カスタマーサクセスのKPIについて11項目を徹底解説!

サブスクリプション型のビジネスが増えてきている現代では、カスタマーサクセスを採用する企業が増えています。

また、カスタマーサクセスの業務プロセスごとに目標数値であるKPIを設定し、その数値を追いかけることが一般的となっています。

この記事では、カスタマーサクセスにおけるKPIとはどんなものがあるのか、徹底的に解説していきます。

KPIとは?

KPIとは、”Key Performance Indicators” の略語で、「重要業績評価指標」を意味します。事業の目標達成に向けた組織のパフォーマンスを、プロセスごとに細分化して計測して評価できる仕組みを指します。もし、目標値とかけ離れた数値が計測された場合は、当初想定した方向に向かっていないことを意味しているため、活動の方向修正が必要になってきます。

今回解説するカスタマーサクセスにおけるKPIは以下の11項目です。

カスタマーサクセスにおけるKPIの設定

カスタマーサクセスは、既存顧客と密にコミュニケーションをはかり、顧客さえも気づかなかったニーズや課題を浮き彫りにして解決へと導く部隊として誕生しました。

しかし、顧客に対してどのようにアプローチしていけばよいのか、また何を提供すべきなのかを明確にするには、部門内で一定の水準を取り決める必要がありました。

そこで、業務のプロセスごとに指標を設定し、それぞれKPIとして目標値を設定することで、現在どのような状態であるかを可視化するようにしました。

まるで、計測器のような役割を果たすのがKPIです。

もし、設定したKPIから数値が大きく逸脱している場合、当初イメージしていた方向からずれているため、方向を修正しなければなりません。

業務のプロセスごとにKPIを設定するため、問題の箇所を特定しやすく修正が早いため、ビジネスを成功に結びつけるには欠かせない存在なのです。

それでは、カスタマーサクセスにおけるKPIについて、それぞれ解説していきます。

1、解約率(チャーンレート)

解約率とは、顧客が自社商品やサービスの利用を解約する割合のことです。カスタマーサクセスの業務において、最も重要視されるKPIです。

なぜなら、携帯電話サービスや、電気やガス、動画の視聴サービスなどのサブスクリプションビジネスのような、月額で利用する商品やサービスの最大のリスクは、利用の解約だからです。

解約率が高く、全体の契約数が増えるほど、新規顧客の獲得を行う必要があります。

例えば、1000社契約していて解約率が月間2%となると、毎月20社の契約を取らないと1000社の維持はできません。毎月50社づつ契約を増やすとなると70社以上取り続ける必要があります。

解約率の算出方法は2つあり、顧客数からみた解約率を「カスタマーチャーン」、売上額からみた解約率を「レベニューチャーン」といいます。

【計算式】

  • カスタマーチャーン=解約数÷契約顧客数
  • レベニューチャーン=(サービス単価x解約数)÷売上

2、オンボーディング完了率

オンボーディング完了とは、顧客が商品やサービスの利用方法を理解し、定着するまでの状態を意味します。もともと、船や飛行機に乗客が乗り込むことを「オンボーディング」というところからきています。

サブスクリプションビジネスにおけるオンボーディング完了の状態とは、例えば、スマートフォンのゲームアプリで、アプリをダウンロードしてチュートリアルと呼ばれる操作の説明が終わり、実際にゲームをスタートさせた状態をオンボーディング完了とするケースが多いです。

サービスを契約したばかりのモチベーションが高いうちに、継続してサービスを利用してもらう施策をすることで、解約率を下げる施策を打ち出すのです。

【計算式】

  • オンボーディング完了率 = オンボーディングが完了した企業数 ÷ オンボーディング期間の全企業数

3、アップセル・クロスセル率

アップセルとは、自社の既存顧客に対して、現在使用しているサービスより高価で上位のサービスを提案し、契約してもらうことを指します。一方クロスセルは、他のサービスや商品を提案し契約してもらうことです。

