経営者こそWeb戦略を!知識がなくても今日から始められる6ステップと具体例
「Webのことはよく分からないから業者に任せている」という中小企業の経営者は多いかもしれません。しかし、施策が思うような成果につながっていないのなら、その手前にある「戦略」を改めるときです。
実は、「Web戦略」は経営戦略の延長線上にあるもの。日頃から自社の目標や強み、予算の使い道を考えている経営者こそ、Web戦略を立てるのに最適な存在だと言えるでしょう。本記事ではWeb戦略に向き合うべき理由や具体的な立て方まで、経営者向けに解説します。最低限押さえておきたいポイントも紹介しますので、ぜひできるところから取り入れてみてください。
Web戦略とは? Webマーケティングや経営戦略との違い
「Web戦略」とは、Webを使ってビジネスの目標を達成するための方針や計画のこと。Web戦略では「誰に」「何を」「どのように届けて」「どんな成果を目指すのか」を定め、そのために使う予算や施策の方向性を固めていきます。
似た言葉に「Webマーケティング」がありますが、これはWeb上で商品やサービスが売れる仕組みづくり全体を指す言葉であり、戦略策定から施策実行、検証改善まで、包括的な範囲を含んでいるものです。
Webマーケティングに取り組むときに最初に考えるべきが、Web戦略。各施策を実行する前に必要な「設計図」のような役割と言えます。Web戦略がないまま施策を始めてしまうと、何が成果につながっているのか、つながっていないのか、曖昧になってしまうでしょう。
ちなみに、Web戦略は経営戦略と密接につながっています。

会社にはそもそも売上目標やビジョンなどを実現するための経営戦略があり、それに紐づくものとして営業戦略や採用戦略、財務戦略などが含まれていますよね。Web戦略もそれと同様、数ある戦略のひとつです。
しっかりとした経営戦略があるなら、Web戦略だけをゼロから作り出す必要はありません。むしろ、事業やターゲットとまったく関係ないのに、「とにかくTikTokでバズろう!」のような目標を立てることは危険。どんな戦略でも、会社の利益に紐づくかたちで組み立てることが重要です。
中小企業の経営者こそWeb戦略に向き合うべき3つの理由
Web戦略の策定に必要なのは、Webの専門知識よりも自社理解。本章では中小企業の経営者向けに、なぜWeb戦略に向き合うべきなのか解説します。
Web戦略は経営目標と直結しているから
Web戦略は一時的に話題を作ったり、アクセス数を増やしたりするためだけのものではありません。最終的には、売上や利益といった経営目標を達成するためにあるものです。前述の通り、Web戦略は経営戦略の延長にあたるため、その大方針を常々考えている経営者であれば地続きでイメージしやすく、比較的低いハードルでトライできるでしょう。
自社の強みや顧客のニーズを強く意識し、言葉にできるから
経営者は会社の代表として、常に競合優位性や顧客への提供価値を深く考えているもの。その考え方や創業ヒストリーなどを、商談や講演、会合、採用説明会、社内の総会などで紹介する場面もよくありますよね。それにより、「会社の根幹部分」を言語化することに長けている経営者も多いです。
「自社と顧客に対する解像度の高さ」と「それを言葉に落とし込み、誰かへ伝えられること」は、Web戦略で非常に役立つスキル。実際に手を動かすのは部下のマーケターや外部の業者だったとしても、自社の強みやターゲットなどを適切に伝えられるかどうかで、アウトプットの質には大きな差が生まれます。
リソース(予算・人材等)配分を判断する最終決定権があるから
Web戦略を実行するには、広告費や制作費などの予算と、運用や更新にかかる人手が必要となります。これら両方の「リソース」の状況によって、選べる施策は大きく変わるもの。どんなに豪華な広告を打ちたいと思っても、予算がなければできません。
会社のリアルなお財布事情を把握し、最終的な決定権を持っているのは経営者。制約を知っているからこそ、現実的なWeb戦略を立て、適切な施策を選び取ることができるでしょう。思い描いたマーケティングが「机上の空論」になってしまわないためにも、ときにシビアで、ときにチャレンジングな経営者の判断が必要です。
Web戦略の立て方6ステップ
ここからは具体的に、Web戦略の立て方を6ステップに分けて解説します。ケーススタディとして、以下の架空企業の例を当てはめていきますので、自社に置き換えながら読み進めてみてください。
【ケーススタディの前提】
