |
モバイル |
インプレッション課金 |
・性別:すべて |
¥400,000 |
1,333,333 |
20,000 |
1.5% |
¥20 |
¥300 |
1.0% |
200 |
【算出方法】
①健康管理アプリの想定CVRを過去事例などから仮置き。今回は1.0%とする。
②200件のインストールを獲得したいため、推定CVは200件で置く。
③200件÷1.0で逆算し、クリック数は2万件必要となる。
④推定CTRが1.5%の場合、2万クリック÷1.5%=約133万impとなる。
⑤推定CPMが300円として、1回あたりの表示単価は0.3円
⑥約133万imp×0.3円=40万円が必要であることが分かる。
⑦40万円÷2万クリックでCPCが20円と算出できる。
Instagram広告の配信後のシミュレーションとの比較方法
Instagram広告の配信後は、事前に行ったシミュレーションと比較しましょう。シミュレーションとの比較により、次回以降の広告設定の軌道修正に役立ちます。
具体的には、シミュレーションよりも数値が下がった指標がないか確認します。下がっている指標は、広告のパフォーマンスを上げるために改善が必要な指標になります。
例えば、リーチ数が想定より大幅に下がっている場合は、リーチ後のフォローやコンバージョンの数値も下がってしまうリスクがあります。
次の広告でシミュレーション通り、もしくはシミュレーションよりも数値が高くなるように改善を進めましょう。
また、リーチ数が低くなった原因としては、以下のことが考えられます。
- 予算が適切な設定でなかった(低かった)
- ターゲティングを細かく設定していた
このように、シミュレーションで下がった数値を確認し、その原因と改善方法の検討により、費用対効果の高いInstagramの広告配信に繋がります。
シミュレーションを活用してInstagram広告の効果を最大化しよう
Instagram広告のシミュレーションを事前に行うことで、費用対効果の高い広告の実施に繋がります。
またシミュレーション方法は複数あるため、分析ツールの検討や実際に手を動かすことで、自社に最適な方法を検討しましょう。
加えて、運用目的に応じて確認すべき数値は異なるため、自社が目指すべき目標と追うべき数値を明確にし、運用を進めていきましょう。