既存顧客に対して良好な関係を築き、新たな受注へとつなげる営業手法は以前からありました。しかし、サブスクリプション型のビジネスが普及するにつれ、顧客の単価を上げるためにアップセル・クロスセルという手法があらためて注目されています。既存顧客とコミュニケーションを図りながら、顧客自身も気づいていなかった潜在ニーズをヒアリングの中から引き出し、上位サービスや他の商品を提案するのです。

【計算式】

  • オンボーディング完了率 = オンボーディングが完了した企業数 ÷ オンボーディング期間の全企業数

4、LTV

LTVとは、”Life Time Value” の略称で、日本では「顧客生涯価値」と呼ばれています。顧客生涯価値とは、顧客が自社と取引を始めてから終了するまでの期間に、どれだけ利益をもたらしてくれたかを算出したものです。

なぜLTVが重要視されているかというと、サブスクリプション型のビジネスが急増している現代において、1:5の法則にもあるように、新規顧客の開拓には、顧客との接点を作り出して売上に結びつけるまでには、多大なプロセスと時間、コストがかかってしまいます。新規顧客を開拓するよりも、既存顧客ほど利益をもたらす率が高いことが分かっているからです。

新規顧客の開拓には、顧客との接点を作り出して売上に結びつけるまでには、多大なプロセスと時間、コストがかかってしまいます。

一方、既存顧客の場合、良い関係を維持していけば継続的にサービスを利用してくれたり、他の顧客を紹介してくれたり、アップセルやクロスセルにて他の商品やサービスを追加で契約してくれたりする可能性があります。新規顧客開拓に比べ、かけるコストが少ないため、既存顧客との関係性を数値化する目的として、LTVが重要視されるようになりました。

【計算式】

  • LTV=顧客の平均単価×平均購買頻度×平均継続期間
  • LTV=顧客の年間取引額×収益率×顧客の継続年数
  • (売上高-売上原価)÷購入者数
  • LTV=顧客の平均単価×平均購入頻度×粗利率÷解約率

5、NPS®

NPS®とは、”Net Promoter Score” の略称で、サービスや商品、また開発した企業に対する顧客の信頼度や愛着度を示す指標です。サービスを利用した顧客が、自分の家族や友人にサービスや企業そのものを勧めたいと思う度合い、いわゆる『顧客ロイヤリティ』を数値化したものです。

顧客ロイヤリティを向上させることで自社のファンを増やし、顧客自らSNSなどで自社や商品を拡散してもらうことも期待できます。

LTV「顧客満足度」と混同される場合がありますが、両者の違いは、LTVは顧客が『現在』満足しているかどうかを数値化したものに対し、NPS®は『今後』他者へすすめたいかどうかの『未来の行動』を数値化したものです。したがって、NPS®は今後の収益性を予測する目的で使用します。

計算方法は、利用中の顧客から10点満点でアンケートをとり、以下 3 タイプに分類して自社サービスとの相性を数値化します。

◉推奨者(10~9 点):サービスに満足している人。家族や知人へ自社について好意的な話しを広げてくれる。

◉中立者(8~7 点) :良くも悪くもどちらでもない、受け身な人。他に魅力的な商品があれば乗り換える。

◉批判者(6~0 点) :サービスを利用してハッピーになれなかった人。自社の否定的な口コミを広げることも。

【計算式】

  • NPS® = 推奨者全体の割合 - 批判者全体の割合

6、NRR

NRRとは、”Net Retention Rate” もしくは、”Net Revenue Retention” の略語で、売上継続率を指します。

既存顧客がどれだけ継続してサービスを利用しているかを可視化することが目的で、数値が100%を上回っていれば、アップセルやクロスセルなどの効果により、売上が向上していることを表します。