- 大阪市内の小中学生向け個別指導塾
- メインターゲットは中学生とその親
- スタッフは学生アルバイト中心。社員は少数で戦略策定はほとんど社長が担当し、権限を持つ
- チラシのポスティングを続けてきたが、入塾者数は減少傾向であり、次の打ち手としてWeb戦略を考えている
1.目的と目標を決める
まずは「なぜWeb戦略を進めるのか」の目的と、「何をどこまで達成するのか」の目標を立てます。たとえば新規顧客獲得か、既存顧客の囲い込みかでやるべき施策は大きく変わるため、戦略の時点で目的はブレのないように定めましょう。また、目標決めでは「成果は多ければ多いほど……」といった抽象的な表現はNG。おおよそでも数字を当てはめてみてください。
数字を当て込めたら、最終目標(KGI)から逆算して、段階ごとの目標(KPI)を設定していきます。以下、個別指導塾を例に考えてみましょう。

最終目標の数字と、各段階への移行割合(%)を仮置きすれば、逆算するかたちで必要なホームページ訪問数(≒PV数)まで割り出すことができます。さらに、ホームページへ集客するための広告で必要なクリック数、表示回数などを割り出したいときも、同様の試算方法が使えます。
論理的に導いた目標値があるかないかで、その後のPDCAの回しやすさは大きく変わっていきます。ゴールから逆算した目標を立て、各指標(問い合わせ率など)を定期的に点検しながら、最適なKPIをチューニングしていきましょう。
2.ターゲットを考える
次に、誰に向けて情報を届けるのかを決めます。ターゲットは「中学生」のようにざっくり設定するよりも、年齢や生活、悩み、情報収集の方法など、細かくイメージしたほうが適切な施策を導きやすくなるでしょう。
なお、ケーススタディとして挙げた塾のようなビジネスの場合、ターゲットは以下のように、決裁者である「保護者」と、実際に通う「生徒本人」の2パターンが考えられます。
| 保護者 | 生徒本人 | |
| 役割 | 入塾の決定・費用の負担 | 通うかどうかの意思表示 |
| 悩み | 我が子の成績が他の子と比べて振るわない気がする。受験が心配。 | 魅力的な部活のある志望校が見つかったが、自分のレベルでは手が届かなそうで言い出せない。 |
| 主な関心 | 成績が上がるか、料金は妥当か、安心して通わせられるか | 志望校合格を目指せるか、先生と合うか、通いやすいか、部活と両立できるか |
| 情報の集め方 | Google検索、口コミ、ママ友からの紹介 | 友人の話、SNS、塾の前を通ったときの印象 |
また、同じターゲットでも時期やタイミングによって考え方や行動が変わる場合があります。たとえば個別指導塾であれば、「新学期直後」「夏期講習シーズン」「受験シーズン」などのフェーズがありますよね。狙う時期が明確であれば、それも加味したターゲットを洗い出しておきましょう。
3.フレームワークで他社にはない自社の強みを明確化する
単純にサービス内容をアピールするだけでは、ターゲットの心を動かすことはできません。多くの場合、そのサービスにはたくさんの競合他社があり、ユーザーは比較して自分に合ったものを選びたいと考えているからです。自社ならではの魅力を伝えるために、まずは競合他社と自社の比較、顧客ニーズの分析から始めてみましょう。
そこで役立つのが基本的なフレームワークのひとつ、「3C分析」です。
3C分析では、顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの視点で分析するなかで、「自社ならではの強みかつ、顧客ニーズのあるもの」を見つけ出していきます。
【ケーススタディ:個別指導塾の場合】
- 顧客:内申点を上げたい、部活と両立したい、子どもに合った先生に教わりたい
- 競合:駅前の大手集団塾、大手の個別指導チェーン、オンライン家庭教師
- 自社:地元中学の定期テストの傾向に詳しい、振替授業が自由、塾長が生徒全員の学習計画を確認している
- 伝えるべき強み=「地元中学の定期テスト対策に強く、部活と両立できる個別指導塾」
フレームワークは3C分析のほかにも、「SWOT分析」「4P分析」などさまざまなものがあるため、使いやすい型に当てはめてみましょう。
「自社では当たり前だと思っていることが、実は顧客にとっては大きな魅力だった」ということはよくあります。この機会に改めて自社のことを見つめ直してみてください。
4.施策を洗い出す
