カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いを5分で解説
カスタマーサクセスとカスタマーサポートを同じ意味でとらえている人もいますが、両者は全く別の役割を担う部門です。顧客に対してアクションをするという意味では同じなのですが、目的や役割、対応するスピードや行動するトリガーなど違いは様々です。この記事では、両者の違いにフォーカスし、わかりやすく解説していきます。
目次
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの役割には明確に違いがあります。なぜなら、カスタマーサクセスは顧客の課題を先回りして成功へ導くことが役割で、カスタマーサポートは、顧客から提示された疑問や不安やトラブルを迅速に対応するのが役割だからです。
そのほかの違いについて、表にまとめました。
※1 解約率: サブスクリプションビジネスにおけるサービスの解約率
※2 オンボーディング完了率: 顧客がサービスを導入してから内容を把握し定着する率
※3 アップセル率: 上位クラスのサービスへのアップグレード率
※3 クロスセル率: 他の自社サービスの追加契約率
このように、カスタマーサクセスとカスタマーサポートの目的や役割は違いが明確です。
カスタマーサクセスが向いているビジネス
カスタマーサクセスの導入が適しているのは、月額制で商品やサービスを顧客が所有せずに利用したり、体験したりするサブスクリプションビジネスです。
なぜなら、上述した解約率や、アップセルやクロスセル率などのKPI(目標指数)を追いかけることで、LTV(顧客生涯価値)の向上を図り、最終的には自社の利益や売上を向上させるというスキームに最適なビジネススタイルだからです。
BtoCビジネスでは、映画や音楽などもサブスクで提供されるようになりました。車や服、カバンやアクセサリーなどもサブスクリプションサービスで使用できるサービスが年々増加しています。
BtoBビジネスでは、クラウド系サービスの普及でソフトウェアであるSaaS(Software as a Service)系の商材が主流になってきました。
このようなサブスクリプションサービスが年々増加していることもあり、それによってカスタマーサクセス部門を導入する企業が増えてきています。
カスタマーサポートが向いているビジネス
カスタマーサポートの導入が向いているビジネスは、自社商品やサービスに対して比較的多くの問合せが発生するビジネスです。
例えば、携帯電話のサービスは料金プランが分かりにくく、新しい料金プランも次々と登場します。また、顧客の争奪戦が活発に行われており、携帯番号をそのままで携帯キャリアの乗り換えが可能なナンバーポータビリティなどのサービスもあります。自分でインターネットで手続きができる人もいますが、分からない人は電話での対応を求めます。このような、人が介在しなければ分かりにくいサービスや商品を取り扱う企業には、カスタマーサポート部門の導入が必須です。
カスタマーサクセスに求められるスキル
カスタマーサクセスの担当者には、以下のようなスキルが求められます。
顧客とのコミュニケーション能力
カスタマーサクセスの担当者は、いかに顧客と密にコミュニケーションがとれるかが問われます。なぜなら、顧客が自社製品やサービスを利用して成功を体験してもらうことで、継続してサービスを使用してもらう必要があるからです。
また、以下にあげるような問題点や課題をヒアリングするためのコミュニケーション能力が必要となります。
顧客の抱える問題点を明確化する能力
カスタマーサクセス部門は、顧客自身が気づいていなかったニーズや問題点を深堀りし、明確化する能力も必要とされます。それにより、自社サービスの上位商材を提案するアップセルや、他の自社サービスを提案するクロスセルを実施することで、顧客の課題解決を実現し、同時に自社の売上に貢献します。
社内でのコミュニケーション能力
カスタマーサクセスの責任者は、社外だけでなく社内でのコミュニケーション能力も問われます。理由は、アップセルやクロスセルで解決できなかった顧客の問題点をクリアするための、新しい商品やサービスを開発するため、開発部門へその提案をする必要があるからです。
また開発部門だけではなく、インサイドセールスや時にはマーケティング部門とも情報を共有できるコミュニケーション能力が必要です。
カスタマーサポートに求められるスキル
カスタマーサポートで働くメンバーには、以下のようなスキルが求められます。
問合せに対するスピーディーな対応
カスタマーサポートは、自社の商品やサービスに関する問い合わせ対応が主な業務です。電話をしてもオペレーターへなかなかつながらないことは、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。そのような状況の場合、オペレーターへつながった頃にはイライラしてしまう顧客もいるでしょう。そのような顧客へはとくにスピーディに対応しなくてはなりません。
また、サポートセンターの電話がフリーダイアルでない場合、通話料は顧客が負担することになります。したがって、的確でスピーディな対応スキルが求められます。
瞬時に状況を把握する能力
スピーディな対応をするためには、問い合わせの内容を瞬時に理解をするスキルが求められます。顧客の問い合わせ内容を鑑み、何に困っていて、何を解決したいかという状況を瞬時に把握できる能力が求められます。
問合せに対する正確な対応
問い合わせをする顧客の中には、説明があまり得意ではない人もいます。商品に対するクレームなのか、それとも不具合なのか、疑問に思っているだけなのか、少し質問しただけでは何を問い合わせたいのかが分からないケースもあります。そのような場合は、焦らずマニュアルやトークスクリプト(台本)を元に、冷静に一つ一つ質問をして、何の問い合わせなのかを正確に判断できるようなスキルが必要です。
分からないときはエスカレーションに徹する能力
顧客からの問い合わせの種類はさまざまです。したがって、オペレーターは非常に多くの製品知識を学ばなければなりません。しかし、時には回答に困る問い合わせがくることもあるでしょう。そのようなとき、オペレーターはマニュアルやトークスクリプトにないような事を、自分の判断で回答してはいけません。もしその回答が間違っていた場合、のちにクレームになることはもちろん、その顧客は二度と自社製品を購入してくれない可能性が高いからです。
また、顧客は連絡がとれたカスタマーサポートの対応が、その企業そのものとイメージします。いい加減な対応をされると『あの企業はダメだ』という評価となり、SNSなどですぐに拡散されてしまう可能性もあります。したがって、自分で判断できない事象は、すぐにチームの責任者へエスカレーションをして、判断を仰ぐことに徹する能力が求められます。
まとめ
このように、カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、目的や役割に大きな違いがあります。顧客を成功へと導くカスタマーサクセスと、顧客からの問い合わせに対応するカスタマーサポートは、同じ会社内に存在する企業でもあるでしょう。
したがって、現在自社でカスタマーサポート部門が機能しているので、カスタマーサクセスは検討しなくてよいだろうという考えを持っていたとしたら、視点を変えてみる必要があります。
時代の流れを読み、新しい営業スタイルにチャレンジしてみるのも一つの手段かもしれません。