逆に、100%を下回っていれば、業績が伸びている企業ほど、NRRが高くなる傾向があります。

【計算式】

  • NRR = (月初のMRR + Expansion MRR) -(Downgrade MRR – Churn MRR)÷月初の合計MRR

【用語説明】

  • MRR:Monthly Recurring Revenueの略で「月次経常収益」のこと
  • 月初のMRR:前月から継続して契約更新したユーザーからの収益
  • Expansion MRR:アップグレードなどにより前月よりも取引額が増えた既存顧客から得られるMRR
  • Downgrade MRR:継続ユーザーが月額プランを下げたことによる減収
  • Churn MRR:サービスを解約したユーザーが減った分の収益

7、CSAT

CSATとは、”Customer Satisfaction” の略称で、「顧客満足度」という意味になります。顧客が商品やサービスにどのくらい満足をしているかを数値化したものです。

測定方法は主に顧客へのアンケート調査により情報を収集します。

商品やサービスの満足度を「満足できなかった」〜「普通」~「非常に満足した」のように5段階に分けてアンケート調査をします。5段階中、4・5の回答を集計し、以下のように算出します。

【計算式】

  • CSAT(%) = 4または5と回答された数 ÷ 調査への回答者 × 100

8、CSQL

CSQLとは、”Customer Success Qualify Lead” の略称で、「カスタマーサクセスの活動により生まれ、一定基準をクリアしたリード(見込み顧客)」のことを指します。

上述した通り、新規顧客を獲得するよりも、既存顧客から発掘する方が見込み顧客を獲得する確率は高いです。カスタマーサクセスで既存顧客との信頼関係を築き、受注確度の高いリード(ホットリード)を生み出し売上に貢献します。効率的にホットな見込み顧客を発掘できるため、近年はカスタマーサクセスで重要視されるKPIの一つです。

【算出方法】

  • 自社で取り決めた基準をクリアした『ホットリード数』を算出します。

9、アクティブユーザー数

アクティブユーザー数とは、決められた期間内に自社サイトなどに1回以上のセッションがあったユーザー数のことです。Googleアナリティクスで、サイトを使用しているユーザーの数が把握でき、デイリー、ウィークリー、マンスリーごとに解析が可能です。

【算出方法】

  • Googleアナリティクスでアクティブユーザー数を計測する

10、セッション期間

セッション期間とは、顧客が自社サイトやアプリへセッションしている期間のことを指します。顧客が自社の商品やサービスに対する依存度を計るためのKPIです。セッション期間が長いほど、顧客のサービスに対するニーズが高いと判断できます。

【算出方法】

  • Googleアナリティクスを活用し計測する

11、クチコミ・顧客からの紹介数  

カスタマーサクセスは、顧客に自社商品やサービスを利用し成功を体験してもらうことで、他のサービスや上位商材の受注につなげることが役割です。したがって、顧客がサービスを良いと感じてもらうことで、他の顧客へ紹介してもらったり、自社サイトや他のサイトでプラスのクチコミを書いてもらったりした数も、KPIとするべきでしょう。

【算出方法】

  • 自社サイトのクチコミを計測する
  • あらかじめ大手口コミサイトを選定しておき、クチコミ数を計測する

カスタマーサクセスのKPIを人事考課につなげるには

適切なKPIを設定することで、組織や個人の目標が明確になります。人事考課には公平性と透明性が求められ、適正に評価することで社員のモチベーションが向上します。人事考課において、社員個人の目標設定の前に、部門の目標を先に決める必要があります。それぞれ解説していきます。

 

KGIの設定

KGIとは、”Key Goal Indicator” の略称で、「重要目標達成指標」という意味を指します。KPIとの違いは、KPIが目標を達成させるまでのプロセスごとの目標値であることに対して、KGIは最終目標となります。KGIは言わばカスタマーサクセス部門の最終目標となります。期初に部門のKGIを設定し、その後業務プロセスごとにKPIを設定し、さらに個人の目標を立てていくことになります。

 

KSFの設定

KSFとは、”Key Success Factor” の略称で、日本語で「重要成功要因」という訳になります。KPIとの違いは、KPIは組織が向かっている目標を数値化し、方向性が間違っていないかを常に計測しているのに対し、KSFは組織が目標達成するためにするべきことを意味します。