強みが明確になったら、目標達成のために取り組めそうな施策を洗い出します。まずは、選択肢を絞り込まず、思いつく施策をすべて書き出してみましょう。「最近話題だから」「やってみたいから」といって施策を絞ると、本来やるべき施策を見落としてしまうかもしれません。
Webマーケティング施策には一般的に、以下のようなものがあります。自社の課題をイメージしながら参考にしてみてください。
| 課題 | 取り組むべき施策 |
| 集客が足りない | SEO対策リスティング 広告ディスプレイ広告 リマーケティング広告、リターゲティング広告 SNS広告 アフィリエイト広告 SNS運用 |
| 成約率(リード獲得率)が悪い | サイト改善(LPOやA/Bテスト) EFO(問い合わせフォームの最適化) サイトリニューアル |
| (リードからの)成約率を改善したい | マーケティングオートメーション |
| リピート率を上げたい | メールマガジンLINE公式 |
5.カスタマージャーニーマップを作成する
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを知り、購入に至るまでの行動や考え、気持ちの移り変わりを示した図です。

カスタマージャーニーマップの縦横2つの軸は、主に以下の内容で構成されています。
- 横軸(顧客の段階):商品を知らない・関心がない段階から、情報収集・比較検討を経て、購入・契約・あるいはリピートに至るまでの流れ
- 縦軸(各段階で整理する項目):知るきっかけ、ペルソナの行動、ニーズや欲求、疑問・不安なこと、必要なコンテンツ、Web施策、オフライン施策、KPI
縦軸と横軸の項目は商材によって変わるので、自社に合わせて調整してください。また、カスタマージャーニーマップを作成する際は、自分の想像力だけに頼るのではなく、周りの声を取り入れてみましょう。
たとえば個別指導塾の場合、実際に入塾した生徒の保護者に「どうやって知ったか」「入塾の決め手は何だったか」などをインタビューさせてもらう、体験授業を担当した講師に「どんな感想が挙がったか」「不安や疑問はなかったか」などをヒアリングする、などが考えられます。また、塾の場合はターゲットが2パターンあるので、生徒本人/保護者それぞれのカスタマージャーニーマップを作っておくと、より抜け漏れがないでしょう。
カスタマージャーニーマップについてはこちらの動画も参考にしてみてください。
6.実施施策と優先順位を決める
最後に、カスタマージャーニーマップを見ながら、「どの段階の」「どのターゲットに対して」「どの施策を」「どの時期に」実行するのかを決めていきましょう。なお、施策には大きく分けて2つのタイプがあります。
- 短期で効果が出やすい施策:リスティングをはじめとしたWeb広告全般。ホームページ内の問い合わせフォーム改善など。
- 中長期で効果が出やすい施策:SEO対策、SNS運用、口コミの蓄積、ホームページの全面リニューアルなど。
とにかく成果を出したいからといって、短期で効果の出る施策にばかり飛びつくのは得策ではありません。広告頼りになりすぎると、いつまでも費用がかさみ続けてしまい、施策全体が赤字となってしまいます。
短期と中長期の施策を組み合わせて、以下のように数ヶ月~1年のスケジュール感でカバーするのが理想です。
| 施策 | |
| 1ヶ月目 | Web戦略策定のうえ、リスティング広告から着手。効果的なキーワードを探る。同時にホームページ内の問い合わせフォームを改善。 |
| 3ヶ月目 | リスティング広告での傾向も踏まえ顧客ニーズを再定義。各種SNS広告も開始して認知拡大。ホームページリニューアルに本格着手。同時並行でSEO対策としてブログ執筆を進める。 |
| 6ヶ月目 | ホームページリニューアル対応。認知が増えてきたため、LINEでの追客施策も注力。 |
| 1年後 | ホームページリニューアル完了。施策全体を振り返ったうえでKPIを調整、PDCAを回していく。 |
「ホームページリニューアルの準備に時間がかかるあいだ、リスティング広告で継続的な集客を確保しつつ、SEO対策のブログも仕込んでおく」といったイメージで、複数の施策を柔軟に活用してみましょう。
このように1~6の流れでWeb戦略を策定してから各施策に取り組めば、ゴールを見失うことなく一歩一歩着実に成果を積み上げていけるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
忙しい経営者が最低限やるべきWeb戦略は?
Web戦略の立て方を理解したうえで、「でも、普段の業務に追われてこんなに対応できない……」と思った経営者の方も多いのではないでしょうか。最後に、忙しい経営者でも押さえておきたいWeb戦略のポイントを紹介します。
まずは自社の現在地と目標を整理する
新たにWebやマーケティングの勉強を始める前に、まず向き合うべきは自社のこと。「SNSが流行っているから始めよう」「AIで記事を作れば集客できるらしい」と、いきなり個別の施策から手をつけると、失敗に終わることが少なくありません。
残念ながら、どの会社にも当てはまる万能なWeb戦略はありません。大切なのは、自社に合った戦略を立て、成果が出る仕組みを構築することです。まずは以下のチェックリストに答えてみてください。パッと答えが出てこない項目があれば、まだまだ自社の解像度を高めていけるチャンスかもしれません。
【自社の現在地を知るセルフチェックリスト】
- 誰に売るのか…自社が役に立てるのは、どんな顧客?
- なぜ自社を選んでもらうのか…顧客に伝わる言葉で強みを説明できる?
- どうやって知ってもらうのか…競合の施策も把握したうえで最適な施策を選べている?
- どうやって問い合わせ・購入してもらうのか…顧客が欲しい情報はホームページに分かりやすく載っている?
- 今すぐ買わない人とどのような関係性を作るのか…いずれ顧客になる見込み客へのフォローはある?
- 数字を見てどう改善していくのか…成果を測る指標と、確認するタイミングは決まっている?
自社に合ったWebマーケティングの仕組み化についてさらに知りたい方は、以下の動画も参考にしてみてください。
成果につながっていない部分を優先的に改善する
すでに広告やホームページなど何らかの施策に取り組んでいるなら、新しい施策を増やす前に、今の仕組みの「どこで」顧客を取りこぼしているのかを探しましょう。
イメージは、穴の開いたバケツです。いくら水を注いでも、底に穴が開いていれば水はたまりませんよね。施策を増やすよりも先に、取りこぼしている部分を直すほうが効率よく成果を上げられます。
優先して見直したいのは、ユーザーが必ず通る場所。以下が代表的な例です。
- 問い合わせフォーム:入力項目が多すぎないか、スマートフォンで入力しやすいかなど
- 事例・実績のページ:ユーザーが判断材料にしたい情報が具体的に載っているか、定期的に更新されているかなど
- 口コミ:Googleマップなどに最近の口コミがあるか、悪い口コミに丁寧に対応しているかなど
流行りの施策に飛びつく前に、まずは足元の「穴」を着実に修復していきましょう。
実務は専門家に任せつつ、成果の定点観測を欠かさない
広告の運用やサイトの改善、記事の制作といった実務まで、すべて経営者が本格的にやろうとするのは現実的ではないかもしれません。手が回らないと感じたら、外部の専門家に任せるのも有効です。
ただし、任せきりにすると成果が落ちてしまうかもしれません。会社のことを一番よく知っているのは、外部の業者ではなく自社社員や経営者であるはず。一部手伝ってもらう部分があったとしても、「全体的なWeb戦略は自社」「実務は外部」といった役割分担ができると理想です。
施策実施中も定期的に数字をチェックし、KGIやKPIと照らし合わせながら、主体的に判断していきましょう。あくまでも主導権を握っているのは自社であり、経営者です。
Web戦略は経営者でも策定できる! Webマーケティングの成果を高めよう
今回はWebマーケティングの根幹になる方針や計画を示す、「Web戦略」について解説しました。
Web戦略を始める際、Webの専門知識が必ずしも必要というわけではありません。むしろ、重要なのは徹底的な自社理解。だからこそ、経営目標や自社の強み、予算の事情を誰よりも理解している経営者は、「Web戦略策定に向いている」と言えるでしょう。まずは、本記事で紹介したセルフチェックから始めてみてください。
なお、現状の把握や課題の洗い出し、Web戦略自体も、「自分ひとりで考えるのは難しい」と感じた場合は、お気軽に当社バリューエージェントへご相談ください。中小企業のWeb課題解決を得意とするコンサルタントが、貴社の状況にあわせて二人三脚でサポートいたします。