それぞれ一言で整理すると、KGIは最終目標、KPIは中間目標、KSFは目標達成のためにやることとなります。

部門のKPIから社員の人事評価へ

部門のKPIが設定されたら、次に個人レベルにブレイクダウンしてアクションプランを設定します。しかし、ここで個人レベルまでKPIを設定する必要はありません。なぜなら、部門のKPIを追いかけることに注力する必要があり、個人レベルまでKPIを設定してしまうと管理が煩雑になってしまうからです。

それでは計測したKPIは、どのようにして社員の人事評価へつなげるのでしょうか。

2020年のHiCustomer社の調査によると、カスタマーサクセスを採用している企業の45%が、1チームあたり2~5人と最も多く、次いで20.7%の企業が6~10人、1人と答えた企業は9.3%でした。したがって、全体の90%以上が複数名でカスタマーサクセス部門を動かしていることになります。

なお、カスタマーサクセス部門では以下のようなスキルが求められます。

  1. 顧客とのコミュニケーションスキル
  2. 社内でのコミュニケーションスキル
  3. 顧客との関係を構築するスキル
  4. KPIを元にした情報分析スキル
  5. KPIを計測し改善方法をイメージできるスキル
  6. KPIを分析し仮説を立てるスキル
  7. 業務設計・企画立案のスキル
  8. ユーザーコミュニティの運営スキル
  9. サービスに関する使用方法などの顧客支援・サポートスキル

カスタマーサクセスの業務は、上記のように複数のスキルが求められます。多人数でカスタマーサクセスを運用している企業は、それぞれの業務に対して担当者を専任して運用していることでしょう。

今回ご紹介したKPIを専任で担当しているメンバーは、計測したKPIを分析したり、KPIを元に仮説をたてたり、改善案を立案したりできるかどうかが、人事評価のポイントとなります。

カスタマーサクセスKPIの運用に適したツール3選

カスタマーサクセスのKPIを運用するために、最適なツールを3つご紹介します。

LTV最大化・チャーン(解約)の防止に強いツール

HiCustomer(ハイカスタマー )

○特徴

  • データ集計・状況把握を効率化
  • タイムリーに解約、アップセル兆候をお知らせ
  • 打ち手の結果を分析し、再現性を実現
  • PDCAサイクルを仕組み化し、精度の高い打ち手が可能に

○料金 

  問い合わせ

○ホームページ

  https://hicustomer.jp

解約率を下げてアップセルやクロスセルを促進するツール

■coorum(コーラム)

○特徴

  • 既存顧客向けのナレッジサイトをノーコードで構築可能
  • 顧客に訴求したいコンテンツやイベントを一元管理
  • 顧客の行動履歴を分析する事により、解約や満足度UPの要因を可視化

○料金

  問い合わせ

○ホームページ

  https://coorum.jp

顧客満足度の計測が可能なツール

Tayori(タヨリ)

○特徴

  • フリープランがあり無料でスタートが可能
  • 直感的な操作性で導入が簡単でスムーズ
  • 他部署にも使用可能:営業、企画マーケティング、情報システム他

○料金

  • フリープラン:無料
  • スタータープラン:3,400円/月
  • プロフェッショナルプラン:7,400円/月

○ホームページ

  https://tayori.com

まとめ

サブスクリプション型のビジネスが急増している昨今、営業の手法も変わってきました。営業部門の目標値として、売上だけを追いかけている企業も多いでしょう。しかしカスタマーサクセスでは、部門の売上目標であるKGIを達成するために、業務プロセスごとにKPIを設定し、方向性に間違いがないかを常に計測します。設定した数値と大幅に乖離が生じた場合は、そのプロセスに問題があるとひと目で分かり、原因究明と業務改善が速くなるという絶大なメリットがあります。

この記事が、カスタマーサクセス部門を立ち上げる際の参考になれば幸いです。

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